第三号 動き出す社員達
こう書くと何かリーマンが不況に立ち向かうみたいですが、そんな平和的なもんじゃありません。
―9:20・シンバラ社面接室・源太郎、雅子―
「…で、科長」
「何だ、楠木?」
「何故私は面接室に居るんでしょう?」
「君に用事があるからだ」
「用事があるならオフィスで宜しいのでは?」
「私もな、オフィスで済むほど軽い話題ならこんな所まで呼んだりはしない」
「いつもの話題って『軽い』んですね。初耳ですよ…で、何の話ですか?」
「あぁ。そうだったな。
楠木、突然で悪いが実戦部に移ってくれ」
沈黙。
「唐突ですね」
「あぁ、唐突だ。現実とは常にな」
「それは百も承知ですよ」
「そうか。だったら、初仕事頼めるか?」
「初仕事…?」
「そう、初仕事だ。
それも今回は組織を相手にして貰う」
「はぁ!?組織!?」
「無論一人で行けなんて馬鹿な事は決して言わん。
科内で信頼できて、尚かつスケジュール的に余裕のある者に協力を依頼することも許可するし、外部に見方となってくれる異形が居ればそいつを協力者として呼ぶのも勝手だ。
但し、外部の異形を呼ぶ場合はなるべく日異連傘下の異形にしてくれよ?」
「はい。判りました。
それで出動日時と行き先は…?」
「追って資料を送る。
準備物等もそれに印しておくから、参考にするといい。
それまではゆっくりしておいて、東京チーム幹部の手塚松葉みたいな無茶はしないことだぞ」
「了解しました。
そんじゃ、仕事に」
「いや、もうお前事務業じゃないから帰って良いぞ」
「……はい」
「あぁ、それとな。
今回の一件には、大昔起こったとある事件と、一人の少年が絡んでいるんだ…。
事が余りにも大きすぎて此処では話す気が起きないから、資料だけ渡しておく。
目を通して老いてくれ」
「判りました。では」
何だか源太郎に見捨てられたような気がした雅子であった。
―10:20・手塚低・松葉、雅子―
「というわけなんですよ、マツオロさん」
「誰が松皇だ、誰が。
俺ァ仮面も無けりゃロン毛でもねぇぞ。
ましてや皇帝じゃねぇし武器は己の爪牙と身体一つ、鉄扇なんて繊細な武器は扱えんぞ。
ってかな、とりあえず俺。
異形とはいえ国籍日本だからよ。
流石にアセンブリ言語は理解できねぇわ、悪い。
あと企業で事務の仕事してる女にしては帰り早過ぎだろうがよ。
緊急特務科っつっても実戦部のゴミ処理係なら話は別だがよ」
雅子は横書きであることの特性を生かして、松葉に今日会社で実戦部への異動が決まり、しかも近い内にテロ組織的なものを相手にしなくては成らないことを語ろうとしたが、それは失敗に終わった。
「…ンもゥ、判りましたよ。
じゃあ今日会社で起こったことをありのままに話しますね」
「そうしてくれ。頼むから」
―
そうして雅子は、会社の出来事を松葉に話した。
今日会社で事務系から実戦系へと人事異動が決まったこと。
近い内に初仕事があるということ。
しかも敵は組織単位で存在するから自分以外の異形に協力して貰うべきだとのこと。
協力者については、日異連傘下の異形であり自身と親しい間柄に有れば大抵は許可するということ。
今回の事件には「白い巨像」なる怪物と、その心臓から誕生した少年「小山涼也」が絡んでいるということ。
仕事に関する情報は後々荒俣源太郎から送られてくるということ。
それらの話を聞いた松葉は、一言こう返した。
「んで…白い巨像と小山少年の話は俺も腐るほど知ってるから今は置いておくが、協力者ってのは見付かったのか?」
それに対し、雅子は笑顔でこう答える。
「いえ、まだです」
「満面の笑みを浮かべた面で言う事じゃねぇな…」
そして雅子はこの後、誰もが予想・期待していたある一言を、満面の笑顔フルスロットルで言い放つ。
「というわけで手塚さん、手伝って下さい♪」
沈黙。
「やっぱりか」
「やっぱりです」
「でも何で俺?」
「他に誰か居ます?」
「俺に頼んでくれたんなら、どうにか日異連に掛け合ってでも」
「それなら手塚さんに直に頼んだ方が早いでしょ」
黙り込む松葉。
そして、発せられた言葉は。
「OK。どうにかスケジュール合わせておくから安心しとけ!」
「はい。こっちも情報受け取ったら直ぐお伝えしますんで!」
―翌日10:56・緊急特務科オフィス・雅子、源太郎、その他大勢―
「では、これが仕事に関する資料だ。
指定日時までに準備を済ませておいてくれよ」
そう言って源太郎は、雅子へファイリングされた書類を渡した。
「有り難う御座います」
「そう心配することでもない。決行は再来月だ」
「再来月…緊急事態とか言ってた癖にそこまで待ってて良いんですか?」
「あぁ。二ヶ月前から仕事を入れておくのが実戦部のセオリーだからな」
雅子は資料に一通り目を通した。
「えーと何々…現場直行は再来月7月20日。
指定地は…太平洋に浮かぶ巨大航空母艦!?
