150 ハイジャンプドロップキック
ジュリーは始め余裕があったが、焦ってきている。
「なんで誰もいないのよお。二時間経つのに絶対おかし~い!」などと文句を言うオカマが近くにいると分かれば、気持ち悪がって相手が離れていくのは必定だった。
「やっと見つけたぜ」
ただ一人を除いては。絡んできたのは酒場でも絡んできたポローニャだった。
「な~に~、アタシの追っかけ~?」
「ちげえよ!お前と対戦したくてきたんだよ!酒場でも会っただろ!」
「そんなことあったかしら。マジ知らないんだけどぉ」本当に知らない様子だ。
「もういい!掛かってこい!思い出させてやる!」
「じゃあいくわよ~」
ジュリーがその場でジャンプ!とともにドロップキックをポローニャの顔面に放つ!
「ハイジャンプドロップキック!」
当然、跳躍力が必須の技だが、通常相手の胸辺りにヒットさせる。
顔面にヒットさせる跳躍力となると、代表的な使い手は限られる!
初代タイガーマスクとオカダ・カズチカである。
ジュリーは筋肉自慢の巨漢マスクマンレスラー。
この跳躍力は異常である!
若手時代の必殺技として使われ勝ちで、ベテランになると通用しなくなり、新必殺技を模索するのだが、ジュリークラスで放てば、既に超必殺技となる!
ポローニャがぶっ飛ぶ!
後方の壁に激突する!
10カウントも必要無いほどのダメージ!
ポローニャはやはり起き上がれない!
ジュリーが残り時間41分でクリアした。
生き残りの人数は68名。
ポローニャが失格となり、場外に飛ばされる。
ジュリーは思い出した。
「そう言えば、蛇ちゃんにチンピラがボコボコにされてたっけ……。まあ、どうでもいいけど」
ジュリーはまたぶつぶつ文句を言いながら廊下を歩き始めた。




