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022 テレスの成長

 十兵衛がテレスに近づく。テレスの足元まで来た時、楯を十兵衛に投げつけ、寝ながらローキックを放つ!

 だが、十兵衛は楯を冷静に受け止め、ローキックも足裏で止めた!

 テレスは素早く起き上がり構えたが、十兵衛は今日はここまで、と手のひらをテレスに向けた。


 テレスに膝をつかせて、お説教に入る。

 「前回より向上が見えた。課題であった、しぶとさ、体力などはわずかに上がっているようだな。最後の死んだふりも悪くはなかった」


 しかし、「まだまだでござる。まず、殺気が足りませんな。拙者を仕留める、という気迫を感じないのは、これは練習だと思っているからでござる。戦は練習ではござらぬ。剣を取らば殺気を放ちいつ戦になっても活かせるように備えられよ」

 

 さらに、「構想が足りませんな。相手はこうくる、自分はこう動く。初めは構想が外れても構いませぬ。経験を重ねるうちに、相手の動きが予想できるようになり申す。考える事が大事でござる」


 さらに、「それは相手を知ろうとする心。相手の可能性のある動きを考えつくすのでござる。ついには、自分でも思いもよらぬ第六感の一撃も対応できるのでござる」


 さらに、「力が足りませんな。今の殿下の力では殺傷などできませぬ。筋肉をつけなされ。腕力もそうですが、脚力も欲しいでござる。踏み込みを強く出来れば、一気に懐に入ることが可能でござる」


 まだまだ言い足らなそうだったが、引き続き走り込みをするように伝えた。

 


 それから、三ヶ月が過ぎた。

 テレスは走り込みで持久力がかなり上がり、筋肉もだいぶついてきたため、初見より一回り大きくなってきた。

 元より真面目な性格。十兵衛にダメ出しされては一つでも減らそうと毎日を必死で課題をこなしていたのだ。

 

 ザロス王がある時、十兵衛に話していたことがあった。「第一王子マルスが生きて国に戻れば、マルスを王にし、テレスを親衛隊長にとするつもりじゃが、万一戻らぬ時はテレスを王にしなければなりませぬ。十兵衛様にテレスを鍛えていただき、どちらも選らべるようにして欲しいのじゃ」

 

 テレスは確実に実力を上げ、自信も出てきたようだ。

 

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