敵は…武装テロリスト組織…しかも構成員に異形が含まれる可能性もあり…酷いなコレ…。
私と手塚さんの愛の力だけじゃ無理ゲ確定…」
と、ここで雅子は自分の着ているシャツの裾を誰かに引っ張られ、後ろを振り向く。
「んー…恋歌ちゃん?」
そこには、シャツの裾を掴んで雅子の面を見上げる幼女が居た。
―「香山恋歌」
身長約1.4m、体重約30kg。外見12歳ながらその実はかなり長く生きる、蜂蜜と薩摩芋が大好物の異形少女である。
幼くして両親を失い、能力と才能を見込まれてシンバラ社緊急特務科に拾われた彼女の能力とは「音波」である。
音の大きさや高さを自在に操作したり、音を消す、音を物体に染み込ませる、音を相手の脳へ直接送信する等の芸当もやってのける。
また高周波や超音波を操ったり、音を攻防両面に生かす技術を持つ。
元から夜蛾や蝙蝠に匹敵する聴力を持つ為、盗聴も特技に含まれる(源太郎曰く「計算上は100km離れた大地に砂粒が落ちる音すら鮮明に聞くことが出来る」らしい)。
更に小柄な上、身軽で音もなく移動出来るので潜入捜査等もお手の物であったりする。
また観察眼に優れ、動物との対話・意思疎通も得意である。
老化が遅いため生後60年を超える今もまだ育ち盛りの食べ盛りといったところであり、その体格からは信じられない食欲を持つ。
その容姿と食欲故に他の社員から小動物感覚で愛でられ、餌付けされている事も珍しくはない。
そんな恋歌が、初仕事の命令を受けた雅子を、ただ見上げていたが、暫くして漸く口を開いた。
「…雅子お姉ちゃん、お仕事?」
相変わらず口数が少ない上に声のトーンというか韻みたいなものが独特すぎる。
まるでう○○れの数少ない名を持ったロリ要因・アル○ゥのようである。
しかし、それ以上に変な奴の多い緊急特務科で生きている雅子は、そんな恋歌にも普通な対応を帰す。
「そうね。お金の計算とか、計画まとめたりしてたらさ、いきなり科長に戦ってくれって頼まれてね。
ちょっと怖い集団相手にすることになってさ、それで仲間探してるのよ。
ねェ、恋歌ちゃん。
社内にこの先二ヶ月くらい予定無くて戦い向きで強くて、日本異形連盟の見方の、仲良しの異形知らない?」
すると恋歌は暫く黙り込んだ後、こう答えた。
「…知ってる!
この先お仕事無くて、とっても強くて、れんめーの見方のひとなら、恋歌知ってる!」
「有り難う〜助かるわ、恋歌ちゃん。
はいコレお礼のコンビニで買ってきたお握り。
恋歌ちゃんおかか好きだって聞いたから、はいどうぞ。
あ、あとチョコメロンパンもあげちゃうね」
礼として恋歌にコンビニ握りと特大のチョコメロンパン(合計金額415円)を渡す雅子。
すると恋歌は受け取った握り飯のビニールを器用に剥いて、底辺に対する二角を両方の手でそれぞれ持つと、小動物のように握り飯の頂点一角へと被り付く。
口をもごもごさせながら握り飯を食べる恋歌。
「美味しい?」
「んー…」
恍惚の表情で握り飯を咀嚼する恋歌は、口の中の物を飲み込むと、言った。
「そーだ!」
「ん、何?」
「恋歌もお手伝いするー。
雅子お姉ちゃん、助ける!」
その言葉を聞いた雅子は、驚くと共にこれは運が良いと思った。
そして恋歌に礼を言うことにした。
「有り難う!有り難う恋歌ちゃん!
