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第2話『アースフォローアップ班』

――アースフォローアップ班——

「アース班は私たちを含めて10人しかいないわけだけど、実際問題、ナタルは修法でどのくらいの範囲をカバーできる?」

 オリーブが機嫌よく聞いた。

「平常時なら3平方キロメートルはイケるよ」

「平常時って何それ?」

「ビビッて2平方キロメートルかな……と」

「——ナタルってほんとビビりだよね。家庭があるからって言うけど、みんな家族はいるじゃない。その平常時がほんとなら、56回の修法で済む計算なんですけど」

「そう言わないでくれよ。これでも炎樹の森で仕事するってだけでも、相当無理してるんだよ」

「ジレンマだね。呪界法信奉者は怖い。でも、家庭を守るためには仕事しなくちゃいけない」

「実は今度のことを家内に言ったら、「あなたが往かないんなら、私が往くぅ」って言い張るもんだから」

「まさか奥さんに任せて、逃げるわけにもいかないと」

「情けなくて外にも出られなくなるよ」

「なんていうか、ビビりつつ男の面子も考えてんのね」

「説得力ないけど、それが男だよ」

「はいはい、私だって怖がってる人に実力発揮してもらおうとは思わないわよ。じゃあ2平方キロメートルとして、私が4平方キロメートルだから……」

「……!!」

「28回で終わりかぁ……でも、マーカー班とツリー班の進捗見ながらだから、後半追い上げながらでも十分間に合うわけだ。どうする? 私たちがでしゃばるより、メンバーに少しでも仕事してもらう?」

「そ、そうだね。俺たちは監督しながら護衛もすると」

「あ、私は東北から往くから、ナタルは西南から始めてよ。その方がいいんでしょ」

「ええっ、それは悪いよ……みんながなんて言うか」

 バン、と円卓を叩くオリーブ。

「あのね、ナタルがビビりなのはもう公認なわけよ。それにそういう人が発信源になって呪界法信奉者を呼び寄せてしまうのが一番困るの! おわかり?」

「は、はい」

「よろしい。だからアイシングクッキーみたいな奥さんを守るだけで満足してなさい。あとは身を守るためなら女の影に隠れるくらい自分に許すの。じゃないと身が持たないよ」

「ありがとう、オリーブ!」

 ナタルは深々と頭を下げた。

 でも、どうしてオリーブはこんなに度胸が据わってるんだろう、と思わずにいられなかった。


 ツリー班の話し合いが終わるのを待って、会議が再開された。

「では班ごとに話し合った内容を発表してください。全員で共有しましょう。マーカー班からお願いします」

 トゥーラに促されて、アロンが席を立つ。

「マーカー班は4班編成で一斉に作業開始。アンバーフットの東側は俺が、西はキーツで。ルビーウッズはランスさん、ガーネットラヴィーンはトゥーラが担当することになった。1か月後にトゥーラの班からツリーリジェネレーションの講習に入る。完全マスターまでの期間は1か月余裕を持たせる。1か月後にトゥーラの班と入れ替えで、ランスさんの班が講習に入る。以下、キーツの班と俺の班が同様の手順を踏む。なお、マーカー設置は1か月1万5千本のノルマをキープする。以上」

「はい」

「はい、マルクどうぞ」

「マーカー班の計画は、ツリー班が1日6千本以上のノルマとした場合の計算で、これは問題ない。ただ、タイラーの意見を入れて、北東側にはなるべく女性を配置しないでほしい、とのことだった」

「はい」

「はい、オリーブどうぞ」

「アース班の北東側は私が担当することになってるんだけど」

「オリーブは女性のうちに入んないでしょ」

「ヒドっ! 私は戦う環境活動家なの!」

 ポールがすかさず突っ込んで、オリーブを凹ませる。

「相手は選べよ、以上」

「逃げたな、タイラー」

 からかうポールを、ギンと一睨みするタイラー。

「では、ツリー班はマルクからお願いします」

 トゥーラが非常に冷静に先へ進めた。

「ツリー班は1日6千本以上をノルマにしたい。講習明けのマーカー班とも柔軟に交流して技術の向上を図ろうと考えてる。おそらく講習明けであれば、手順の確認その他で1人15分ほどの遅れ……つまり、トータル5千9百本ぐらいが完了の目安と思われる。さっきアロンの話にもあったように、その状態が4か月続く状態であれば、ツリー班の能率向上は必須となる。時間もタイトだし、順調にいくかどうかはツリー班次第になる。だから、アース班に割く労力が正直ないんだが」

「はい」

「はい、オリーブどうぞ」

「問題ないと思うわ。私とナタルだけで28日あればイケることがわかったから」

「えっ、どういうこと? 2人とも3平方キロメートルイケるってこと?」

 ポールの眉がでんぐり返る。


 

















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