表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
208/310

208 忍

 才蔵が突然物凄い勢いで水を吐き出した!

 まだ水は全身に纏わりついている中、消防の放水のように体内の水を吐き出す!

 このままでは体外の水も全て戻されてしまう!

 「氷遁の術!」

 ダンゾウが冷気を放つ!

 才蔵は凍りつく足元を抵抗して髪の毛を伸ばして壊しにかかるが、それを勝るスピードで才蔵は凍りついてゆく!

 

 腰も胴も頭部も凍りつき、口が最後となった時、才蔵が呟いた!

 「雷遁の術!」

 才蔵が自分に雷を落とす!

 氷を破壊するためとはいえ、ダメージもかなりある!

 「がはっ!ごはっ!」

 才蔵の氷は外だけではなく、喉、口や鼻の中、そして目も氷ついていた!

 そこへ自らの雷遁!

 無謀な脱出だが生きるには仕方ない選択であった!

 

 恐らく目を雷遁でやられて何も見えていないと、ダンゾウが死角から刀を才蔵に振り下ろす!

 才蔵が反応して刀を合わせて防ぐ!

 「なに!」

 さらに正確に、ダンゾウを火遁で襲う!

 ダンゾウは至近距離だったが何とか間合いを開けて躱した!

 

 「見えるのか……」

 「ククク……毒にも慣れ、熱さにも慣れ、ならば雷にも慣れる。それが忍だろう……」

 才蔵がニヤリと口の端を吊り上げる。

 

 ダンゾウは戦慄く!

 いくら忍者でもそれはない……

 確かに某も毒なら耐性はあるが、雷だ……

 しかも目など鍛えようがない……

 見えているはずがない!……


 そう思いながらも煙幕弾を床に放つ!

 炸裂音が耳に残るうちに才蔵の首に糸を巻きつかせる!

 さらに手首足首も瞬時に縛る!

 「千条縛!」

 「甘いわダンゾウ!まだ、髪が残っておるわ!」

 才蔵の髪が無数の針の如くダンゾウを襲う!

 ダンゾウが印を結ぶ!

 「火遁の術!」

 襲いかかる髪を火炎が燃やしていく!

 火炎が瞬く間に頭部に達する!

 「ぬぅがあっ!」

 俄に全身に燃え広がる!

 火炎は業火となり才蔵を燃やしつくしていく!

 

 その間もダンゾウは油断なく刀を構え、才蔵を凝視している!

 空蝉で逃れた気配はない。

 灰と化した才蔵が床に伏して煙を出している。

 ダンゾウが不意に刀を後ろへ向けた!


 勿論そこには誰もいない。

 下か!上か!

 「ダンゾウ!もう大丈夫じゃ!おまんの勝ちじゃき!」

 以蔵に言われてダンゾウも漸く緊張を解く。

 「相手がもう死んどるのに、あれほど本当に死んどるのか信じられんとはのお……」

 「それが……忍なんだ……」

 






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