038 帝国襲撃
数ヶ月前。
一際大きい体格の男が、タンタラ帝国の城に向かって無表情で歩いていた。
帝国の人間でも、平民と分かれば流石に城門で止められてしまうのだが、男は背負っていた棍棒を取り出し、門兵を叩きのめしてしまった!
城内に入った男は悠然と城へ歩いていく。
「敵だあ!出会え!」
瞬く間に五十人ほどの兵士が取り巻く!
「おおおおお…………!」男は内に力を溜めていく!
そして、一気に解き放つ!ビリビリと空気を裂くオーラが兵士の動きを止める!
これは、威圧!……いや、魔王覇気!
兵士は動けない者、震える者、腰を抜かす者で満たされた!
男は、その兵士達を一人一人棍棒で叩き潰してまわる!
城内は兵士の血飛沫で赤く染まっていく!
誰も男を止められないまま、男の後に血の道が作られていく!
皇帝の間に辿り着いた。
屈強な親衛隊が四人、男の前に立ちはだかる!
いずれも六尺はある大男だが、棍棒の男はそれらを上回る八尺!
親衛隊が同時に斬りかかった!男はそのまま何もせず身体で受ける!
斬れない!傷一つつけられない!
男は側頭部に棍棒を叩きつける!首の骨が折れる音がした!
次の者は右肩を粉砕され、左と段違いになってしまった!
次の者は左大腿部を叩き潰され、骨が外に出ている!
最後の者は頭頂部から棍棒を振り抜かれ、身体に埋まってしまった!
この部屋にはまだ多くの武官文官がいるのだが、恐怖で身動きできない!
男は、話し出す「身を挺して余に立ち向かう者はもういないのか?ならば遠慮なく皇帝の命をいただくぞ」
かつて、大陸での戦で武勇を誇った将軍連中も桁違いの圧力で動けない!
男は真っ直ぐ皇帝に向かう!
皇帝は震えながら「ひいっ!か、金ならある!助けてくれ!」
「貴様も皇帝なら武勇の一つでも見せてはどうだ?チャンスをやる。その剣で余を刺してみよ」
男は、心臓はここだと胸を反らした。
皇帝は片手剣で心臓を狙う!
そして、全体重を乗せて心臓に剣を突き立てた!
刺さるはずの剣先は皮膚で止まり、押しても押しても食い込みもしない!
男は、必死で剣を押す皇帝の頭に拳骨を叩きこんだ!皇帝は眼球が裏返り即死してしまった。
男は、皇帝の椅子に腰掛けた。
「今からタンタラ帝国の皇帝は、このブランデルである!服従するものは残れ!不満なものは去るがいい!余はこの大陸を併呑し、大陸王となる!」




