第1章: 邂逅、そしてバレットの伝授
森の奥深く、鬱蒼とした木々の合間で、一体あたり2メートルを超える巨躯を誇るフォレストウルフ十体が、一人の大女を包囲していた。しかし、絶望的な状況にあるはずの彼女が放つ威圧感は、十体の獣たちを凌駕していた。
大女が手にしているグレイブは、並の戦士であれば両手で持ち上げることすらままならない、鋼鉄の塊のような超重量級の得物だった。しかし、彼女はその巨大な武器を、まるで細身のレイピアか片手剣でも扱うかのように、羽毛のごとき軽やかさで操っている。
彼女は、その長い腕でグレイブの柄をしっかりと両手で握り込んだ。
「ハァッ!」
鋭い呼気と共に、超重量の刃が空を切り裂く。両手で振るわれるその一撃は、軽やかな操作感とは裏腹に、森の空気を爆ぜさせるほどの破壊力を伴っていた。
襲いかかるフォレストウルフに対し、彼女はグレイブを大きく旋回させる。文字通り、庭の草を刈るかのような無造作な動作だが、鋼鉄の刃が触れた瞬間、2メートルを超える狼の体は抵抗を許されず真っ二つに断たれた。
一体、また一体。 彼女が両手でグレイブを振るうたび、凄まじい遠心力が死の旋風となって森を吹き抜ける。危なげない足取りで間合いを支配し、群がる魔物たちをものの数十秒で殲滅した。
すべてが物言わぬ肉塊と化した静寂の中、175cmの長身を誇る大女は、両手で構えていたグレイブの石突を静かに地面についた。鎧に包まれた豊かな胸をわずかに上下させ、彼女はその整った美貌に何の感慨も浮かべることなく、返り血を払った。
森には再び、重い静寂が訪れていた。十体のフォレストウルフをものの数十秒で殲滅した大女は、両手で持った超重量のグレイブを、血の一滴も付着させていないかのように静かに構えていた。その視線は、既に次の気配を捉えていた。
「ゴオオオオオオッ!」
地を揺るがすような雄叫びと共に、巨木をなぎ倒しながら森の奥から現れたのは、フォレストボア。しかし、そのサイズは常軌を逸していた。一体あたり5メートルを超える巨体は、まるで動く岩山のようだ。鋭利な牙は、太い木々を根元から引き裂くほどに発達し、琥珀色の瞳には獰猛な殺意が宿っている。それが五体。
大女の表情に、微かな変化があった。しかし、それは驚きや恐れではなく、むしろ、より深みを増した集中力の表れだった。彼女は両手でグレイブを構え直し、まるで獲物を査定するかのように、現れた巨大な魔物たちを視線で追う。
最初のボアが、地響きを立てて突進してきた。その速度は、巨体からは想像もつかないほど速い。森の木々が次々とへし折られる中、大女は冷静に、その突進の軌道を見極める。
そして、間合いに入った瞬間。
「ハアアアアッ!」
彼女は雄叫びと共に、その鋼鉄の腕を最大限に活かし、両手で握り込んだグレイブを水平に、全力で振り抜いた。 超重量の刃が唸りを上げ、5メートル級のフォレストボアの分厚い皮膚と筋肉を、まるで豆腐のように切り裂いた。
「ギィィヤァァァァッ!」
断末魔の叫びと共に、最初のボアの巨体が真っ二つにされ、左右に分かれて地面に倒れ伏す。
その光景に、残る四体のボアたちが一瞬怯むが、すぐに怒りの咆哮を上げて一斉に突進してきた。森全体が揺れるほどの振動が、彼女の足元に伝わる。
大女は、その巨体に見合わぬ俊敏さで、突進してきた二体のボアの間をすり抜ける。そして、すれ違いざまにグレイブを縦に振り下ろした。その一撃は、大地を叩き割るかのような重さで、二体目のボアの頭部を粉砕した。
彼女の周囲で、再び血と肉が飛び散る。 三体目のボアが彼女の背後から迫るが、大女は素早く身を翻し、グレイブの柄の部分で強烈な一撃を叩き込んだ。並の武器ならへし折れる衝撃だが、超重量のグレイブは微動だにせず、ボアの頑丈な頭蓋を内側から破壊する。
残り二体。 彼女の眼光はさらに鋭さを増し、迷いなくグレイブを振り続ける。 森は、もはや静寂とは程遠い、破壊と血の匂いに満ちた戦場と化していた。
森の空気は、粉砕された三体のボアの血臭で満ちていた。しかし、戦いはまだ終わっていない。
残るは二体。 そのうちの一体、深手を負い狂乱したフォレストボアが、死に物狂いの力でその太い前脚を振り抜いた。大女が迎え撃とうと振るったグレイブを、ボアの圧倒的な質量が強引に弾き飛ばす。
「――っ!?」
衝撃を殺しきれず、彼女の体は後方の巨木へと弾き飛ばされた。
ドォォォォン!!
