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序章、薄暗い部屋、孤独な死
薄汚れたアパートの一室。窓はカーテンで閉め切られ、部屋の中は昼間だというのに薄暗い。床には、コンビニ弁当の空き容器や、飲みかけのペットボトルが散乱している。
ボロボロの布団の上に、一人の男が仰向けに寝転がっていた。男の名は無道。目は虚ろで、天井を見つめている。
「…ああ、今日も何もせずに終わった。」
無道は、自嘲気味に呟く。
30代後半、無職。学歴は中卒。過去にはアルバイト経験はあるが、正社員経験はなし。
趣味は、アニメやゲーム、そしてパチンコや競馬。
パチンコや競馬で借金を作り、家賃も滞納している。
「…また、大家さんが来るのか。」
無道は、重い体を起こし、散らかった部屋を見渡す。
「…どうせ、また怒鳴られるんだろうな。」
無道は、ため息をつきながら、布団に再び横たわる。
「…もう、何もかも面倒くさい。」
無道は、目を閉じ、意識を手放す。
一週間後、大家が異臭に気づき部屋を訪れる。
そこで発見されたのは、冷たくなった無道の遺体だった。