第17話『マルクとアロン、ランス、そしてノリヒト』
珍しい面子が居酒屋に揃っていた。
マルクとアロン、ランスの三人。そしてノリヒトも加わった四人だ。
NWSリーダーきっての実力派の三人は居酒屋が似合わない。
経緯はこうだ。
NWSの舵取りを今後どうしていくか、真面目に童話の里の集会所で話し込もうとしていたマルクたち。
そこへ、手ぬぐいを忘れたと言って、ノリヒトが現れた。
「なんだい、あんたら。残業かい?」
顔を見合わせる三人。
「はい、これからNWSの今後について、意見交換するところです」
「ふーん、真面目ちゃんばっかり集まって話になんのかい?」
ランスの言葉に遠慮なく言ってのけるノリヒト。
「よかったらノリヒトさんもどうですか?」
マルクが水を向けると、ノリヒトはニヤッと笑った。
「いいけどよ、俺にゃこれが必要だぜ」
と言って指で丸を作って、くいっと口の前で呷るマネをする。
そんなわけで、ノリヒト行きつけの居酒屋にやってきたのだった。
むせかえるような料理の匂いに、賑やかな喧騒が取り巻く店内は、一応個室で壁で仕切ってある。
大威張りでのしのし歩くノリヒトについて行く三人は、物珍し気に視線をあちこちに走らせる。
小気味のいい女性店員に案内された場所は、まだ近くの団体の予約席が空いていて静かだった。
「こちらにどうぞ」
「おう、お姉ちゃん。生ビールな!」
「畏まりましたー!」
さっさと注文して、どっかりと席に座り込む。
テーブルの下が掘りごたつになっていたが、構わず胡坐をかく。
アロンがその隣に座り、マルクとランスが対面に座る。
「あんたら、飲み物はなに頼む?」
ノリヒトが一応聞いてくれて、アロンがボソッと言った。
「ここなら一杯目は生ビールがいいな」
「俺も」
マルクも続いた。ランスは遠慮がちに言った。
「私はウーロン茶で」
「あんたは下戸かい?」
「いえ、神職なので、お酒はあまり飲めないんです」
「おっと、そうだったな。……あれ、でも儀式で使う赤ワインは?」
「聖人の血ですね。少量ならいいんですけど……」
「んじゃグラスワイン一杯は付き合いなよ。下戸じゃなきゃイケるんだろ?」
「わ、わかりました。じゃあグラスワインを」
マルクとアロンは口には出さなかったが、珍しいこともあるもんだと思った。宴会の時は牛乳というスタンスを、ランスは崩していなかったからだ。
「料理も適当に頼むか。俺はホッケと枝豆と梅キュウな」
ノリヒトに続いて、アロンがメニューを見る。
「俺は――チーズの六種盛りとトマトサラダ、おこげスープってとこかな」
「やっぱイケメンはヘルシー志向だな」
茶々を入れるノリヒト。アロンが笑う。
「前哨戦ってとこですよ」
「お、言うじゃねぇか」
メニューがマルクに回ってきて、ランスにも広げて見せる。
「俺は……刺身盛と焼き鳥の盛り合わせと餅チーズで」
「では私はブルスケッタとキノコのパスタとポテトフライ山盛りで」
四人の好みが丸わかりのチョイスだった。




