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緑風のシェータ  作者: 日野咲夜
第2部 波乱
11/25

第9章 〝命懸けの願い〟

メリークリスマス!

日野サンタが第9章をお届けします! 良いクリスマスを……。

 東の空が白み始める頃、ようやくシェータは帰ってきた。

 黙って出ていったことが後ろめたくて、こっそりと戸口から中の様子を覗く。幸いまだ皆は寝ているようだ。コガラシだけは腕組みをして壁際に寄りかかっていたが。

 しかもその顔は、心なしか少し不機嫌そうに見える。

 「……た、ただいまー、コガラシ………メツスィー」

 シェータがコガラシの表情に戸惑いながらも帰りの報告をしたところで、メツスィーがむくりと起き上がった。

 そしてまっすぐにシェータを睨みつける。その眼光は寝起きでありながら鋭い。いや実際は寝ないで徹夜していたのだろう。目の下のクマがそのことを示している。その上確実に怒っている。

 「あ、あれ~? メツスィー起きてたのぉ? 駄目じゃない、ちゃんと寝なきゃ……」

 「そういうお前は、こそこそどこに行ってたんだ?」

 シェータは少し間を開けてから、もじもじしながら答える。

 「え、えーと………ちょっと星を眺めようかな~なんて……」

 「わざわざ神殿にまで行って、か?」

 あ、ばれてる、とシェータは心の中で呟く。

 メツスィーはうんざりとしているコガラシを指差し、いつになく真剣な口調で言った。

 「あのに教えてもらった。……で、お前はバカか? あの手紙を見て、お前は何考えたんだよ。これ以上、アトルにお前の気持ちを押しつけるな……」

 「押しつけてなんかいない。アトルはちゃんと生きてくれるって、あたしに約束してくれたんだから」

 自信たっぷりに言うシェータに、メツスィーは頭を押さえて長い溜息をつく。

 「……まあ、そんなことだと思ってたけどな………」

     ◆◆◆


 朝日が昇り、次の朝がやってくる。

 黎明れいめいの時は驚くほど短く、ぼーっとしているとすぐに通り過ぎていってしまう。

 時間も、太陽も、全てのものは誰も待たずにどんどん先を行ってしまうものだなあ、とシェータは思う。

 「シェータ」

 小屋から出て朝日を眺めていたシェータを、まだ少し眠そうな声でメツスィーは呼ぶ。

 シェータが帰ってきて少しだけ説教してから一応仮眠を取ったのだが、たった1時間の仮眠ではさすがに足りなかったようだ。顔色は土気色で、少しやつれている。足取りもふらふらとおぼつかない。

 たった一晩眠りを疎かにしただけでも、こんな風になるのかとシェータはいぶかしく思った。少し躊躇ちゅうちょしながらも、シェータは問いかけた。

 「…あの、昨日何かやったの?」

 メツスィーはいくらか間を置いてから、途切れ途切れに答えようとした。

 「……昨日、お前が出ていったのを確認して……それで、後を追おうと思って……それを、コガラ……」

 そこまで言いかけて、彼のまぶたはとろんと微睡まどろみ、うつ伏せに倒れかける。シェータはすかさず彼の体を支えようと手を伸ばすが、盗賊としてのプライドが許せないのか、すぐに振り払われてしまった。彼は眠気を振り払おうとしてか、己の頭を二、三回ゴンゴンと殴った。満足するまで殴った後、一息つき、「何でもない」と一言添える。

 「……そんな訳」

 「今晩」

 何か言おうとしたシェータを、メツスィーは遮り、流し目を送る。彼の目にはもやもやとしたものが浮かんでいて、その目に圧倒されて何も言えなかった。

 「…今晩、作戦を練りに行くぞ。テスカトリポカを、探すための……」

 「……了解」

 短く、たったそれだけ、シェータは応えた。

 「それと……もう一つ」

 メツスィーは近くの苔むした岩に腰かけ、シェータにも座るように促した。誘われるままにシェータはその隣に座る。

 「アトルのことについて………話しておこうと思って」

 シェータの顔に一気に不安の色が現れた。メツスィーの顔色が悪いのも理由の一つではあるが、それよりも彼の表情が深刻なものに変わったことに心配になった。

 メツスィーは睡魔を振り払うようにブンブンと頭を振り、またもや強く殴る。殴りすぎるとバカになってしまうのではないかとシェータはハラハラしていたが、とりあえずじっと見ていた。

 「俺が、これまでアトルといて感じたことだがな……」

 メツスィーは己の体を気遣いながら、ゆっくりと語り始めた。



 「あいつは昔から、と言うと、少し、変かな。アトルと会ったのは、二年前だから。でも、その時から、あいつは何かを…諦めてるみたいだった。まあ、何かっていうのは、自分の運命…かな」

