072 ダンゾウ合流
さらに西へ進軍する。
マルス軍は四か国目ヴィクステリア国に入った。
「なんじゃ、ダンゾウ。ついてくるのか?」雷狐が意地悪く聞いた。
ダンゾウは罰が悪そうに「まあな。二度も逃げ帰ったとなると、さすがに殺されかねねえしな……。しかしよ、十兵衛に是非共に来てくれって言われたんだぞ」
雷狐は笑って「そうじゃな。十兵衛はそういうやつじゃ」と言った。
「それと、悪口になっちまうが、ブランデルもデュランもなんか不気味なやつらでな。居心地が良くなかったのもあるんだ」とダンゾウが言った。
「そうか。我は聖獣 雷狐じゃ。十兵衛の刀に憑いておる。ここにおるのなら話し相手くらいはしてやるわえ」
「へっ。ありがとよ」ダンゾウは照れ臭そうに言った。
「ところでお主、忍者とはあんなに武器やら道具を持つものなのかえ?」
「いやあ、普通じゃないか」
「武器だけでもお主、苦無、手甲鉤、鎖鎌、忍者刀を持っておったな。道具も手裏剣、撒き菱、術を使う紙があったじゃろ。そんなにどこに入るんじゃ」
「他にも狼煙や兵糧丸っていう携帯食もあるぜ」
「持ちすぎじゃろ。さすがに……」
「一つ食べてみるか?」と兵糧丸を雷狐に渡した。雷狐はおそるおそる食べてみる。
「お、まずくはないな。甘い」
「砂糖を入れてるからな。糖分を入れることで腐りにくくなるんだ。しかも脳にいい。戦闘は頭を使うからな」さらに続けて「他に朝鮮人参、蓮肉が入ってて、疲労回復、緊張緩和、下痢止めにもなる」
「ほおほお」と雷狐はおかわりを求める。
「他にも、空腹を紛らわす飢渇丸や唾液の分泌を促して喉の渇きを抑える水渇丸てのもあるぜ」
などと話していると、ヴィクステリア国の門に着いた。
上空から何か近づいてくる!
雲に乗った仙人に見える。
地上に降りた仙人は白髪、長いあごひげ、白い道士服と白尽くめの容姿。
「おまえさん達がわしの相手じゃな。誰からでもよいぞ」
と、鞭のような縄を取り出す。




