真夏とラジオ⑧(真夏の真夏にラジオから真夏へ)
「お母さん!自分の靴もってこっち来て!早く!」
私は母の手を握り、階段の上からひっぱりあげた。
「何!?なんなのいったい?」
「いいから早く!」
母が靴を履いている間に、私は災害が起きた時のためにベッドの下に保管しておいた靴を引っ張り出して履いた。
「こんなこともあろうかと。用意しておいて正解だったわ。ほんとに。えらいぞ私」
<報道部の山崎さんありがとうございました。現在、世界各地でゾンビ化テロが発生しています。危険ですので外へ出ないでください。ラジオの前のあなたへのお願いです・・>
机の上に置いてある防災ラジオから、まだ同じアナウンスが流れている。私はラジオをポケットの中につっこんだ。
ブゥゥゥー!ブッブゥゥゥー!
何かを潰し弾き飛ばしながら、もの凄い音量の車のクラクション音が近づいてくる。
「うっさいわね!この忙しい時に!」
「あれってもしかして。お父さんのトラック?」