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242 マルス王出陣

 陣形は崩されたが、実際には倒されたり押されたりしただけで、五百対一万の構図のままである。

 ヒュッテ将軍は、後列の無傷の部隊に各個撃破するように長槍部隊を出す!

 その長さ5m!騎士団の横槍部隊に上から叩きのめしていく!相手が遠間での頭上からの攻撃は意外と防ぎにくい!

 

 俄に騎士団の旗色に陰りが見え始める!

 始めに突撃した体格のいい騎士たちは、強靭なスタミナでハウトゥス兵を殴り倒して抵抗しているが、元気なのはその者たちだけになってきた!

 

 「カルロス!騎士団を退け!あとは余に任せよ!」

 「陛下!」カルロスは騎士団に撤退の号令を掛ける!

 「これは、マルス王ではないですか。わざわざ死地に来て戴けるとは……」ヒュッテ将軍がほくそ笑む。

 「マルス王、騎士団を下げてお一人でハウトゥス一万と戦うおつもりではないでしょうな」

 「ヒュッテ将軍。そなたに民の命を背負えるのか。余の国には八千万の民がいる。そなたが攻め込むならば余はたとえ一人となっても守り抜く!」

 マルス王が両手剣ブレイブハ-トを持ち、下段に構える!

 ヒュッテ将軍が全軍に掛かれ!と号令する!

 マルス王が天高く左足を上げる!

 ハウトゥス軍が走り出し距離が縮まる!

 左足を強く踏み込み、下段から後ろへ剣を振りかぶる!

 「余が!ザロス王国!国王!」

 一気に振り下ろす!

 「マルスだああアアぁぁぁあああ!」


 螺旋状の猛烈な暴風とともに稲妻が轟く!

 竜巻を横にしたような攻撃がハウトゥス軍一万に襲い掛かる!

 目の前にいた一万の兵は遥か遠くに飛ばされ、そこには何も無くなってしまった。

 竜巻が地面を抉り取り、周りの草をそよ風が撫でていく。

 

 「カルロス、今テレスの側でそなたの相棒ロビンが伸びようとしている。勤務地も変わり、団長に昇格してカルロスを越えられるよう努力している」

 「はい」

 「そなたは同じ土地、同じ役職だが、やはりロビンに負けないように努力をしているのは知っている」

 「はっ」

 「そなたもロビンもお互いを見るのはその辺りにして、一段上を見よ。余が出陣せずとも自分の騎士団で撃退するには背負うものが必要だ。まずは家族を作れ。家族はそなたを強くしてくれる。良い候補がいる。あとは城の中で話をしよう」

 「はあ?!」

 そう言ってマルスはカルロスに王命を発動して城に連れて行った。







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