118 表彰式
後日、ザロス城でデュラン事変の功績者に対して表彰式が行われた。
シャンティ一行も招待され、十兵衛達と並んで座っている。
ザロス王がマルス王子、テレス王子を左右に現れた。
魔法道具の演説用の大鏡が城下町のあちこちに設置され、民衆はそれを通して内容を知ることが出来る。
大臣がまずデュラン事変について説明を開始した。かなり詳細に記録されていたらしく、ダンジョン内の当人しか知らない戦いぶりも事前調査により、時系列に並べて話すのだが、まるで見てきたように話すので、民衆も引き込まれながら聞いている。
ちなみに、事前調査で自分しか知らない話しは誇張されたり嘘が入るといけないので、嘘を見破る精霊が審査をする。
大臣からの説明、というより講談が終わるとザロス王が大鏡の前に立つ。
「今より名前を呼ばれた者は此方へ来られよ」
まず、シャンティが呼ばれた。ザロス王の前まで来ると淑女の挨拶をして、指定の列に並んだ。
以下、同じようにオンブラが並ぶ。
続いて雪鳥が女の子の姿で並ぶ。
さらに雷狐が女の子の姿で並ぶ。
そして土蛇が女の子の姿で並ぶ。
岡田以蔵が呼ばれ、列に並んだ。
ライカが呼ばれ、列に並んだ。
ダンゾウが呼ばれ、列に並んだ。
ジュリーことロッド・ゲリウスが呼ばれ、列に並んだ。
そして、柳生十兵衛が呼ばれ列に並んだ。
ザロス王が話し始めた。
「この者達10名は熾烈なデュラン事変を見事生き抜いた英雄である。この10名の英雄を『大陸十虎将』と名付ける!」
民衆は地鳴りのように喜びと祝いの言葉を叫ぶ!
ザロス王が続ける。
「『大陸十虎将』の者達を大陸平和の功績者として、未来永劫讃え、また『大陸十虎将』の者達は今後も引き続き、大陸の異変に立ち向かう守護神であるよう願うものである!」
そして、さらにザロス王が続ける。
「デュラン事変では、その裏で犠牲も多く出てしまった。特に以下に挙げる4名は英雄としての実績をもちながら無念にも星となってしまった者である」
ザロス王は深呼吸をして一人ずつ読み上げる。
「ハワード」
「呂智深」
「ケイドルフ」
「そして、ファンゼル!」
ファンゼルの名を呼ばれた時、シャンティの目から大粒の涙が流れた。
そして、民衆もその活躍と犠牲に涙を流した。
さらにザロス王が続ける。
「この者は生きているのだが、一時的に味方となり、皆が攻めあぐねていたダークナイト2体を粉砕したという功をもつ者がいる。名は典韋!この者が見つかり次第、『大陸十一虎将』とし、同格とする!」
民衆が再び盛り上がる!
表彰式は以上とされた。
この放送は特に民衆に響き、デュラン事変を書籍化する動きや講談する者が現れ、社会現象となる。
さらに、15名の英雄の銅像も設置され、
星の4名は出身国は違うが、国葬されることになった。
だが、新たな火種もパチパチと音を立て始めようとしていたのだった……!




