ACT.04 高校デビューしてはいけないのですか? 04
20X△年、4月10日(火)
殆どのクラスメイトと別れることになった。だけど、ここまで来ても高草木とは、離れることはなかった。
俺たちは、20X△年の3月14日に見事に卒業することができた。まぁ、それまで『いろいろ』『沢山』大変なことはあったけど、それは番外編にでも置いておくとしよう。
俺と高草木は、市内の県立工業高等学校に入学した。
そして俺たち2人は、土木科に所属している。
そもそも『土木科』とは、家の土台や道路、上下水道、ダム、橋などの主にコンクリートが関係するものを施工する勉強をする学科だ。
クラス人数40人。
他の学科と合わせて200人が今回の入学生の人数だった。
「なぁ.....」
俺が高草木の席に行って話しかけた。
ついでに、俺の席が右から4列目の1番前で、高草木が右から3列目のちょうど真ん中だった。
「なんだ? 」
「この部活に入ってみないか? 」
俺は、入学が決まった時に配られた冊子の部活の欄のとある部活を指差した。
「......アコースティックギター愛好会? 」
「そう! どう......かな? 」
『初心者大歓迎!
楽器をやってみたい人、バンドをやってみたい人是非入ってください! 』
と、部活説明欄に書いてある。
俺はこの『バンドをやってみたい人』のところで入りたいと思ったのだ。
「それじゃあ、1週間の部活見学の時にでも見てくるか? 」
「そうこなくっちゃ! 」
俺たちはハイタッチをした。
考えていたことが完全に一致したからだ。
流石幼馴染!
考えることがすぐにわかる!!
〜部活見学初日〜
「久しぶりだな、不知火! 」
俺に声を掛けてきたのは.....
「て、てめぇ。なんでここに!? 」
俺を庇うように高草木が前に出てくれた。
「おぅ、怖い怖い。小学校と変わらねぇな」
俺は、無意識的に高草木の袖を引っ張った。
「.....行こうぜ」
俺と高草木は、そいつの横を素通りしてその場を去った。
『薄井沢 憲剛』
さっきの奴の名前だ。あいつは、俺たちの小学校の時のクラスメイトだった。だけど、とある理由で学校を転校することになったのだ。
俺もそうだが、みんなあいつのことは嫌っていた。
「あいつもこの部活に入るのかな.....? 」
「わからない」
俺は、入らないように祈るしかなかった。
まぁ、こんなことをする時って大体その願いは、叶わないのだけれど......
俺は、それしか出来なかったのだ。