166 典韋 対 華雄 2
ギリギリ届かない間合い!
触れれば即打撃戦になるであろう空気!
ジリジリ近づき、間合いに触れる!
ガツッという硬い音がした!
お互いの右フックが同時に放たれた音だ!
二人とも仰け反りながら、再び右フックを同時に撃つ!
ゴキンと硬い音がした!
硬い拳が顔面の骨に当たる音だ!
こうなれば意地比べとばかりに三たび行く!
典韋は顎に照準を変える!アッパーだ!
一瞬、華雄の右が顔面を掴む!
直後にアッパーが入るが、顔面への握力で半分の威力しか出なかった!
アイアン・クロー……
代表的な使い手はフリッツ・フォン・エリックである。
193cmの身長に120kgの体重という巨漢レスラー。特筆すべきはその手である。
手のスパンはなんと32cm!
一般的なフライパンの直径が32cmなので、その大きさが容易に想像出来る!
そして握力なのだが、130kgと言われているのだが、手が大きすぎる為に正確な数字はそれ以上だと思われる!
息子のケビン・フォン・エリックが160kgを記録しており、親父には敵わないと証言しているのだ!
推定200kgではないかというのが通説である!
そのエリックの戦いは圧勝か反則負けが多く、エリックに完勝したレスラーは一人もいない!
まさに悪魔が与えた右手!
その右手が華雄にも宿る!
万力の如くギリギリと典韋の頭蓋骨を破壊に掛かる!
華雄が腕を伸ばして力を込める!
典韋はこの状態だとストレートも届かない!
蹴りも威力を殺されてしまう!
「これぞ悪魔の万力!」
典韋が反撃に出る!
華雄の肘間接にアッパーを撃つ!
「があっ!」
思わぬ方向からの一撃に華雄も声が出るが、万力は離さない!
もう一撃アッパーを放つ!
華雄の太い腕でも折れそうな破壊力!
仕方なく華雄が万力を解除する!
典韋の頭部やこめかみに窪みが出来る!
解除されても激痛が残る!
一方、華雄もたった二発のアッパーが効いたらしく、肘を擦っている!
「万力が嵌まれば離すことはないのだが、馬鹿力め」
「馬鹿力はお主だ。窪みが出来て気持ち悪いわ」
本音は二人とも激痛を隠している!