 「……自分の、運命?」

 シェータは、俯いて過去を語るメツスィーの様子に気を配りながら、彼の話に聞き入る。

 彼が、いつもとあまりに違う静かな声で語るものだから、空気までも変わったように思える。朝日はもはや円を晒し、眩しかった光も少し落ち着いた。それと行き違いに温かい光が零れ、彼の声はそれを伴う。

 だから、彼の声は温かいように感じるけど、どこか寂しそうな隙間風が吹いていた。

 「アトルは……第二皇子。でも、王と妾との間に、生まれた子。それだけで周りから白眼視…されてきたことは、知っているね?」

 「うん……アトルが言ってた」

 その話は、アトル本人から実際に聞いていた。彼は、ずいぶんと軽く話していたが……。

 メツスィーは続ける。

 「周りは元々、第一皇子派ばかり…だったし、そのままだったら、アトルは、今ほど窮屈ではなかったろうな。でも……ある時、第一皇子が倒れて………アトルの兄上は、元々、病弱だったけれど、それほど大変な、ものではなかった。なのに、その、病のせいで……」

 そこでメツスィーは一度話を切った。眠そうに頭をかくんと傾ける。このまま寝かせて良いのかシェータは迷ったが、彼は自分で無理矢理起き上がり、また頭を殴った。

 また話し始める。

 「…その病で、寝たきりになって…しまった。第一皇子は、政治を行うのは、困難だと、思われた。そう医師に、伝えられたとき、何人かの有権者が、第二皇子についた。今まで、軽視されていた皇子が、いきなり重要視されるように…なったんだ。その頃のアトルは、もう、物心がついていて……周りのことも、大体理解出来るくらいに…成長していた。でも、まだ、幼い子供だったんだ。そんな子に、わらわら貴族達が、集まってきたら、あいつは……どう思うだろうね」

 メツスィーは顔を上げて、遥か遠く、地平線を見つめた。その目は物体ではなく、懐かしい昔を見てるようだった。シェータも倣って彼方を見やる。……が、彼女には何も見えない。

 「……今まで、自由気ままに、外を駆け回っていた…アトルに、護衛がついた。何かしようものなら…必ず、出しゃばりが入って、勝手に、振る舞えなくなった。その差は、歴然だろうね。あいつは、アトルは知らない内、に…自らの運命を…変えられてしまった。自分は、何もしてないのに、周りは…勝手に動いていく、ん、だ。気付いた時には、もう、どうにもならないようになってる」

 シェータは、ぶるっと身震いした。思わず自分の両肩を両腕で抱き締める。

 知らない内に、全てが変わっていく恐怖。

 未知ほど怖いものはない。何も分からないから、守りようがない。出来ることは小さな抵抗。

 アトルは、ずっとそんな恐怖の中に暮らしていたのだろうか。

 考えるだけで、息が詰まりそうでぞっとする。

 はっとして気付くと、メツスィーが自分の顔を眺めていた。シェータの反応に、少し嬉しそうな苦いような表情を浮かべている。シェータと視線が絡むと、ふっと顔を反らした。

 そして、まるで呟くように、ぽつりと言った。

 「…今は、アトルは、それを、なんてことないように話す。普通に、笑って。でも、きっとそれは強がりなんだ。人間は……悲しみや、寂しさに慣れること、なんて、絶対に…出来ない。奥の奥に、隠してしまってるだけなんだ………それも、無意識に」

 彼は安らかに目を閉じた。

 「………今、こんなことを言うのも何だけど…アトルみたいな悟りきった奴には、お前みたいなのが必要なのかもな。きっとあいつは、現在も過去も、お前みたいのを待ってた」

 シェータは、胸の奥に熱いものを感じて、思わず赤面した。一瞬、これまでのメツスィーの話で蓄積されてきたもやもやが取り払われる。その空っぽの感覚に驚いてこっそりと慌てた。

 メツスィーはそれを知ったかぶりして、彼女の様子に満足したようにそっと笑んだ。

 そして言うのだ。

 「……あいつの、助けになってやってくれ。もうずっと、待ってるんだ………」

 シェータは少し酸っぱい気持ちで微笑んだ。


     ◆◆◆


 朝だった時間はいつの間にか通り過ぎ、時刻は月の見えぬ深夜……。

 シェータ、メツスィー、そしてしかめっ面コガラシの三人は、アトルの居る神殿の西側に集結し、頭上の窓を見上げていた。そこからはアトルがひょっこりと顔を出し、心配そうに三人を見つめている。

 大丈夫だよ、と言うように、シェータはアトルに向かって手を振って見せた。彼は安心したように、それでもまだ不安そうに見下ろしている。

 シェータは、二人に頷き、腕を振り上げた。あの夜と同じように草花の弦がしゅるしゅると伸び、梯子をつくり上げる。今回は大の男であるメツスィーも上るので、この前よりも丈夫につくった。そのことを言うと彼がショックを受けそうなので、あえて言わなかったが。

