美少女との嬉しくない強制デート①
日間現実世界〔恋愛〕ランキング26位でした!
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俺はバッサリ切られた髪の毛を隠すように、何かあったときのために持ってきていた野球帽をしっかりと深くかぶる。
「今日は上井君は何しに行くつもりなの?」
嬉しそうな顔をしながら聞いてくる。
「今日は新しいシューズとガットの張替えに行こうと思ってます。ここ二、三か月バドミントンしてなかったので」
いや、してたけど。実家で夕夏のお母さんに厳しく練習させられました。おかげで更に強くなりました。
「へぇ、そうなんだ。やっと部活行く気になったんだ」
「色々ありまして。夏休みを期に気分を入れ替えようと思ったんです」
「なるほどなるほど」
ずっと嬉しそうな顔をしているから、こっちまで笑顔になりそう。
「じゃあ、今日の帰り体育館寄ろうか?」
「なぜですか?」
「上井君、一学期の時一回か二回くらいしか来てなかったでしょ。だから少しでも練習しないと」
えー。またー。昨日も一昨日もやったんだけど。何かいいわけないかな?
「あ、でも僕ラケット一本しか持ってきてないよ」
「二本あるでしょ」
「両方とも張りなおすつもりなんです」
「じゃあ、私の貸してあげる」
「はい」
くっそー!逃げれない!夏休み最終日くらいバドミントンから離れたかった!
それから色々話していたら、大型スポーツ専門店に着いた。久々に来たな。
「着いた着いた。今日はガットの張替えが先かな?」
「そうだな。夏休みだから混んでそうだし」
「そうだね」
バドミントンコーナーに着いたのでまずガット売り場へと向かう。
バドミントンのガットには反発力、耐久性、コントロール、打球音が比べられている。最後の打球音は要るか分からないが。そして、反発が同じくらいでも攻撃型の人とコントロール型の人とガットの性能が分れている。
俺は反発高め、コントロール高めの奴を使っている。いつも使っている奴なのですぐに棚から取り、受付へ向かう。
「へぇ。早いね。全然部活に来てないのに」
そんな俺の行動に疑問を持ったのか聞いてくる。
確かに今の行動はおかしいな。バドミントン初心者のくせにガットをすぐ決めるなんて。
「感覚です、感覚」
「ほんとかなぁ〜」
めっちゃ疑われております。
「本当です。あの、すいません。ガットの張替えお願いします」
この話題を終わらすために受付の人を呼び出す。
受付の人に聞かれたことに答えていく。
張りの強さは20ポンド。
「ガットはいつまでに張れば宜しいでしょうか?最も早くて明日の18時以降になりますが」
おお、意外に早い。空いてるのかな?じゃ、明日でいいや。
「明日の18時でお願いします」
「はい。では、この用紙を持ってカウンターにお並びください」
「はい」
その紙を俺は落とさない様に手に持ち、そのままシューズ売り場へと向かう。
「上井君は何センチ?」
「僕は26.5です」
俺は実家に置いているシューズと同じ奴を買う。
「これこれ」
「え!上井君こんな高いやつ買うの!」
「え?うん」
俺が今買おうとしているシューズは10000円越えのシューズ。
あ!今の俺完全にうまい奴だよな。何か言い訳はないか?
「すごいね!実はバドミントンうまかったりするのかな?」
その言葉にギクッとする俺。
「そんなわけないじゃないですか。高いシューズの方が強くなれそうな気がするじゃないですか?」
「確かにそうだけど」
「あと、このことは黙っておいてくださいね。盗られそうで怖いので」
「分かったよ。試しに履かなくていいの?」
あ!完全に忘れてました!
俺は近くにいた店員さんを呼び、近くにあった椅子に座る。
店員さんに箱からシューズを出してもらい、実際履いてみる。
流石、ぴったりだ。
店員さんにお礼を言って箱の中にシューズを直してもらう。
「栗山さんは何か見なくてもいいの?」
「特にないかな?それと早く行くよ!」
「分かりました」
カウンターでお金を払って俺たちは店を出た。
他二作品『親友の好きな人が俺の偽恋人になりました』『俺はモブになりたい!』も日間現実世界〔恋愛〕ランキング載せていただきました。気が向いたときにでも読んで下さると嬉しいです。