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第5話『サバラスの本音』

「おまえさん、服のサイズは? 民話の里に言って用意してやろう」 

「えっ、そこまでしていただいては……」

 慌てるミルラを手で制して、サバラスは言った。

「持ち場を勝手に離れたんじゃ、リーダーが血相を変えて探しに来るぞ。ここにいれば大体のことは察しが付くじゃろう。これ以上心配をかけてはいかんぞ」

「は、はい……」

 ミルラは服のサイズは上下ともSだと告げた。

 サバラスはそれまで親密だった空気を破るように、テレパスで民話の里の係員に声を荒げた。

(儂じゃ! 女性用の防寒着Sサイズを一式、大至急買ってこい)

 ややあって係員が反応する。

(それはNWSのメンバー用ですか? えっと、費用はどうする……)

(つべこべ言わずに買ってこい! 世話になっとるんだ、それくらい当然じゃろう!)

 ビクッと身体を震わせるミルラ。老人とは思えぬ覇気に気圧される。

「まったく融通の利かんやつだ!」

 サバラスは係員に腹を立てていたが、射すくめられたミルラを見てウインクした。

「儂がこう言ったのは内緒じゃぞ」

 ミルラはぎこちなく、でも頼もしさに安心したように笑うのだった。

 30分経たないうちに、男性係員は現れ、女性に揃えてもらった物だから、と言って居心地悪そうにミルラが着替えるのを待って、大丈夫だとわかるとホッとして足早に民話の里へ戻っていった――。


「おやおや、内緒じゃと念を押したのに」

 サバラスは楽しそうにパイプを吹かした。

「サバラスさん……本当は優しい方なのに、どうして初めてお会いした時、冷たい態度をなさったんですか?」

 パティがストレートに聞いた。

「……知りたいかね?」

「はい」

 真剣なパティに折れて、サバラスは語った。

「民話の里におまえさん方のような若い人材がいなくてつまらんからだよ」

「……?」

「機会があったら往ってみなさい。民話の里はまるで火の消えた廃村じゃ。老人ばかり集まってあれもダメこれもダメ。さっぱり進展せん。若い世代が不便を嫌って都市暮らしをしたがるから、地方には活きの悪い人材しか残らん。慢性的な後継者不足なんじゃ」

「そうでしたか……NWSは若い世代が中心だから」

「早く言えば嫉妬じゃな。儂らはこんなに息苦しいのに、パラティヌスの連中は呑気な顔を並べとる。理屈じゃない、納得がいかない気持ちが勝ってあんな態度を取ってしまった。NWSの仕事を見て、すぐに後悔したがな」

「それでは見直していただけたんですね?」

「ああ、予想以上だった。森が喜びで震えとった。おまえさん方にはわかるまい。森だって人恋しくなるもんなんじゃ」

「それを伺ってますますやる気になりました。NWSは炎樹の森を心から守りたいと思っているんです」

「そうじゃ、そしてその気持ちは儂らとまったく変わらない。森は賑やかになるじゃろう。民話の里の古い体質も拭い去ってくれい」

「わかりました。埃と一緒にしがらみも一掃しちゃいましょう!」

 メリッサが明るく言い放ち、サバラスの小屋は笑い声に包まれた。



















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