リアル人狼ゲーム(軽くホラー?)
“人狼ゲーム”っていうのがあるじゃないですか。
このゲームの中の人狼は、人と人狼の区別がつかず、夜になるとその本性を露にして村人を殺害します。
村人たちは昼間の間に誰が人狼であるかを推理しあいます。その結果人狼であると見なされた村人は毎日一人づつ処刑され、間違っていたら次の日も同じことが繰り返されます。村人が全滅するか、人狼を見つけ出して処刑するか、というのが人狼ゲームの基本的なルールです。
“人狼”という言葉が一般的に普及したのは、このゲームが発端となっているのではないかと思います。
ですが昔は“人狼”ではなく“狼男”という言葉が一般的だったみたいです。
昼間は普通の人間として生活していながら満月の夜になると月の光を浴びて狼男に変身して、人々を襲うというB級ホラー映画が多くあったみたいです。
“人狼”伝説はかなり古くからヨーロッパ、特に16世紀のフランスを中心に伝承されていますが、もちろんその全てが作り話です。顔面から毛が生えてくる奇病を患っている方もおられますが、もちろんその方も人狼ではありません。
こんな話は現代の自分たちでは当然だと理解できますが、数百年前には人狼という存在を信じていた人々が多かったみたいです。人狼伝説がただのおとぎ話だったらまだ良かったのですが、この手の話でタチが悪いのはこの欺瞞には現実に残虐性を帯びた物が多かったからだそうです。
チャールス・マッケイ著『異常な民間妄想と大衆の狂気』には1588年にオーヴェルニュ山村で起こった最も有名な人狼事件の一つが記載されているらしいです。
ある男が家の窓辺にいると、猟から帰る途中の狩人の友人が通りかかったので、男が友人に猟の獲物何だったか尋ねると、友人は野原で大型の獰猛な狼に襲われたため、銃を撃ったが、傷つけることはできなかったと言いました。その後友人が話を続けるのを聞いてみると、続けて友人は狼が首に食いつこうと飛びかかってきたときにハンティングナイフを取り出して狼の前肢を切り落としたと言いました。
そして、友人は男に切り取った狼の前肢を見せるために袋からその証拠を取り出してみると、袋の中からは結婚指輪をつけた女性の手が出てきたので友人はショック状態に陥りました。
男はその指輪を見てすぐにそれが自分の妻の物であると気がつくと、慌てて妻を探しました。
妻は台所の火の側で、腕をエプロンの下に隠して座っていました。男は荒々しくそのエプロンを剥ぎ取ると、妻の腕がなく、しかも切り口から流血していました。
妻は捕らえられ“人狼”として、リオムで何千人の前で火炙りの刑に処されました。
彼女に対する告発によれば男は指輪を見た時に「妻の悪事を疑い始めた」のだそうです。
しかし、実際は男は宗教的弾劾を恐れてか、または妻の財産を失うことを恐れてか、あるいはその両方の理由でか、妻に対しての愛情を失っていながらも(もしかしたら最初から愛情なんて物はなかったのかもしれません)、離縁することができず、友人と共謀して妻の腕を切り落とし、正義の名のもとに妻を人狼として告発し、問題を解決したのでした。
ひどい話です。正に人の皮を被った獣、人面獣心の所業だと思います。
逆に狼が人間の子供を育てたという話も聞きますが、こちらもどうやら眉唾物らしいです。