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最初にしたのは、本当に当選したのかの確認だった。
仕事の休憩時間に、トイレに駆け込む。
いつも朝、始業前に為替の相場確認をし、スマホをロッカーにいれるのだか、あんなものを見たので、慌ててしまってしまった。
就業中も気になって仕方が無かったが、触る機会もないため、気が気でなかった。
昼休みになり皆が食事に行く頃、ロッカーのスマホを取り出し、トイレに向かった。
大の方に、周りに人がいないのを確認してから入ると、スマホを取り出す音を消すため、洋式便座に座りながら、水を流して音を消しながらスマホを操作する。
いつもなら、便座の冷たさにハットする所だか、そんなことも気にならない位ドキドキしている。
ネット銀行のアプリを起動して、最近流行りの二段階認証を経て、ページに移行する。
本当になら、とんでもないこと。他で誰が見ているか分からない場所で、確認など出来ない。
その点、トイレなら気付かれない。
ただ、臭くて、暗くて、電波が悪い。
会社はトイレ清掃に人など雇わない、持ち回りで社員が清掃しているレベルの会社だから、綺麗が維持される訳がないし、いつもなら悪態をつきたいところだか、そんなことすら気にならない。
クルクルまわる円を見ながら、繋がるのをひたすら待った。
青を基調とした、有名銀行のアプリが起動して、金額の総額が表示される。
「入金」の種別表示である「+」と「トトトウセンキン」と書いてあり、金額には点が3つ。思わず右からいち、じゅう、ひゃく…と数えてしまう。声を出すと分かるから、唇だけ動かす。
最後はじゅうおくで止まり、間違いが無かった。
「は、ははは…。何だこりゃ」
笑っていいのか、喜んでいいのかよくわからない状態だ。ついでに、ほっぺもつねってみる。
痛い。当たり前だ。
ネット銀行だから通帳記載はないので、実感はわかないが、本来なら、臭くて暗くてずっと居たいと思わないトイレの一室で、大きく息を吸い、ゆっくり吐くと、少し呆然となりながら、口を開けたままトイレの天井を仰いだ。