 蔦の数も前回より多かったので、可愛らしい花も沢山咲いた。上ではアトルがその花を嬉しそうに眺めていた。「綺麗な花畑だね」とでも言っていそうだ。

 まず、梯子の調子を確かめるためにシェータが昇っていった。……そしてその横をコガラシが楽々と飛んでいく。風を司る彼女にとって、梯子は不用品のようだ。

 「お先に~」

 コガラシはシェータにひらひらと手を振り、一足先にアトルの部屋へと入っていく。待っていたアトルは驚いて目を丸くしていたが、コガラシと何か会話を交わして納得したようだった。

 「むうっ…コガラシの…バカァっ…」

 途切れ途切れに悪態をつきながら、シェータは地道に梯子を上っていく。もう少しで目的地につきそうだ。

 (そうだ……この前はこの辺で落ちそうになったんだっけ)

 シェータは、ふと前回の失態を思い出す。そして足元を意識しながら、今度は落ちないように慎重に上る。

 ………だが。

 「! きゃわっ!!」

 「シェータ……」

 「バカ! 何やってんの!?」

 ……またもや、足を滑らせた。

 今度はアトルの手も届かず、シェータは真っ逆さまに墜落する。下では、メツスィーが慌てて彼女を受け止めようと腕を広げる。

 真上の星空を映していた彼女の双眸に、突如銀鼠色の飛行体が遮る。

 (!?)

 次の瞬間、急にシェータは宙に浮いた感覚に包まれた。落下していたはずなのに、周囲の景色は止まっている。

 (……あれ?)

 誰かに抱えられているような感覚に驚いて、シェータは自分の傍にいる人物を確認する。

 それは、灰色の短い髪で、冴える風のような瞳の少女――。

 コガラシだった。

 「あっ、コガラシ…ありがと……」

 「バカッ!」

 彼女の第一声はそれだった。

 「バカ! ドジ! アホ! マヌケ!! アンタってばどうしてそこまで抜けてるのよ! 危なっかしくて見てられないわよ! ああ、もうっ!」

 「…ご、ごめん…」

 「神様が転落死って何よ! 情けなさすぎるんだからぁ!!」

 己の怒りのままに、コガラシはシェータを抱き締めた。いや、抱き潰したとでも言うべきだろうか。コガラシの力があまりにも強すぎて、シェータはうぇ、と呻く。それに気づかないコガラシは、さらに強く抱き締める。

 「お~い……大丈夫かぁ……?」

 下でメツスィーが、少し呆れ気味に言った。



 「よっこらせ……っと」

 最後にメツスィーが昇り切ると、シェータは今度は腕を下げ、草花の蔦を回収する。花も葉も綺麗に片づいて、後にはただの石の壁が残った。

 「良し……完了」

 植物の後片づけを済ませると、シェータはアトル達の輪の中に入った。

 最初に、アトルが本題を切り出す。

 「えーと……ごほん。今日……あ、今晩は、シェータの「作戦」について話し合うんだけど……その前に」

 アトルはコガラシの方を向き、改まった口調で自己紹介する。

 「初めまして。アステカ第2皇子、アトル・イルウィカミナです。以後お見知りおきを……木枯らしの神様」

 「…………」

 コガラシは物珍しそうにアトルを凝視しているだけで、黙りこくっていた。アトルは何も気にしていないようだが、シェータは少しだけどきどきしながら、二人の様子を見ていた。

 コガラシが口を開く。

 「……私のことは〝コガラシ〟で良いわ、アトル皇子」

 「じゃあ、僕も〝アトル〟で」

 (……ほっ)

 割とうまく話せているようで、シェータはほっと安堵する。

 メツスィーも同じように感じていたのか、少し気を楽にして話し始める。

 「…じゃ、早速作戦についてだけど……アトル。〝命懸けの願い〟は覚えているな?」

 「………何だったっけ?」

 「はあぁ!?」

 メツスィーは全く呆れたような声を上げて、目を見開いた。アトルは恥ずかしそうに照れている。

 「おいおい……その神話はお前が俺に教えたんだぞ。お前が忘れてどーする…」

 「いやぁ……ごめんごめん…はは…」

 誤魔化そうとアトルは軽く笑う。そんなアトルを、コガラシはじっと観察・・する。

 シェータがそれに気づいて、声をかけた。

 「……どしたのコガラシ? ずーっとアトルばっかり見つめちゃって。さては一目惚れぇ?」

 最後の余韻を少し伸ばして、からかい気味に言ってみた。それに対抗してか、コガラシはきわめて冷静に答える。

 「バッカ、何言ってんの? アンタの惚れた男がどの程度か観察してるだけよ」

 「―――――ッ!」

 途端にシェータは顔を真っ赤にする。

 「ちょっ、な、何言って…」

 あまりのことに口がうまく回らない。見れば皆の視線がシェータに集中している。こうなったのは無論コガラシのせいなのだが、彼女は悪びれもせず口笛など吹いている。たぶん、わざとだろう。

