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第2話『自薦他薦』

「そうだな……ツリー班はタイラーの班に男9人全員回して、ポールの班を12人にすると、ちょうどいいのか」 

 マルクが班名簿を見ながら言った。

「マルクさんが1班と2班、8班の女性メンバーを一括りにして、ポールさんが3班と4班、5班、6班の一括り。俺が7班、9班、10班を一括りにした場合ですね」

 ルイスが班名簿を目で追いかける。

「うん、ちょうどいいじゃん。しかし、女の子ばっかりねぇ……ちと、進め方を考えにゃならんわな」

 どうしたもんかな、とポールが首を捻ると、オリーブが突っ込んだ。

「あら、ポールにデリカシーを期待していいのかしら」

 すうっと半目になるポール。

「おたくの班は心配しなくていいけどね」

「ちょっと、どういう意味?」

「別にぃ。トゥーラの班とランスさんの班にはちょっと心配な子たちがいるな。ユチカちゃんとコノミちゃんは二人とも大人しくて自信なさげだよね。俺の班に入るってわかったら拒否反応示さないかな?」

「同じ班の子たちがいれば、ちゃんとフォローしてくれるわ。かえって盛り上がるかもしれないわよ。ポールへの突っ込みで」

「さいですか」

 トゥーラにすげなく返されて、がっかりするポールに、ランスが言い添えた。

「コノミさんはアヤさんが気にかけてくださるでしょうから、心配いりませんよ」

「そうですか。まぁ、俺はダシにされても、まとまってくれるんなら結果オーライなんだけどさ」

「そういう意味では俺にも心配の種が一つ。ナタルの班のダイアスはNWSに入ったばかりだったな。評判聞かないが、ナタルの評価は?」

「うん、良くも悪くも協調性が高いタイプだね。新参ってことで遠慮してるけど、基本は外さないし、仕事もソツがない。タイラーの足を引っ張る度胸はないと思うよ」

「……なるほど、よくわかった」

 リーダーを反映して、ダイアスも前に出るのを好まないタイプなのだろう、とタイラーは判断した。

「あ、そういえばウチのモチヅキ君が、タイラーの下で働いてみたいって言ってたことあったよ」

 思いついてオリーブが言うと、タイラーはニッと笑った。

「やる気のあるやつは大歓迎だぜ」

「ウチのカヤツリ君もそう言っていたわ」

「実は私の班のハルタ君も……」

「まぁ……」

 トゥーラとランスが意見の一致に戸惑う。

「何でー? いいな、いいな、タイラーばっかり!」

 ポールがやっかんで言うと、キーツがボソッと一言。

「当然でしょ。どんだけ業績に開きがあると思ってんの」

「いやいや、恐怖政治より自由主義でしょ」

 食い下がるポールにキーツがビシッと決める。

「人望と恐怖は両立しないじゃん」

「おっかしいなぁ、俺の超エース級のおもろさがウケないなんて」

「おもろさだけに、脆さが先に立つんじゃないの」

「ぐはっ、痛恨の極み」

 ポールは放っておいて、話は各班の作業手順に移っていった。

「初日はマーカー班も作業に慣れてないから、時間に余裕を持たせないとな。腕時計型のオービット・アクシスを用意してもらって、待機組のそれと同期させて進捗管理しよう」

 マルクの意見に頷く面々。

「ツリー班も同様だね。去年使った作業管理ソフトだけで大丈夫かな?」

 ナタルが誰ともなしに問うと、これにはタイラーが答えた。

「パラティヌスではお蔵入りソフトって呼ばれてる、危険区域検出ソフトっていうのがあるから使ってみろ。カエリウスは同盟国だから、妨害電波の影響を受けずに炎樹の森全域をカバーできるはずだ」

「わかった、早速探してみるよ」

「手伝うわ」

 トゥーラが申し出て、録音代わりに使われていたオービット・アクシスをナタルの席に持ってきて、危険区域検出ソフトを検索する。

「タイラー、そのお蔵入りソフト、ナタルの不安にも対応できるか?」

 アロンの言葉にタイラーが難色を示す。

「いや、あのソフトは森林内の地形から危険区域を割り出すんだ。知っての通り炎樹の森は起伏が激しいんでな。崖や落石、地盤の弱い場所なんかを検出できる。確か危険動物も索敵されると聞いたことはあるが……呪界法信奉者に限って索敵する、というのは難しいようだ」

「そうか……紛れ込んだ一般人と区別がつけられないのか。条件づけも難しいかもな」

 アロンはナタルのことも考えなくてはならず、眉間に皴を寄せた。

「どうかしたのアロン? 難しい顔して」

 隣のキーツがアロンを気遣う。

「ちょっとな……ハイドフォグで解像度下げるにしても、常用は難しいな、と思って」

「? ラグモードにすればいいじゃない」

「それだ!」
















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