大木が震え、衝撃で剥がれた樹皮が舞う。背中を強打した彼女は、そのまま地面へと崩れ落ちた。
「くっ!!」
短い呻き声が漏れる。 グレイブを握っていた右腕が、不自然な方向に曲がっていた。鋼鉄の塊を羽毛のように操っていたその剛腕の骨が、5メートル級の怪物の執念の一撃によって砕かれたのだ。
折れた部位から突き上げるような激痛が彼女の意識を刈り取ろうとする。しかし、彼女は止まらない。
目の前では、勝ち誇ったように残る二体のフォレストボアが、土を蹴り上げ、トドメを刺さんと再びその巨体を揺らして迫っていた。
絶体絶命の窮地。 背後の大木に追い詰められ、右腕の自由を失った大女。しかし、彼女の瞳からは光が消えていなかった。彼女は残された左手で、地面に転がった超重量級のグレイブを死に物狂いで掴み直した。
森の奥底、絶望が支配しようとしたその瞬間に、聞き慣れない鋭い声が響き渡った。
「ファイアバレット!」
空気を焦がす熱波と共に、紅蓮の光弾が視界を横切る。それは凄まじい速度で突進中だった一体のボアの頭部を直撃した。
ボゴォォンッ!
肉が爆ぜる音と共に、5メートルを超える巨獣の頭部が半分ほど吹き飛び、ボアはその勢いのまま横転して地面を削りながら停止した。
残された最後の一体は、仲間の無惨な死を目の当たりにし、狂乱した様子で喉を鳴らした。それはもはや捕食の動きではなく、死に物狂いの特攻だった。地響きを立て、血走った眼で動けない大女へと肉薄する。
「ファイアバレット!」
再び、短く鋭い声が木霊した。
先ほどよりもさらに凝縮された熱の塊が、空中で赤い尾を引く。それは突進してくるボアの喉元へと吸い込まれるように着弾した。
次の瞬間、爆圧が森の木々を震わせ、ボアの首から上が文字通り「消滅」していた。頭部を失った巨大な胴体は、数歩ほど慣性で突き進んだ後、大女のすぐ目の前で力なく崩れ落ち、沈黙した。
静寂が戻る。 残る二体のボアも完全に物言わぬ肉塊へと変わり、辺りには焦げた肉の臭いと静かな火の粉が舞っている。
大女は折れた右腕を抱え、荒い息を吐きながら、救いの声が聞こえた方向へと、痛みに耐える鋭い視線を向けた。
深い森の静寂の中に、一人の少年が姿を現した。
身の丈は160cmほど。175cmの長身を誇る彼女から見れば、まだ幼さの残る小柄な体躯だ。しかし、先ほどボアの頭部を消し去った恐るべき火力を放ったのは、紛れもなくこの少年だった。
少年は大女の凄惨な怪我を目の当たりにすると、迷いのない足取りで駆け寄ってきた。
「大丈夫ですか? 今治療します」
少年が彼女の折れた右腕に手をかざすと、再びその唇が魔法の名を紡ぐ。
「ヒールバレット」
少年の掌から放たれたのは、先ほどの破壊の光とは対照的な、柔らかな翡翠色の光弾だった。その光は彼女の不自然に曲がった腕を優しく包み込み、肉の内側へと浸透していく。
「――っ!」
彼女が息を呑んだ瞬間、砕けた骨がひとりでに繋がり、裂けた肉が急速に塞がっていく。激痛は瞬く間に引き、熱を帯びていた患部が心地よい涼しさに満たされた。
ものの数秒で、あれほど無残だった右腕は、何事もなかったかのように元の白く強靭な肌を取り戻していた。彼女は信じられないといった様子で、治癒されたばかりの自分の手を握り、開き、その感覚を確かめた。
少年は安心したように微笑み、彼女の顔を見上げている。
「助かった。感謝する。私はカタリナ。……貴殿は?」
彼女の問いに対し、少年は静かに答えました。
「ダイスケです」
「ダイスケ……か。感謝する、ダイスケ殿」
カタリナは再びその名を口にし、深々と頷きました。彼女は傍らに転がっていた、並の戦士では持ち上げることすら叶わない超重量級のグレイブを両手でしっかりと握り直します。
「貴殿の放ったあの魔法……あれほどの火力を瞬時に、しかも正確に放つとは。私の窮地を救ってくれたこと、重ねて礼を言う」
