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機械仕掛けの犯罪者と墓の中身はなんだろな?

 “機械仕掛けの神”とはデウス・エクス・マキーナとも呼ばれていて、古代ギリシャの悲劇の詩人であったエウリビデスが、クレーンのような仕掛けで神(を演じる役者)を登場させて強引に物語の収集をさせるという荒業を多用したことからご都合手技の代名詞として“機械仕掛けの神”と呼ばれることになりました。


 話は少し変わりますが、グラン・ギニョール劇場という、フランスのパリに19世紀末から20世紀半ばまで存在した残酷さや血なまぐささに主眼においた、こけおどし的な芝居を上演する劇場があったんですよ。


 自分も観てみたい物だと思っていたんですけど、既に失くなってしまったものはしかたがありません。

 そんな中でたまたま古本屋で『ロルドの恐怖劇場』という本が目に止まりました、


 この本の著者はアンドレ・ド・ロルドといってグラン・ギニョール劇場の劇作家をやっていた人だというので買って早速読んでみました。


 内容は短編集なのですが、話のオチの7~8割方が実は主人公や語り手が精神を病んでいて妄想などを語っていて、悪役と思われていたキャラクターが実は精神科医だったというようなものでした、


 白黒無声映画の名作『カリガリ博士』も似たような話だった気がします。


 精神病系の設定って物語上で便利な装置な気がします。そう言えば『SPY✕FAMILY(スパイ✕ファミリー)』の主人公の表の職業も精神科医でしたね。


 自分はそこで“機械仕掛けの神”ではなく“機械仕掛けの精神科医”という言葉を思いつきましたが、個人的にこれは語感はいいのですが、あまり汎用性が高くなく、正確さの点で問題があるとも思いました。例えば『ライ麦畑で捕まえて』などでは最後に主人公が精神病院(精神科病棟?)に入院されていることがほのめかされていたり、アダルトゲーム『さよならを教えて』とか他にも精神病院を舞台に繰り広げられる物語が多いので“機械仕掛けの精神科医”より“機械仕掛けの精神病院”の方が汎用性が高い気がしますが、この言葉は個人的には汎用性が高い代わりに語感が悪くインパクトに乏しい気がします。


 しかし精神病の症状の傾向として昔は“狭く深く”だったのが最近では“広く浅く”という傾向になっているらしく昔の物語に登場するような強烈なキャラクター性を持つ精神病者というのは少ないそうです。なぜそのような状態になっているのかは専門家でもわからないということです。



 1887年~1887年にかけてアメリカ西部にある「アメリカ一邪悪な小さな街」とよばれたドッジ・シティーを縄張りにしていたルーク・マグルーという悪人がいたそうです。マグルーは東部から来た観光客に被害を負わせました。もし観光客が盗難にあえばそれはマグルーのせい、部屋を荒らされればそれもマグルーのせい、他にも何か不都合なことやトラブルが起こればそれは全てルーク・マグルーのせいだと有名な保安官代理ワイアット・アープは真剣な面持ちで語りました。マグルーは観光客に対して盗みやイタズラを専門に行動していたようです。


 しかしルーク・マグルーはドッジ・シティーの住民たちによって作りあげられたキャラクターで実在はしません。


 いかがわしい酒場や店から賄賂を受け取っていたワイアット・アープはルーク・マグルーを便利なキャラクターだと考え、必ず捕まえて相応の報いを受けさせると意気込みますが、どうやってもマグルーを捕まえることができませんでした。


 それはそうですよねルーク・マグルーは“機械仕掛けの犯罪者”なのですから。



 また話が長くなりますが、もう少し続けさせてください。


 レスター・ムーアという人はおそらくは西部劇の舞台になった時代くらいに建てられた墓の墓碑銘によって結構な有名人なのだそうです。


 その墓と墓碑銘は現在でもアリゾナ州トゥームストーンのブートヒル墓地にきれいに残されていて見ることができるそうです。


 墓碑銘には


 レスター・ムーアここに眠る

 四十四口径から四発の散弾

 (No)(less)以下でも(no)(more)以上でもない


 と書かれているそうです。


 レスターについてわかっているのはこれだけです。彼が何者で、いつ誰が彼を殺したのか、何歳だったのか、全てわかりません。


 どこから出てきたのかはわかりませんが、ウェルスファーゴの警備隊員が彼を撃ち殺したという説もあるにはあるそうなのですが、歴史家の調査でも、公の記録にもそのような話を裏付ける物は一切ありません。


 そもそもレスター・ムーアについてまともに取り上げる研究者の方が珍しいです。


 そんな中で歴史家デニス・マクローリンは著書『乱暴で波乱に富んだ 古き西部の時代』の中で「この墓からは、悪ふざけの匂いがする墓碑には死亡時の日付が記載されておらず、もしもこの詩がトゥームストーンに銃弾が飛び交っていた時期に作られた物だとすれば四十四口径から四発の(散弾ではなく)“弾丸”の方がふさわしい」としてレスター・ムーアという人物自体の存在を否定する見解を示しているそうです。


 下手な詩が楽しませてくれるがレスター・ムーアの墓に誰も埋葬されていないと信じるに価する理由は多くあるそうです。


 この問題を解決するただ一つの方法は、墓を掘り返して死体の有無を確認することですが、そうすると観光スポットが一つ減ることになるかもしれないので誰もそれをする人がいないそうです。



 神様の存在について真面目を議論する人は多いみたいですが、レスター・ムーア存在については笑い話の類いになっているみたいです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ルーク・マグルー面白いですね.なんでも妖怪のせいにしちゃう,妖怪体操を思い出しました. [気になる点] 冒頭の“機械はの神”というのがよくわからなかったです...
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