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040 ジルスの後を追うもの

 ジルスの暗殺計画は絶望をもたらしたが、逆に正義の心に火をつけてもいた。

 ある者が、ブランデルの前に現れた。

 彼は魔法使いで、水魔法が得意という。

 「私は、ウルゴス!ジルスの親友だ!」ウルゴスは掌に大きな水球を作り出した!

 「喰らえ、ウォーターメイデン!」投げられた水球がブランデルの頭部をすっぽり包み込んだ!

 「呼吸が出来なければ貴様とて生きてはいられまい!ジルス、仇を取ったぞ!」


 だが、ブランデルは水球の中でも苦しむ様子はない!

 ブランデルは、そのまま立ち上がり、ウルゴスの顔を大きな右手で掴んだ!

 「余には呼吸すらも必要ないのだ。ウルゴス、残念であったな。」と、その長身を生かし、ぐいっと持ち上げると後頭部から床に叩きつけた!

 ウルゴスは血飛沫を撒き散らし、死んでしまった。

 

 またある者がブランデルの前に現れた。

 と、椅子に腰掛けたブランデルの背後から、屈強な男が現れ裸絞めを決めた!

 さらに両側から右腕を押さえる者、左腕を押さえる者、右足を押さえる者、左足を押さえる者が瞬く間にブランデルを取り押さえた!

 いずれも、将軍クラスの者たち、豪傑であった。

 始めに前にいた男が懐から小瓶を取り出した!

 ブランデルは押さえられて動けないが、悠然と椅子に座っている。「小瓶?余に毒は効かぬぞ」

 男はデルスと名乗った。「これは毒ではない。硫酸だ!ジルスの無念、ここに晴らし、貴様の頭部とともに、悪行を溶かしてやる!」


 デルスが、ブランデルの頭部に硫酸をかけた!

 しかし、ブランデルはただの水をかけられたように異常はない!

 硫酸の飛沫が、後ろの裸絞めの男にかかり、じゅう、と皮膚を溶かし始めた!

 周りで押さえる豪傑たちも飛沫がかかるが、渾身の力でブランデルを逃がさない!

 デルスは、かくなるうえは、と爆薬を取り出した!

 他の者達はそれを見て部屋から逃げ出した!

 「我と地獄に参るぞ!ブランデル!」

 デルスが、ブランデルに抱きつき爆破した!


 城の奥側が爆発で大きく崩れた!

 皇帝の間も瓦礫に埋まってしまった!

 誰とも分からない肉片があちこちに見つかる中、ブランデルは瓦礫の下から這い出てきた!

 傷一つついていなかった!

 「余には地獄すらも行けぬ。代わりに行ってくるがいい。」

 

 やはりブランデルにはどんな攻撃も無駄なのだろうか。

 ブランデルは、生き残った者達に瓦礫の撤去と城の修復を命じた。

 

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