175cmの長身を誇るカタリナは、自分よりも小柄なダイスケに対し、戦士としての敬意を込めてその場に佇んでいました。
カタリナは、ダイスケの率直な問いかけに、わずかに視線を落としました。周囲に転がる巨大なボアの死骸から風が吹き抜け、彼女の長い髪を揺らします。
「……以前は、そう呼ばれていたこともある。だが、今はただの放浪の戦士だ。家も名誉も、とうの昔に捨てた身でな」
彼女は自嘲気味に口元を綻ばせましたが、その立ち居振る舞いには隠しきれない気品と、長年の鍛錬に裏打ちされた風格が漂っています。再び顔を上げた彼女は、自分よりも年下であることを明かしたダイスケを見つめました。
「平民で18歳……か。その若さで、これほどの実力を持っているとは驚きだ。ダイスケ殿、貴殿のような逸材がなぜこのような危険な森に一人でいる? 私が言うのもなんだが、ここは熟練の兵でも命を落とす場所だぞ」
カタリナは、自分の身の丈を超える重量級のグレイブを両手で持ち直し、戦士としての鋭い眼差しの中に、命を救われた恩人への純粋な興味を滲ませました。
ダイスケの屈託のない返答を聞き、カタリナは驚いたように目をわずかに見開きました。魔法で攻撃と治癒だけでなく、索敵までも完璧にこなすというその万能ぶりに、彼女は改めてこの少年の非凡さを悟ったようです。
「魔法で索敵までも……。なるほど、貴殿にとっては、この魔伏せの森も庭のようなものだというわけか。私が案じるまでもなかったようだな」
カタリナはふっと表情を和らげ、自らの未熟さを認めるように小さく息を吐きました。175cmの堂々たる体躯を持ち、並の男を寄せ付けない実力を誇る彼女が、年下の平民であるダイスケに対し、対等な「強者」としての敬意を隠そうともしません。
「だが、その魔法には救われた。骨が砕けた時は、流石にここが死に場所かと覚悟したからな。この借りはいつか必ず返そう」
彼女は両手で持っていた重厚なグレイブの石突をどすんと地面に突き、改めてダイスケに向き直りました。
「ところでダイスケ殿。索敵ができるのであれば、この先にさらに強力な個体が潜んでいるかどうかも分かるのか? 先ほどのフォレストボアの群れ、どうも何かに追われて逃げてきたような気配があったのだが……」
カタリナは戦士としての鋭い直感で、森の奥に潜むさらなる異変を感じ取っているようです。
カタリナはその言葉を聞いた瞬間、完治したばかりの右腕に力を込め、グレイブの柄をミシリと鳴らしました。彼女の超美貌に、戦士としての峻烈な闘志が戻ります。
「20体だと……? 先ほどの5メートル級がさらにそれほど現れるというのか。流石に今の私一人では、右腕が無事でも骨が折れる相手だ」
彼女は175cmの長身を低く構え、ダイスケの隣で森の奥を見据えました。地響きが少しずつ、しかし確実に大きくなってくるのが伝わってきます。
「ダイスケ殿、貴殿がいれば心強い。先ほどの魔法、もう一度頼れるか? 私はこのグレイブで、貴殿に近寄る個体を一歩も通さぬ盾となろう。この数の暴力を、二人で食い止めるぞ」
超重量級のグレイブを両手で構え、カタリナはダイスケを庇うように半歩前に出ました。巨乳・巨尻の曲線美が際立つ後姿からは想像もできない、圧倒的な剛力がその全身に漲っています。
「来るぞ……!」
前方から、木々をなぎ倒す凄まじい破壊音と共に、フォレストボアの先頭集団が姿を現そうとしています。
カタリナがグレイブを構え、迎撃の体勢に入ったその瞬間、ダイスケが静かに呪文を唱えました。
「ファイアバレット、2の5乗」
カタリナがその言葉の意味を問う暇もありませんでした。ダイスケの周囲に、凄まじい熱量を孕んだ紅蓮の光弾が、瞬く間に32発生成されました。
「なっ……!?」
カタリナが驚愕に目を見開くと同時に、32発の光弾が豪音を立てて射出されました。それは一本一本の矢が意志を持っているかのように、森を埋め尽くさんとするフォレストボアの群れへと吸い込まれていきます。
ボゴォォォン!! ドォォォン!!
