010 クレイア
「さあ、できたわ。みんなでお食事にしましょう」
テーブル一杯にクレイアが作った料理が並ぶ。
「ほぉ、まだ若いのに偉いものでごさるな」
「私、127歳よ!あなた達より年上なんだから!」
「はあ?!」十兵衛は冗談か本気かわからない感じで聞いた。
アステルは、頭を掻きながら補足した。「彼女やマスターのクライアンはエルフ族で数百年生きると言われているんだ」
さらにクレイアが、食べながら聞いてもらえばいいけど、と続ける。「私達は、森に住んでいる。それは自然に生かされている種族だから、自然を守らなければならない種族でもあるの」
クレイアは食事を挟みながら、「その自然がとんでもない悠久の時を生きているわけでしょ?だからせめて、それに準ずる寿命が必要なのよ。私達エルフ族はそのように進化した種族ってわけよ」
「クレイア殿のように冒険者となる者は自然の管理から外れ、多種族と交わったり魔物と戦うわけだが、それはそれでいいのでござるか?」
「いい質問ね。信じられないくらいの時間を自然に身を置いてきた種族だけど、やがて、自然を壊す者が出て、それらと戦うことになる」
クレイアは続けて「そのうち、自然の中で守り続ける者、外に出ることで自然を守る者が出てきたの。さらに世界を知りたくなった者が出る。それがエルフ族の冒険者よ」
クレイアはサエに、美味しい?と聞きながらサエの皿に食事を取り分けてあげた。
「でもね、森の中は人間には危険でもあるから、サエちゃんは必ず誰かと一緒にいないとだめだからね?」
アステルが尋ねた。「仮に、サエが一人で森にいることになったらどうしたらいいだろう?」
「そうならないようにしなければだけど、そうね、小鳥。リスなどの小動物。彼らは凄く怖がりなの。逃げた方向に逃げることね」
「あとは、森を知ることでござるな。森にはどんな生き物がいて、どれが危険なのかを学ぶ。また、色んな草木が生えているが、どれが食べられるのか、薬になるもの、毒なものも見分けられるといいが、まあ、まだサエは幼い。ゆっくり教えていくでござる」




