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第1話 ストーカー

ごく普通のOLめぐみはストーカー被害に遭っていた。

ある日友人清美から紹介されたサイト、護衛屋。

このサイトに依頼することから物語は始まる。

日本は平和に見えて実は危険な国である。

毎日ニュースでは殺人、強盗など放送される。

そんな物騒な時代に噂されるホームページがある。

■護衛屋■


これは護衛屋を利用する人たちを描いた物語。



200×年10月、東京都、ごく普通のOLである井原 めぐみは仕事を終え、夜道を歩く。

後ろから気配を感じる……いつも帰り道に気配を感じていたが、その日はいつもと違っていた。


不気味に思いながら家に到着すると何か不自然な気がした。

「気のせい…よね…」

と自分に言い聞かせた瞬間めぐみは凍り付く。

なんと、窓に見知らぬ男が張り付いている!!

恐ろしくなり、気づかぬふりをしながらめぐみは部屋を出る。


友人、清美の家に駆け込むと、めぐみは泣き崩れた。


「どうしたの?」

清美が聞とく。

めぐみは泣きながら事情を話した。

「……………」

清美は少し黙り込むと携帯を開いた。

「ねぇ、このサイトで依頼してみれば?」

清美の携帯には護衛屋というホームページが開かれていた。

「まずは警察に行くよ。」

めぐみは警察に電話した。

しかし、警察の対応はあまりにもひどかった。

「ダメもとで護衛屋に依頼してみれば?」

清美が勧める。

「うん…そうだね」

不安ながらもめぐみは護衛屋に依頼のメールを送信する。

すると、すぐに返信されてきた。メールを開くと、直接お話がしたいので、会える日時と場所を指定して下さい。

とだけ書かれている。

めぐみは会社と近いファミレスで窓際の角席に明日の午後3時、と返信する。

しかし返信は来ない。

「返信来ないけど大丈夫かな…?」

めぐみは不安になり清美に聞く。

「とりあえず時間になったら行ってみれば?」

清美は適当に答える。

その日めぐみは清美の家に泊まった。

翌日、めぐみは仕事を休み清美と待ち合わせ場所に行く。

3時なのでファミレスは空いていた。

「めぐみ…もしかしてあの人じゃない?」

清美の指差す先には一人の若い男がいた。

「え〜、違うでしょ!」

めぐみは男のテーブルを見る。

男がいるテーブルにはドリンクバーから取ってきた、大量のコーヒーカップと100個以上の砂糖があり、灰皿にはタバコの吸い殻がぎっしりと詰まっている。

めぐみの携帯にメールが届いた。

(43番席にいます)

と書いてある。

(やっぱりあの人の席だ……)


「あのぉ…護衛屋さんですか?」

不安ながらもめぐみは尋ねる。

「お待ちしていました。井原めぐみ様ですね。そちらの方はご友人ですね。」

男は笑顔で答える。

「は、はいっ!!」

二人は緊張しながら答える。


めぐみと清美は驚いた。

なんと護衛屋の男は自分より若く見える。

十字架のピアス、黒いコートに黒いズボン、おまけに眼鏡まで黒い。

二人はとりあえず席に座る。

「自分は護衛屋の12番、黒猫です。まずは詳しく事情を聞かせて下さい。」

護衛屋が尋ねる。

…黒猫?疑問を抱きながらめぐみは事情を説明する。

「わかりました。ではめぐみ様のご自宅まで案内して下さい。」

「はい…」

めぐみは戸惑いながら答える。

めぐみは家に帰るのが怖かった。

店を出ると護衛屋の車があった。

「どうぞ乗って下さい。」

護衛屋はそう言って車に乗った。

二人も車に乗る。

やがてめぐみのアパートに着いた。

「しー!静かにして下さい。」

護衛屋は部屋に入るなり何故か携帯ラジオを取り出した。

「ザーー」

ラジオの砂嵐だけが部屋に響く。

「ザーザザ、キーザーザザ」

ラジオが戸棚付近でいきなり唸りだした。

「う〜ん、やっぱり。」

そう言って護衛屋は戸棚から何かを取り出す。

「護衛屋さん、なんですかそれ?」

めぐみが聞く。

「普通の盗聴器ですよ。」

護衛屋は笑顔で言うがめぐみは青ざめていた。

しばらくすると

「ごめ〜ん。明日仕事だから帰るね!!」

そう言って清美は帰った。」


その後も護衛屋は部屋を見回して、

「めぐみ様、今回の依頼料は4万円はしますがよろしいですか?」

護衛屋は真剣な眼差しで言う。

「な、なんでそんなに高いんですか!!?」

あまりの金額にめぐみは驚いた。

「犯人はあなたを強姦、もしくは殺害する危険性があります。」

真剣な眼差しで護衛屋は答える。

「よく見て下さい。布団、トイレの裏側、ごみ箱に妙な染みがあります。これに記憶がありますか?」

護衛屋が意味ありげに聞く。

「い、いえ。今気づきました。」

不思議そうにめぐみが答える。

「これは恐らく男性の精液が乾燥してできた染みです。これはかなり危険なケースで…」

「い、いやああぁぁぁっ!!!」

護衛屋が言い終える前にめぐみが悲鳴を挙げた。

めぐみは震えつづけ怯えきっている。

「これ飲むと落ち着きますよ。あ!コーヒー飲めます?」

護衛屋はどっからともなく缶コーヒーを出した。

「じゃあ自分は帰りますので、何かあったら連絡して下さい。」

護衛屋は帰ろうとする。

「待ってぇっ!!一人にしないでっ!!!」

めぐみは泣きながら引き止めようとしたが、護衛屋は部屋を出ていった。

めぐみはその後も恐怖で泣き続けていた。

しばらくたち、めぐみは護衛屋がくれたコーヒーを飲もうとした瞬間!

