129 別行動
「なぁに~よわすぎぃ~」ジュリーが残念がる。
「絡むからにはもう少し歯ごたえがあるかとおもいましたけど論外でした」土蛇もそう言いながらジュリーと酒場に戻る。
「結局あの人なんだったんでしょうか」土蛇がマハトに聞いてみた。
「あれでベテラン冒険者なんですが、ポローニャというチンピラです。新人冒険者や初めて会う人に絡んでは強さをアピールするような人ですね」マハトが答えた。
「そういや、格闘大会とか言ってたわね。面白いの?」ジュリーが言う。
「ああ、武器を使わない格闘大会が今度あるんだ。今までは小規模で人数によってトーナメントにしたり総当たりにしたりバトルロイヤルにしたりしたんだが、今回参加人数が増えたのとスポンサーが金持ちらしく、賞金が跳ね上がってるみたいだぞ」と、ミレットがいう。
「おいくら?」ジュリーが聞く。
「金貨50万枚だ」グレッソか答えた。
「50……!」ジュリーの目が変わる。
「ちょっと出ちゃう?大会」ジュリーは目を$にして誘う。
「拙者はあまり興味がないでござるな」十兵衛はそう言った。
「某は出てもいいぜ」ダンゾウは乗り気だ。
あとは、し~んとしている。
「ちょっとぉ、大陸十虎将の名が泣くわよぉ」
「蛇ちゃん、あんたも強いんだから出なさいよぉ」
「私は出ません」土蛇はピシャッと断った。
十兵衛一行はマハトたちに礼を言って酒場を出た。
「さて、ワイバーンの事は暫く問題無さそうだし、一度ザロス王国に戻るか?」ダンゾウが聞く。
「そうでござるな。格闘大会はまた今度来た時でもいいだろう」十兵衛も言う。
「ねえ、私は少しこっちの世界を見てみたいんだけど、いいかな」ライカが聞いた。
「いいんじゃなぁい。ていうかぁ、アタシも残るぅ」ジュリーも言う。
そして、ダンゾウと以蔵も残ることになった。
問題起こすなよ、と雷狐に注意されながら十兵衛たちと別れた。
「さて、十兵衛が路銀を分けてくれたからな。まずは宿を決めよう」ダンゾウが言う。
「なんか、ワクワクするわねぇ」ジュリーも言う。
「こっちは平和そうじゃのお」以蔵が言う。
「あ、ここにする?宿」ライカが大きめの宿を指差した。




