049 黒装束の五人
ブランデルは一人、帝国への道を戻っていた。
そこへ、五人の黒装束が現れた。
「何者だ」
「ブランデル陛下でいらっしゃいますね。我々は大陸王をお目指しになる志に感銘を受け、駆けつけて参りました。以後お見知りおきくだされ」
「ほお」ブランデルは満足気に笑った。
「まずは陛下の傷を癒させていただきます。グレーターヒール!」
杖を持つ女が回復魔法を唱える。ブランデルの傷はみるみるふさがっていった。
しかし、十兵衛が斬りつけた耳、右手首、背中、ファンゼルが突き刺した左大腿部には周りの皮膚の色と違い、真っ白に変色していた。
斬られた耳は時間経過のためか戻らなかったが、ほとんど塞がれ白く変色した。
もう痛みはない。
疲労はある。
「さ、陛下。馬車を用意しております。どうぞ中へ」
黒装束のリーダーらしき男に導かれ、ブランデルは中に入った。
巨漢のブランデルでも十分なスペース。馬車の周りを四人がかためる。
馬車は帝国に向けて出発した。
「申し遅れました。私はデュラン、暗黒騎士でございます。元はアスロック国の冒険者です。周りの者も各国の冒険者でございます」
帝国に着くと、ブランデルは今までいた武官文官を追い出した。
皇帝の間にはブランデルと五人の黒装束しかいなくなった。
「して、陛下。傷は誰にやられたものだったのですか」と、デュランは聞いた。
ブランデルは「名乗ってはいないが、陣羽織の侍に、八ーフリングの男、執事風の男に、ララタルの女だ」
「ララタルの女ということは魔道師ですな」
「うむ。だが、初級魔法しか使ってこなかったが、ありえない威力だった」
「では、シャンティでございます。彼女は初級魔法しか使えませんが魔力が桁違いなのです。威力も相当上がるようです」
デュランは続けて「執事はオンブラですな。体術を使うこと以外は謎でございます。八ーフリングと侍に関しては私も分かりませぬ」
「八ーフリングはよい。もう死んだ。問題は侍だ。やつが一番強い。余の不死の身体を斬りつけたのだ」
「では、某の草に探らせましょう」と、黒装束の一人が立ち上がり、瞬く間に十人の忍を呼び寄せた。「行け」と忍に名を下すと、黒装束を脱ぐ。中から赤い忍服を着た忍者が現れた。




