042 シャンティ一行、帝国軍と対峙する
と、ザロス王の元に偵察から知らせが届いた。
「皇帝がまた動いたようじゃ。進路はタネンポート国じゃ」
タネンポート国は滅ぼされたマルワン国の隣国で、この先にはシャンティの国ゼネスがある。
「十兵衛殿、タネンポートに向かうでありんす!」
「承知したでござる。しかし、ここからの移動手段は如何に」
シャンティは、皆に城の外へ出るように指示。
「雪!」
雀ほどの小さい聖獣、雪鳥はみるみるうちに、城を覆うほどの怪鳥になった!
「雪の本来の姿でありんす。さ、皆乗りなさいな」
シャンティ、オンブラ、ファンゼル、十兵衛、雷狐が乗り込んだ。
「タネンポートの軍隊は人並みの強さでありんす。出来れば、彼らに会わせる前にわらわ達がブランデルを倒すでありんす!」
雪鳥はゆっくり大きく羽ばたく!
その巨体をふわりふわりと持ち上げ、タネンポートの方角へ発進した!
帝国とタネンポートの境界付近の平原、ブランデル率いる五千の軍を発見した。
雪鳥は軍の前に着地すると、シャンティがさらにその前に降りた。
「お初に御目にかけます、皇帝殿。帝国を制圧し、マルワン国を滅ぼすなど、随分派手好きでいらっしゃること。そなた、何故このような所業をなさったでありんす」
ブランデルは、「人が多く死ぬのが許せぬと言いたいのか?これは天の意思である!」と、言った。
ブランデルは続ける。「家族の死、友人の死、その他繋がりのある者の死は余も体験している。貴様達だけが悲しいのではない。大陸を見よ!隣国同士で永久的に小競り合いが続いている!」
さらに、「その小競り合いでも人は死ぬ。発展し、戦となりさらに人は多く死ぬ。いつまでも続いていくのだ」
ブランデルは岩融を振り上げる。「だが、これを終わらせることが出来る!大陸を併呑し、統一するのだ。大陸が一つの国になれば争いは起きない。余が不死となれたのは、まさしく天の意思である!余にこの世を統一せよ!と、余にこの世から戦を無くせとの意思なのだ!」
十兵衛が膝を落とし、三池典太に手を掛けた。「それでも貴様の行いは許されない。すべての人々には今の生活がある。統一という理由で壊して良いと誰が思う」
三池典太を抜いた!
「貴様が手を掛けた者達は明日を生きる権利があったのだ!ブランデル、覚悟せよ!拙者が成敗いたす!」




