ナポレオンと猫
猫とネズミというと、自分は屋内でネズミを見たことがないんですよ。
これは自分の住んでいる地域によるものなのかはわかりませんが、一回か二回は都会で野ネズミを見たことがある気がします。
猫とネズミは、昔から仇敵同士として登場しますが、現実では猫の方が一方的にネズミを捕獲しています。
しかし、自分は先にも書いたように、野ネズミを見た経験が乏しいので猫がネズミを追いかけているという場面を見たことがありません。野良猫なら何回も見たことがありますが。
昔話で、干支を決める動物レースを決める日をネズミが猫に嘘の日にちを教えて、それ以来猫はネズミを仇敵と見なしている、なんて話もありますね。
アニメ『トムとジェリー』では、ネズミのジェリーが猫のトムをからかって遊んだりしていて、マンガ『ドラえもん』では猫型ロボットのドラえもんがネズミを怖がっていて、ネズミに遭遇した際には四次元ポケットから伝説のアイテム“地球破壊爆弾”を取り出して使用しようとしたりするという、尖ったギャグを披露したり、歌舞伎『東海道四谷怪談』では、巨大なネズミが猫を噛み殺したりしています。
諺にも“窮鼠猫を噛む”というのがありますが、これらの物は現実では、ネズミに対して絶対的強者である猫が、ネズミに負けるという不条理さによってギャグとして成立したり、不気味さを演出したりできるのでしょう。
1815年、イギリスのチェスターの新聞に、猫を緊急に求めているという広告が載りました。内容は「活動的な成猫に16シリング、雌の成猫に10シリング、ミルクをガブ飲みしたり、ボールや糸を追いかけたり、死にかけたネズミに牙を立てたりできる元気な子猫に半クラウン出す」というものでした。
広告主によれば、ワーテルローの戦いに敗れた後、ナポレオン・ボナパルトが流罪になっているセントヘレナ島のネズミの異常発生と戦うために必要なのだということでした。
悲しいことにこれは全くの悪ふざけで、悲劇的な結果を招いてしまいました。
3000人が新聞に載った住所に集まったところそこはただの空き家でした。その結果5000匹のあわれな猫たちが、飼い主によってディー川に投げ込まれました。
全くひどい話です。
同じような悪ふざけは、第一次世界大戦中にニューヨークでもありました。表向きはドイツ軍の捕虜になったアメリカ兵がネズミを退治するのに必要だということでした。しかし、このときは幸いにして猫が残虐なジョークの犠牲になることはありませんでした。
でも、ナポレオンがセントヘレナ島で、猫の大軍を指揮して、異常発生した大量のネズミと戦う姿を想像すると、少し面白いです。