214 ワグルス子爵
「敵ですか!?しかし、私たち以外見当たりませんが……」と土蛇が言うと、十兵衛が何やら呟いた。
「雷狐、念のためその辺りに離れてくれ。土蛇は逆にその辺りにいてくれ」
二人が十兵衛の言う通りに動く。
「よし。これでお互いに触ることは出来ない。暫くそのままでいてくれ」
三人は所定の場所でじっと動かずにいる。
十兵衛が雷狐に目で合図を送った!
雷狐は、そういう事じゃったか、と超雷電を放つ!
「があっあ!」雷を受けた者が正体を現す!
筋肉質な身体に牛の頭部を持つ悪魔だ!
「グルル……何故わかった……」
「それは言えぬ。そなたは敵だからな」
予め、土蛇に砂を舞い上がらせ、敵に纏わりつかせて浮かび上がらせたのだが、悪魔には気づかれていないようだ。
「ワタシはワグルス子爵!まずはお礼でもしよう!」
近くにいる雷狐を物凄い速さで蹴り飛ばした!
雷狐が部屋の壁に激突する!
「雷狐!」
十兵衛が三池典太に手をかけた!
「土蛇!雷狐を守れ!」
土蛇が土魔法を唱える!
ワグルスが追い討ちで雷狐に襲いかかる!
そのワグルスの足に砂が纏わりつき、重くなる!
十兵衛の右目がギラつく!
十兵衛が一気に詰める!
十兵衛が三池典太を鞘に戻した!
居合い一閃!
ワグルスに十字の線が入り、血が噴き出す!
土蛇が雷狐に駆け寄る。
「口から血が出ています。蹴られた内臓がかなりダメージを負っていますね」
十兵衛はまだ三池典太に手をかけて、ワグルスを見ている。
ワグルスが再生を始めている!
切り開かれた傷口がみるみる塞がってゆく!
より深く!
十兵衛がもう一度、三池典太を鞘に戻した!
ワグルスはハッキリ四分割に切り捨てられた!
土蛇が分割されたワグルスをそれぞれ土で纏い、コンクリート状に固めていく!
ワグルスはさすがに動かなくなってしまった。