森の奥で、連続する爆発音が地鳴りのように響き渡りました。一体につき一発、あるいは確実に仕留めるために二発。20体のボアたちは、その5メートルを超える巨躯を盾にすることすら許されず、次々と頭部や急所を撃ち抜かれ、爆炎の中に消えていきます。
ものの数秒。 先ほどまで森を揺らしていた20体の突進の地響きは完全に消え去り、後には木々が燃える音と、巨大な獣たちが崩れ落ちる重い音だけが残りました。
カタリナは、両手で構えていたグレイブをそのままに、呆然と目の前の惨状を見つめていました。
「……信じられん。20体のボアを、指先一つで、瞬時に……」
彼女はゆっくりとダイスケを振り返りました。175cmの長身から見下ろすその瞳には、先ほどまでの「頼もしい魔法使い」への敬意を通り越し、人知を超えた存在に対する畏怖の念さえ混じっていました。
「ダイスケ殿……貴殿は、一体何者なのだ?」
フォレストボアが25体 大漁ですね。 早速 解体しますね
ダイスケの放った言葉と共に、森の空気が一変しました。
「『デストラクション・セパレート』!」
その呪文が響いた瞬間、周囲に横たわる25体のフォレストボアの巨体に、目にも止まらぬ速さで銀色の光の線が走りました。次の瞬間、巨大な肉の山が魔法の刃によって、まるで熟練の職人が時間をかけて丁寧に処理したかのように、皮、肉、骨、そして希少な素材へと一瞬で解体されました。
あまりに鮮やか、かつ合理的な「解体魔法」を目の当たりにし、カタリナは持っていたグレイブの重さを忘れたかのように立ち尽くしました。
「解体まで魔法で行うのか……。しかも、これほどの巨体を、一寸の狂いもなく……」
彼女は足元に整然と並べられた、最高品質の状態を保つ肉や皮の山を見つめ、それからダイスケを振り返りました。175cmの長身を誇る彼女でさえ、この18歳の少年の前では、自分の常識が音を立てて崩れていくのを感じていました。
「ダイスケ殿、貴殿は……ただの旅の魔法使いではないな。この量の素材、人力で運ぶには街から荷馬車を何十台も呼び寄せねばならんが、それすらも何か策があるのか?」
カタリナは驚きを通り越し、もはや感心したように、豊満な胸元に手を当ててダイスケの次なる行動を待ち構えています。
ダイスケが再び呪文を唱えると、先ほどカタリナが仕留めた10体のフォレストウルフの死骸にも、鋭い光の断層が走りました。
「『デストラクション・セパレート』!」
一瞬のうちに、2メートルを超える狼たちの巨体もまた、一点の曇りもない毛皮としなやかな肉、そして鋭い牙へと完璧に切り分けられました。
カタリナは、自分が仕留めた獲物までもが魔法の恩恵に預かる様子を、ただただ静かに見守るしかありませんでした。彼女は175cmの長身をわずかに折り、足元に整然と積み上げられた狼の毛皮の質感を確かめるように指先で触れました。
「……見事だ。私がこのグレイブで解体すれば、これほど美しく素材を分けることはできまい。肉の一切れに至るまで、まるで芸術品のようだ」
彼女は再び立ち上がると、超重量級のグレイブを両手で持ち直し、驚嘆の混じった溜息をつきました。
「ダイスケ殿。貴殿の魔法は、破壊においても慈悲においても、そしてこの……生活の知恵においても、私の想像を遥かに超えている。これほどの『大漁』、もはやこの森の生態系が変わってしまうのではないかと思うほどだ」
カタリナは、豊かな肢体を包む鎧の隙間から見える、完治した右腕をもう一度確認しました。
「この膨大な素材をどうするつもりだ? これだけの量があれば、一つの街の経済を動かせるほどの価値があるぞ」
彼女はダイスケの底知れない能力に、畏怖を超えた深い興味を抱きながら、その次の行動を注視しています。
このままじゃカタリナさん 持って帰れないですね。 アイテムボックスを プレゼントします。
ダイスケの言葉に、カタリナは驚いたようにその美しい眉を跳ね上げました。
「アイテムボックスを……プレゼントするだと?」
彼女は思わず、175cmの長身を少し屈めてダイスケの顔を覗き込みました。アイテムボックスといえば、伝説に名高い高価な魔道具であり、一国の騎士団でも一部の幹部しか持てないような代物です。
