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第7話『噂の二人』

「ま、まじ⁈」

「大マジ」

「どっしぇ――! いつの間にそんなことになったわけ⁉」

 ナタルの動揺とキーツの大仰な驚きように、トゥーラは柳眉をピクリといわせた。

「あら、気づかなかった? この間の飲み会の時、すごくいい雰囲気だったじゃない」

「いやー、あれはオリーブがタイラーに管巻いてたのかと」

 もっともなナタルの意見だった。

「後で話を聞いたら、恋愛話で盛り上がってたみたいよ。——タイラーはオリーブのことを前々から好きだったらしいわ」

「あのどさくさで告ったわけ?」

 キーツの声が信じられない、と言っている。

「オリーブはエリックが好きだってことを話したから、タイラーははっきりとは言わなかったのですって。でも、オリーブが後から考えてみるに「タイラーって私のこと好きなのかな?」って言うの」

「あー、確かにそういう伏線があったような……」

「複雑な恋愛事情だなぁ。で、それを聞くに、トゥーラはなんて答えたわけ?」

「映画にでも誘ってみたら、って一言」

「うーん、深い。深いよトゥーラ」

 ナタルが唸った。

「今はどうだか知らないけど、エリックがNWS起ち上げた頃は、レンナちゃんに惚れ込んでたからね。オリーブもずいぶん複雑な思いしてたんじゃないの」

 キーツが思いやると、トゥーラはさっぱりして言った。

「あの人、実は繊細だから、エリックに告白してフラれた時はひどい落ち込みようだったわ。それから今まで、みんなからエリックの話が出るたびに、思い出話を私にちょっとするだけで我慢して……かなり痛々しかったわね」

「普段の気の大きさが嘘みたいだね」

 ナタルが目を真ん丸にして驚く。

「聞いてる方はまたか、って感じだけれどね」

「おおっ、シビア―」

 キーツが身体を硬直させる。

「タイラーがオリーブのことを好きなんじゃないか、とは思っていたけれど。タイラーはあの通り大人だから、言葉の端々にしかそう感じさせなくて、私も結構やきもきさせられたわ」

「えっ、そう? 全然わかんなかった」

「同じく」

 ナタルに続いて、キーツも全く無頓着だったことを明かした。

「注意を払っていないからよ。私はオリーブを包み込めるような大人の男性を探していたからわかったの。タイラーの時が熟したのね。オリーブにもわかるように告白してくれてよかったわ」

「で、背中を押したわけだ。大人じゃーん」

 キーツが親指を立てて前に突き出した。

「こうなってから言うのは何だけど。俺はタイラー的にトゥーラの方がタイプなんじゃないかと思ってたよ」

 ナタルが明け透けに言うと、トゥーラは笑った。

「そうかしら? タイラーくらいになると、私みたいな型通りの女より、オリーブにあるキラッと輝く個性に惹かれるのだと思うわ。見所があるわ、タイラーは」

「いやぁ、素晴らしい友情だね」

「拍手!」

 その時だった。

 噂の二人が集会所にやってきた。

 キーツとナタルはほどほどにからかって、ニヤニヤしながら成り行きを見守る。

 トゥーラは平素変わらぬ様子で、二人のために新茶を振舞うのだった。


















 

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