「それを飲むなぁあっ!!」

見知らぬ男の怒鳴り声が!!!

めぐみに戦慄が走る。めぐみは恐怖で動けない。

なんと男がめぐみの部屋に押し入ってきたのだ。

窓の鍵が開いていた。

めぐみは近くにある物を必死に投げつけるが、抵抗虚しく男に捕まりあっという間に手足を縛られてしまった。

男のベルトには大きなナイフが装備されている。

「護衛屋?そんな奴なんて役に立たないんだよ!!カメラに気づかない馬鹿だ!」

男は笑いながら続ける。

「次に騒いだら嫌だけど喉を切るからね。」

そう言って男はナイフを突き付ける。

めぐみは震えながら硬直する。

男はめぐみの口にタオルを縛り付ける。 「俺が帰ったら警察に通報してもいいよ。捕まる覚悟はできてるからさぁっ!」

そう言って男は自分のズボンとパンツを脱ぎ、下半身裸になる。

「うぅぅっ!!」

めぐみが泣きながらもがく。

「何?騒ぐの?」

男はナイフをめぐみの首に突き付ける。

めぐみは泣きながら黙り込んだ。



バツン!!


………いきなりブレーカーが落ちた。

同時に何者かがライトを持って部屋に押し入る。

ライトがナイフを持った男に近づいた瞬間ライトが消える。


バチバチバチバチバチバチ!!!

「いぎゃあ、がぁああっ!!」

落雷のような音と共に男の悲鳴が響き渡る。

ガチャっ…ガチャ!

何かの音がして、一人がブレーカーを上げに行った。


すぐに電気がつくと、めぐみの前には下半身裸の男が手錠をされてもがいている。

玄関から足音が部屋に迫る。

「大丈夫ですか?」

そこにいたのは護衛屋だった。ファミレスで見せた笑顔でめぐみに問い掛ける。

「あっ…それじゃあ喋れないですよね。」

護衛屋はめぐみの口に縛られたタオルと手足のロープをほどく。

縛られたところが赤く腫れている。

「う、うわああぁあん!」

めぐみが泣き出すと護衛屋は缶コーヒーを出した。

「飲むと落ち着きますよ。」

護衛屋が出したコーヒーはまだ暖かい。

めぐみは泣きながらコーヒーを飲んだ。

護衛屋はライトを出すと笑いながら

「これ、実はライト型スタンガンなんですよ。100万ボルトです♪」

と言って犯人の男に押し付けスイッチを押す。

バチバチバチバチバチバチっ!!!

「いぃいいがぁあっ!!」

男は悲鳴を上げる。

護衛屋は男の口にガムテープを巻いた。

「こいつの声はもう聞きたくないでしょうから。実はデジカメで証拠写真撮ってたんですよ。あそこから。」

護衛屋が指差す先にはグレーのセダンと長いハシゴがあった。

「あ、ありがと」

めぐみは少し落ち着いて護衛屋に礼を言った。

「依頼を請けたら死んでも守るのが護衛屋ですから。」

笑顔で護衛屋は告げるとナイフ男を連れだし、車のトランクに男を突っ込んだ。下半身裸のままで。


護衛屋が部屋に戻ってきた。

「依頼料金4万円です。」

…………

「そ、そうですね」

めぐみは料金4万円を支払うと、護衛屋は1万円返してきた。

「この1万円で防犯ブザーくらいは買って下さいね。」

護衛屋の意外な発言でめぐみは何故か笑った。

「そう言えば護衛屋さんって、歳いくつなんですか?」

めぐみが聞いた。

「二十歳ですよ。」

護衛屋はなんと二十歳だった。

「は…二十歳??………あたしより4っつも下なの???」

めぐみは驚き、さらに聞いた。

「何歳から護衛屋やってるの?」

護衛屋は戸惑いながら

「17歳からですね。」

と答える。


話してるうちにめぐみは護衛屋に好意をもってしまった。

「ねぇ、今夜は家に泊まってかない?」

いきなりのめぐみの発言だった。

「さっきの男がトランクで暴れてるんでまずは警察に届けてからですね。」

そう答えて護衛屋は部屋を出て行く。

めぐみは見送るためについて行く。

「じゃあ、警察に送って来ます。」

そう言って護衛屋は車を走らせた。

よく見ると車は福島ナンバーだった。

めぐみが部屋に戻ると一枚の手紙と領収書があった。

めぐみは手紙を読んだ。

(この度は御依頼ありがとうございました。めぐみ様より後ほど警察へ被害届けの提出をお願い致します。護衛屋より)


その後護衛屋が戻ってくることはなかった。



第1話 完

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