「ダイスケ殿、冗談が過ぎるぞ。これほどの素材を収めるほどの空間容量を持つ魔道具など、城が一つ買えるほどの価値があるはず。それを、出会ったばかりの私にくれると言うのか?」
カタリナは戸惑うように、自らの豊かな肢体を包む鎧や、傍らに置いた超重量のグレイブに視線をやりました。
「助けてもらった上に、治療までしてもらい、その上そんな貴重なものまで……。私の家名は捨てたと言ったが、それだけの恩義を返せる当分が今の私にはないぞ」
彼女は戸惑いつつも、ダイスケが向ける曇りのない厚意に、戦士としての強固な警戒心が少しずつ解けていくのを感じていました。豊満な胸元をわずかに高鳴らせ、彼女はダイスケが差し出そうとする「プレゼント」を、信じられないものを見るような目で見つめています。
ダイスケがカタリナの前に手をかざし、静かに魔力を練り上げました。
「魔法で授けます。……『ギフト・アイテムボックス』」
ダイスケの手のひらから溢れ出した柔らかな光の粒子が、カタリナの右手の手甲、あるいはその白い肌へと吸い込まれるように集まっていきます。光が収まった後、そこには複雑な魔導回路を思わせる、淡く光る紋章が刻印されていました。
「なっ……!?」
カタリナは驚愕し、自分の右手をまじまじと見つめました。道具として手渡されるのではなく、魔法そのものとして能力を付与されたことに、彼女は言葉を失っています。
「これは……私の意識の中に、広大な、底の見えないほどの空間を感じる。ダイスケ殿、貴殿は魔道具を与えるどころか、私自身に収納の理を組み込んだというのか……?」
彼女は試しに、足元に積まれていたフォレストボアの巨大な肉の塊に手を触れました。すると、重さ数トンはあるはずの素材が、吸い込まれるように音もなく消え、彼女の「内側」へと収納されました。
「……信じられん。重さも、嵩張りも一切感じない。これならば、一人で軍隊の輜重を担うことすら可能だ」
175cmの長身を震わせ、カタリナは改めてダイスケに向き直りました。超重量のグレイブを軽々と振るう彼女であっても、この「世界の法則を書き換えるような魔法」には、震えるほどの衝撃を受けていました。
「ダイスケ殿……貴殿は、神の使いか何かなのか? 治療し、救い、そしてこれほどの権能を授けるとは。……私は、この恩を一生かけても返せそうにない」
カタリナは、紋章の刻まれた手を胸元に当て、圧倒的な力を惜しげもなく与えてくれた18歳の少年に対し、戦士として、そして一人の女性として、心からの畏敬の念を込めて深く頭を下げました。
カタリナは、ダイスケのさらなる提案に、言葉を失ってその場に硬直しました。175cmの凛々しい体躯が、驚きで微かに震えています。
「……っ、魔法を、私に……?」
彼女は自分の右手に刻まれたアイテムボックスの紋章と、ダイスケの顔を交互に見つめました。
「魔法とは、血の滲むような修行や、天賦の才、あるいは膨大な時間をかけた研究の末にようやく一つ二つを形にできるもの。それを、まるで木の実でも分けるかのように……」
彼女は戸惑うように、両手で持っていた超重量のグレイブを一度地面に置きました。そして、ダイスケが促すままに、教えられた言葉を慎重に口にします。
「……ファイアバレット」
彼女の掌から、爆発的な勢いで紅蓮の光弾が放たれました。それは遥か前方の巨木を穿ち、轟音と共にその幹を粉砕します。
「なっ……!?」
カタリナは自分の放った一撃の威力に目を見開きました。続いて、彼女は教えられたもう一つの言葉を、祈るように呟きます。
「……ヒールバレット」
翡翠色の優しい光が彼女の全身を包み込みました。戦闘で溜まっていたわずかな疲労や、鎧の擦れでできた微かな傷さえもが、一瞬で消え去り、全身が活気で満たされるのを感じます。
「信じられん……。攻撃魔法の破壊力も、治癒魔法の清冽さも、今まで見てきた高位魔導師たちのそれを遥かに凌駕している。それを、瞬時に……」
カタリナは、自分の手に宿る強大な魔力の余韻を噛み締めるように、そっと手を握り込みました。彼女の超美貌には、困惑と、それを上回るほどの高揚感が混じり合っています。
