↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パイオニアオブエイジ~NWSかく語りき〜  作者: どん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
98/273

第10話『ポールの述懐』

 その頃、童話の里の宿泊所では、ポールが青い顔をしてベッドに横になっていた。

 トゥーラは簡易キッチンで材料を自分の部屋からテレポートで取り寄せて、小さな土鍋で牛乳粥を作っている。

 プワーンと漂う牛乳の甘い匂い。日向の匂いがする優しい肌触りのリネン。自分を看護するために料理するトゥーラ。

(いいなぁ……)

 つかの間の安らぎに浸るポール。長い独身生活のほんの華やぎだった。

 彼は気づいていなかったが、まるで作家に締め切りを守らせる編集者の如きテレパスの問い合わせがぱったり止んでいた。

 トゥーラがトレイに土鍋を載せて、ゆっくり振り返った。

 熱々の湯気が揺れている。

「お待たせ、ポール。熱いから気をつけて」

 優しい微笑みに目頭が熱くなりながら、ポールは起き上がってサイドテーブルを寄せた。

 ゆっくり手を合わせる。

「……いただきます」

 それは至福の時だった。

 かつてトゥーラが自分のこんなに優しくしてくれたことはない。

 ずいぶん前の話になるが、一目惚れして告白したこともある。

 玉砕だったが、NWSでともにリーダー職に就いてからは、ぎくしゃくもせず交流してきた。

 大人なんだから――そう言い聞かせてきた。

 こんな形で報われるとは思いもしなかった。

 粥に染み込んだ牛乳のように、トゥーラの優しさがいっぱい溶け込んでいた。

 泣きながら食べた。

「——うまい」

「……そう、よかったわ」

「うん、冷えた胃が温められる感じ」

「……」

「トゥーラは料理も上手なんだね。いいお嫁さんになるよ」

「私のことより、まず自分のことを大事にして」

「えっ」

 ちょっと怒っているトゥーラに目を見張るポール。

 トゥーラは目に鋭く涙を溜めて言った。

「テレパスで押しかけられてるでしょ。無断で悪いのだけど、シールドを張らせてもらったわ」

















 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。