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第3話『ポールwithツリー班』

「”妖精は木の実が大のお気に入りです。

  どんぐりのヘタはベレー帽、くぬぎのヘタはモヘア帽です。

  秋はおしゃれが止まりません。

  冬に備えて忙しくしていても、やっぱり身だしなみは大切です……”

ここんところで、男のダンディズムが語られてると思うんだよね」

「クスクス」

 コノミがポールのおかしさに心を開いた。


「私もその場面好き」

 アース班が集まっている机の前で、ハルニレ・ベクトラーは呟いた。

「え、何か言った、ハルニレちゃん?」

 アヤに聞かれて、慌てて両手を振る。

「い、いえ、何でもないんです」

 それでいて、その仲裁劇の成り行きを透視して見守る。

 彼女だけではなかった。

 異変に気付いて耳を傾ける観客は他にもいたのである。


「ポールさんって、変な人だと思ってたけど、やっぱり変人だったんですね」

 ユチカが面白そうにからかうと、ポールは人差し指をワイパーのように動かした。

「チッチッチッ、変人じゃないの。心が豊かで知的な大人なの。タイラーみたいな朴念仁とは一味も二味も違うんだよ、おわかり?」

「アハハハ」

(おい、コラ)

(名前くらい貸してやりなさいよ。後で一杯奢ってもらうといいわ)

(それはそうだが……)

 タイラーを諫めるオリーブ。

(ユチカちゃん、思いっきり笑ってますけど)

(ノッてきたなぁ……)

 キーツとナタルが、ポールがいつ馬脚をあらわすか、ひやひやしている。

「賛同いただけたところで、2人とも約束を守って再会できたんじゃない。誤解はお互いしてたかもしれないけど、ケンカしてぶつかっても友情は取り戻せないよ。絆を強めるには一杯のココアを一緒に飲むだけでいいんです。それが遠慮なくできる立場になったんだから、思いっきり楽しみまひょ。わかったかな?」

「はい、ごめんねコノミ」

「私こそごめんなさい」

(セーフ! セーフ!)

(お見事でした、ポールさん)

 ポールが満面の笑みの下で、安堵の溜め息をついているのを知っているのは、リーダーたちだけだった。

 そこへ賑やかにNWSの女性メンバーが入ってきた。

 ポールの5班メンバー、オリーブの3班メンバー、トゥーラの4班メンバー、そしてランスの6班メンバーだった。

 ゴージャス女性陣揃いぶみ。

 コノミやユチカと同じ、ポールのツリー班のメンバーである。

「おや、皆さん。お揃いでどったの?」

 ポールが気軽な調子で尋ねた。

 すると5班メンバーのメリッサ・プレイナーが、やはり砕けた調子で言った。

「ここでポールwithツリー班の親睦会が開かれてるみたいなんで、駆けつけました。コノミちゃん、ユチカちゃん、私たちも混ぜてね」

「おー、さすが気が利いてる! でも手ぶら?」

「もちろん、スイーツ持参ですよ」

「わかってるぅ~」

「というわけで、ポールさん。紅茶12人前よろしくです」

「はい――っ?!」


 はたして、即席の女子会は始まった。

 みんなで円卓を囲んで、コノミとユチカを中心にわいわい話す。

「事情はよくわかんないけど、みんな因果界に来られるんだから、必要以上に退かなくていいんだよ、コノミちゃん」

「そうそう、心に傷を持ってるのは、みんな一緒。同じとは言わないけど、何かしらはあるから。それで、共感できる人に小出ししていくのが、マナーでコツなの」

「臆病なのは誰だって同じなんだよ。大切なのは愛に心を開くこと」

「せっかく縁あって一緒に仕事してるんだもん。誰かとハートを分かち合ってこそ喜びもあるんだからね」

 名言がバンバン飛び出して、言葉に花が咲くようだった。

 班を、個人を超えて、多くの優しい手が差し伸べられた。コノミは嬉しさで小さな胸が希望に膨らむのを感じた。

 ユチカは、これこそ見たかった光景だと感じ入って、ポロポロ涙をこぼした。先輩方はハンカチを貸したり頭を撫でたり、肩に手を置いたりしていた。

 メリッサが言うことには

「女の子の困ったことは私たちに相談して。パティほど頼りにならないかもしれないけど、ポールさんよりは確実に役に立つから」

「もしもーし」

 手を忙しく動かしながら、ポールが簡易キッチンから突っ込んだ。

(うん、言えてる)

(あんだって⁈)

 キーツの絶妙の合いの手に、目くじらを立てるポールだった。

 


















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