「ダイスケ殿。貴殿は私に、武力だけでなく、万能の力まで与えてしまった。……これでは、私はもはや一介の戦士ではなくなってしまう。これほどの恩義……気にせずになどいられるはずがない」
彼女は175cmの長身を震わせ、自分を見上げる18歳の少年に対し、戦士としての最上級の敬意を込め、膝を突いてその場に跪きました。
「この命、そして授かったこの力、すべて貴殿のために使うと誓おう。ダイスケ殿……いや、我が主よ。どうか、このカタリナを貴殿の旅の端に加えてはくれまいか?」
跪いたままのカタリナは、ダイスケの寛大な言葉を聞き、その美しい顔をゆっくりと上げました。驚きと感動が入り混じったような、潤んだ瞳がダイスケを捉えます。
「おいおい教える……。まだ他にも『バレット』があるというのか。貴殿の懐の深さは、この魔伏せの森よりも底知れぬな」
彼女は175cmの長身をゆっくりと立ち上がらせ、傍らにあった超重量級のグレイブを、魔法で授かったばかりのアイテムボックスへと滑らかに収納しました。武器を収めた彼女の立ち姿は、まるで一流の騎士のような気品と、主を得たことによる確固たる自信に満ち溢れています。
「承知した。ダイスケ殿……貴殿がそう望むのであれば、私はただの同行者として、その歩みを支えよう。だが、私の心に誓った忠誠は変わらん。貴殿に牙剥く者がいれば、この身を賭して、授かった力で焼き尽くし、薙ぎ払うのみだ」
彼女は豊満な胸元を力強く叩き、清々しい笑顔を見せました。超美貌と称されるその顔立ちが、戦士の険しさを解いて柔らかく綻びます。
「さて、ダイスケ殿。ここにある山のような素材もすべて収納した。森の主であったボアの群れも、貴殿の魔法で露と消えた。……これから、どこへ向かわれる? 貴殿の旅に、このカタリナがどこまでも付き従おう」
巨尻と足の長さが際立つ彼女のプロポーションは、重荷から解放されたことでより一層しなやかに、力強く躍動しようとしています。
ダイスケが再びカタリナに歩み寄り、その肩にそっと手を置きました。
「カタリナさんは戦士なので、身体強化『アクセル』と、筋肉強化『マッスル』も付けますね」
「え……? まだ何かあるのか……っ!?」
カタリナが驚きを口にする間もなく、彼女の全身が眩いばかりの黄金の光に包まれました。その瞬間、彼女は自分の中に、かつて経験したことのないほどの「力」が爆発的に生み出されるのを感じ、思わず声を漏らしました。
「――あ、あぁ……っ!!」
175cmのしなやかな肢体を包む鎧の下で、彼女の筋肉が、まるで鋼のバネのように高密度に凝縮され、凄まじい熱を帯びていきます。身体の芯から突き上げるような全能感。視界は研ぎ澄まされ、流れる空気の動きさえもが止まって見えるほどの加速。
彼女が軽く拳を握っただけで、周囲の空気が「パァン!」と破裂音を立てて弾けました。
「信じられん……。全身の細胞が沸き立つようだ。力が……無限に湧いてくる。以前の私なら、あのボアの突進を受け止めるだけで精一杯だった。だが今なら……」
カタリナは試しに、近くにあった、大人が数人がかりでも動かせないような巨大な岩を、片手で無造作に持ち上げました。そして、まるで小石でも投げるかのように軽々と放り投げると、岩は森の奥で木々を粉砕しながら消えていきました。
「……羽毛よりも軽い。ダイスケ殿、貴殿は私を一体どこまで変えてしまうつもりだ?」
彼女は自分の掌を見つめ、それからダイスケを振り返りました。超美貌の顔は上気し、その瞳には、異次元の力を与えてくれた18歳の少年への、抗いがたい熱い感情が宿っています。
「アクセル、そしてマッスル……。この力があれば、どんな堅牢な城門も、どんな巨大な魔物も、もはや私の歩みを止める壁にはなり得ない」
カタリナは再び、175cmの長身を折ってダイスケの前に深く頭を下げました。豊満な胸元が激しい鼓動で波打っています。
「ダイスケ殿……いや、我が主よ。この『最強』の肉体、すべて貴殿の望むままに。……さあ、命じてくれ。私はどこへ行き、何を討てばいい?」