 アトルは、特に慌てることもなく、にっこりと彼らしく微笑んで言った。

 「はは……僕もシェータは好きだよ。いつも明るくて……面白い。これからもずっと友達でいてくれたら良いなぁ…」

 「………あは」

 「ずっと友達」という言葉に、ささやかなショックを受けてしまったシェータは、とりあえず小さく笑った。その隣でコガラシが面白そうに笑いを堪えていた。

 「ふふ……ええと、何だったかな……あ、〝命懸けの願い〟か……」

 笑いを抑えつつ、メツスィーは問題を引き戻す。

 シェータもまだ顔は赤かったが、彼に従うことにした。

 「まず……テスカトリポカを探せるのは、夜のみ。アトルは夜しか動けないし、そもそもテスカトリポカは夜にしか現れない」

 「ねえ、アンタ」

 皆に説明するメツスィーを、コガラシはびしりと指差す。今度は何かと、シェータは明らかに嫌そうな顔をし、その様子を見守っている。

 「テスカトリポカ様のことを呼び捨てにするのは止めなさい。あの人は一応私の上司なんだから」

 「えっ、そうだったの?」

 シェータが意外そうに言うと、コガラシは「アンタは黙りなさい!」と彼女に一喝。

 対するメツスィーは尤もな理由を言う。

 「別に良いだろうが……俺は元々アステカの神なんて信仰してないし、そもそもこれから倒す相手に敬語を使う理由は……」

 「た・お・す・と・し・て・も! 敬意ぐらいは払いなさい。どっちにしてもあの方にお世話になるんだから」

 「……はいはい」

 コガラシのごり押しの言葉に、メツスィーは面倒臭そうに頷いた。少なくともシェータのように言い争いをする気はないようだ。

 「……で、アトルの動けない昼の間は、俺ら三人のみ行動しよう。シェータとコガラシはテスカトリポカ…サマの行方捜索、俺は情報収集だ」

 「……うん、分かった」

 彼の選択にシェータも納得し、了解する。コガラシは嫌そうな顔をしながらも、とりあえず頷いていた。

 「大事なのはここからだ」

 メツスィーは腰を前に屈め、話に入り込む。同じように屈むシェータを、アトルは微笑ましく見つめる。

 「テスカトリポカ、サマと、誰が戦うか」

 「はいっ、あたしがやるっ!」

 誰よりも速く、シェータが手を上げ、立候補する。彼女はまたもや一同の注目を一斉に浴びる。

 そして、それに競うように手を高く上げる者がもう一人………。

 「……いやっ、僕だ! 僕がやる!!」

 意外なほどに熱く立候補するのは、これまた意外な人物……アトルだった。

 これには皆シェータ以上に注目した。第1立候補者のシェータですら、あんぐりと口を開けて、彼を見ている。

 メツスィーは、しばらく考えてから、納得したのか満面の笑みを浮かべた。

 「……そうだな。アトル、やってみろ」

 「ああ!!」

 「ちょっと待ってよぉ!」

 メツスィーの突然すぎる判断に、納得出来ずシェータは大声を上げる。その口を、コガラシは咄嗟に塞ぐ。少し遅いような気もしたが、部屋の密封性のおかげか、大丈夫だったようだ。

 シェータの様子が落ち着いてから、コガラシは手を放す。ぷはぁ、とシェータは息を吹き返す。

 一応周りに気を配りながら、シェータは抗議した。

 「……どうして、あたしじゃ駄目なの!? テスカトリポカ様は神様なんだよ? 人間じゃ勝てる訳ない……」

 「何言ってんだ、シェータ」

 メツスィーは割とあっさりと否定する。コガラシは、分かり切っているように余裕の表情をしているが、シェータにはさっぱり分からない。

 メツスィーに変わって、アトルが説明する。

 「シェータ……アステカは軍国主義だ。強さがものを言う時代……アステカの男は皆、強くなくてはいけない。もちろん僕も。それに……強いものに勝つことは、僕達の名誉でもあるんだ」

 それに……、とメツスィーがつけ加える。

 「神話の中で、テスカトリポカ様に戦いを挑んだ男はどうなった? あっけなく負けたか?」

 「……勝った」

 「そういうことだ、シェータ。相手が何であろうと、本気でかかれば負けないんだ」

 納得した様子のシェータに、アトルは懇願する。

 「だから……」

 そして、アトルは深く息を吸い、気持ちをこめてその一言を発した。

 「分かってほしい。僕を、テスカトリポカ様と戦わせてほしいんだ」――。

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