表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

4話

宝物庫から戻り、大地が「ふぅー」と息を吐いた。

「凄く緊張しました。いい経験でしたけど、物を壊すかもしれないと思うと迂闊に動けないし、しばらくは遠慮したいところです」

そう言った大地からは疲れが見てとれる。

「確かに、僕も正直緊張したよ。大地と同じ気持ちだよ」

リューゼも大地の言葉に続いた。

そんな二人を気にしてか、王が微笑みながら話し掛ける。

「まあ、壊れたら壊れた時だ。宝の一つや二つ、壊れたからといって何もしないぞ?」

・・・そういう問題ではないんだよなあ。

大地とリューゼは互いに顔を見合わせると、苦笑いをした。

「さて、今日の所は早く休んで明日詳しく話し合おう。部屋はこちらで用意するから、安心してくれ」

そう言う王に大地が頭を下げる。

「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」

「うん、ゆっくり休んで疲れを取るといいよ。では王様、私も自宅に戻ります」

「ああ、リューゼもご苦労だった。また明日もよろしく頼むぞ」

リューゼは深く頭を下げるとその場から立ち去った。

「では、部屋に案内するとしよう」

そう言うと、王は手をパンパンと叩く。

1人の女性が現れ、大地の横に立った。

綺麗な女性だったが、王と同じくあまり装飾品は身に付けておらず、素の美しさといったものを感じる人だった。

(綺麗な人だなあ、う~ん、でもなんだろ?どこか会ったような気が・・・)

勿論会ったことなどあるはずがないのだが、謎の既視感にみまわれる。

ぼけっとする大地に、王が声を掛ける。

「娘に部屋の案内をさせるからついていってくれ。ではまた明日会おう」

そう言って、王がその場を立ち去った。

・・・ん?娘?

つまりこの女性は・・・

「では、行きましょうか」

女性はそう言って大地の顔を見る。

「あ、はい、お願いします」

先を歩く女性に、遅れないように大地も後ろからついていく。

少し歩くと、目的地の部屋に到着した。

「ここがダイチさんの部屋です。ゆっくり休んでください」

「ありがとうございます。ところで、もしかしなくても貴女は王女様ですか?」

恐る恐る、大地が尋ねる。

「ああ!そうでした、自己紹介をすっかり忘れていました」

うっかり!みたいな表情をしながら、女性がスカートを摘まみながら頭を下げる。

「あらためまして、王女のベルベットです。よろしくお願いします」

「やはりそうでしたか、挨拶が遅れ失礼しました。大地といいます、こちらこそお願いします」

深く頭を下げる大地に、ベルベットが笑顔で話し掛ける。

「ふふふ、私にそんな丁寧な対応はいりませんよ?年齢も変わらないと思いますし、むしろ友達のように接してくれるとありがたいです」

「でも、それは・・・」

言い掛けて、ふと思い出す。

(そういえば、王様もこんな感じだったな。なら・・・)

「わかりました、よろしくね、ベルベットさん」

「さん、もいらないですよ?」

「よろしくね、ベルベット」

「ね、もいらないですよ?」

「・・・よろしく、ベルベット」

「よろしくお願いします♪」

なかなか芯の通った女性だなあ、と大地は思った。

「あら、いけない、早く休まないといけないのに、時間を取らせてしまいましたね。ごめんなさい、また明日会いましょう。それでは、お休みなさい」

「うん、お休み」

そう言うと、ベルベットは手を振りながら部屋から離れていった。

ベルベットを見送った大地は、部屋の扉を開け中に入った。

簡素ではあるが広く綺麗な室内、大地には不相応な部屋に思えた。

(こんなに良い部屋、本当に自分が寝ていいのだろうか?)

そう考えながらも、ベッドに飛び込んでみる。

ふかふかの柔らかい生地が、大地を包み込む。

「うわあ~気持ちいいなあ。最高級のホテルはきっとこんな感じなのかな?」

あまりの気持ち良さに、寝転がる大地を眠気が襲う。

「明日も・・・頑張ろう・・・」

そう言うと、大地は眠りの世界へと旅立った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