134 タオの感情
「さあ、まだ海岸まであるぜ。行こう」ダンゾウが促した。
「ジュリー、替わるぜよ。少し休め」以蔵がリアカーを曳くのを代わろうとしたが、ジュリーは断った。「大丈夫。アタシ、ザロス王国まで曳けるくらいはパワーあるのよ」
「そ、それは凄いのお」以蔵がジュリーの筋肉を改めて見て納得する。
「ジュリーも波乱の人生ぽいわね」ライカが言う。
「あら、アタシに興味あるの?教えちゃおっかなあ、どうしよっかなあ」
と、そこへ
「待て!金目の物を出しな!」と盗賊が現れた!
ぞろぞろやって来た10人の盗賊がジュリーたちを囲んだ!
「アタシたち、大陸十虎将って言ってもこっちじゃ知らないのよねえ」
「ライカ、子供たちを頼む!火遁の術!」ダンゾウの火遁が盗賊たちを襲う!
以蔵は肥前忠弘を抜くや否や、ダンゾウと反対側の盗賊を一人二人と峰打ちしていく!斬らないのは子供たちに血を見せてはいけないと咄嗟に思いついたからだ。
ダンゾウも武器を使わず、体術で次々に盗賊を捩じ伏せていく!
その間を掻い潜り、盗賊が一人、ライカを狙った!
「残念ね、私も臨戦体勢だったのよ!ウインドアタック!」ライカの突風が盗賊を跳ね返した!
子供たちは皆、無事だ。
「今のうちに進むわよ!」ジュリーがリアカーを曳く!
暫く進むと、タオが眠りから醒めたのか泣き始めた。急いで進んだ為に揺れも激しくなっていたからだろう。
と、思っていたが、おむつの方が原因らしい。
急場なのでおむつの代わりに衣類を裂いて、タオの腰に巻いた。
お腹も空いてそうなので、皆に見えないようにローブでタオと胸を隠しながら授乳してみた。
飲んでいる。余程腹ペコだったのか、息継ぎしながら必死に飲んでいる。生きたい、生きたい、と話していないが伝わってくる!
「大人でさえ魔物に殺されるような世界だけど、産まれてきたんだもの。必死に生きないとね」ライカがタオの頭を優しく撫でる。
「タオは強い子ね。神様、この子たちにご加護を」




