027 マルス 対 テレス 3
膝をついて立ち上がれないマルスに四つの光が襲う!
マルスは一つ払うのが精一杯!
残り三つはまともに当たってしまった!
マルスは衝撃で後方へ飛ばされた!
テレスは、精根尽き果てガクッと膝をつく!
マルスは動かない!
勝った!
十兵衛様から学んだ通りやれば私でも勝つことが出来るんだ!
勝利の余韻の最中に声が聞こえてくる!
「テレス……国に……何人の……民がいるか……分かるか……」
マルスはそのまま仰向けのまま「八千万だ……」
マルスが起き上がろうとしている!「八千万の!……命を……背負えるか!」
両手剣を下段に構えた!そして左足を天高く上げた!「民の命は!私が背負う!」
下段から投球のように振りかぶり、左足を深く踏み込む!
「私が!ザロス王国!第一王子!」
一気に振り下ろす!
「マルスだあああああぁぁぁぁぁ!」
螺旋状の強烈な暴風!稲妻が光る!
まさに竜巻を横にしたような攻撃がテレスを吹き飛ばした!テレスは壁に激突!
マルスは右手でブレイブハートを持ち上げ、勝鬨をあげた!
十兵衛は、そこまで!と終了を告げた。
マルスとテレスは各々医療班の回復魔法を受け、医務室へ運ばれた。
その日はもう指南も出来ないので、どうするかと思案しているところにザロス王が来た。
「十兵衛様、二人の試合はいかがでしたかな」
「実に白熱したいい試合でござった。お二人は立派に成長しております」
「実はマルスから言付かっていることがありましてな。旅先である日本刀を持ち帰ってきたのですが」
「ほお」
「素晴らしい刀なのですが、鞘から抜こうとすると、電撃を喰らうのです。多くの者に試させましたが皆、電撃を喰らう始末」
と、ザロス王は宝物庫へ案内した。
金銀財宝が整頓されている中、奥から妖気を放つ日本刀があるのが見える!
十兵衛は、まさか!と驚いた!
これこそは、我が愛刀、三池典太!
お主も異世界に来ておったのか、と懐かしむが妖気が気になる。
「ザロス王、もし拙者が鞘を抜けたらこの刀を頂戴できるのでござるか?」
「勿論じゃ!むしろ、十兵衛に抜いてもらいたいほどじゃ」
十兵衛は三池典太を持ち上げ、「拙者は柳生十兵衛じゃ!拙者にも電撃を喰らわそうとするか?それとも拙者の腰に落ち着くか!」
十兵衛が鞘を抜いた!
電撃は、無い!
しかし、鞘から妖気が一気に解き放たれた!
「我はこの刀の聖獣じゃ」妖気が少しずつ形を成していく!
ネコ耳……巫女の着物……幼女……太めの尻尾がお尻から三本生えている?
「我は雷孤。刀共々よろしく頼むぞ」
と、上から目線の挨拶をした。