今日のお昼ご飯、一緒にファミレスでオムライス食べよ!奢ったげる!」
すると恋歌は恍惚の表情でまた答える。
「デザート、パフェ頼んで良い!?」
「良いわよん!ついでにドリンクバーも頼んじゃって!
あ、それ以外は無理だけどね」
「わかったー」
そして雅子は本題を切り出した。
「でさ、恋歌ちゃん。
早速なんだけど、呼んできてくれる?」
恋歌は元気な声で答えた。
「待ってて!」
とてとてとてとて…
「ふぅ…これで安心だ。
あとは手塚さんに頼むだけ…」
―約一分後―
「お姉ちゃん、連れてきたー!」
「おー、有り難ーぅ」
恋歌が引き連れてきたのは、4人ほどの実戦部社員。
無論全員異形である。
一人はカッターシャツにジーパンという爽やかな格好の青年。
一人は黒スーツで全身身を固めた冷ややかな美男子。
一人は胸元が開いていたり太股が露出されたりと艶やかな服装と体つきの美女。
一人はポニーテールを棚引かせ、和服姿にバットケースを背負った女。
「おぉー…田宮君に黒沢さん、それに直美姉さんや薫ちゃんも…。
皆良く今の今まで暇だったもんで」
そんな雅子に、それぞれがそれぞれなりの答えを返す。
「漫画喫茶の姉ちゃんが見せてくれた星占いでな、今月は仕事に精を出すと吉ってあったんでよ。
それでだ」
そう語るのは軽装の青年・田宮鉄治。
外見年齢二十代前半の、若干攻撃的な異形の青年である。
日異連東京チーム中堅で、幹部の松葉を尊敬しており、彼の舎弟を自称する。
そこそこ攻撃的な性格で向上心が強く、下戸&酒嫌いの松葉とは対照的に大酒飲みだが酒への耐性は平均的なので、よく二日酔いに悩まされているらしい。
名前のイメージとは真逆にとっても健康的な異形の癖にである。
面識ある唯一の家族として、腹違いの妹・由衣(人間との混血。故人)が居り、毎年妹の誕生日には墓参りに訪れる。主に刃物や刀剣を用いた白兵戦が得意である。
また漫画喫茶を第二の我が家として居着いており、社内でも漫画喫茶の中でも彼の名はかなり有名である。
「星占いねぇ…。
ていうか、千歳ちゃん&千晴ちゃんはどこよ?」
「今は学校だな。あいつらも二ヶ月後は夏休みだから、丁度良いだろう」
「ははは…夏休みにテロリスト相手の仕事ねぇ…」
千歳と千晴とは、鉄治を慕う双子の少女異形なのだが、説明は後ほど登場してからに譲る者とする。
また、鉄治含め雅子の前へ今回初登場した異形達の能力紹介もまた、それが初登場する話まで説明は見送らせて頂きたい。
「実戦部へようこそ、楠木さん。
歓迎させて頂くと共に、今回は全力でサポートさせて頂きますよ」
そう語るのは黒スーツの美男子・黒沢健一。
外見年齢二十代中盤の異形で、生まれながらの美男子であり、それ故に日異連・シンバラ社内おいて女性からの人気・支持率は高いが、本人は無自覚である。
また外見を奢ったり、自分より醜い者を見下すような事はしない。そもそも外見における美醜の概念事態彼にとってはどうでも良いことなのかもしれない。
実戦部所属だが、その頭脳を生かして自主的に事務作業や社員旅行の幹事等も行っており、更には日異連東京チーム幹部でもあるので今回集まったメンバーの中では一番の苦労人。
元々高い運動能力と頭脳の持ち主で、機敏さを生かした戦術により相手を舞うように抹殺する。
更に彼は「殺生」を自分の生活において必然なものの一つとして認識しており、日に一度何かを「殺した」と認識できなければ落ち着けないという特殊な性質を持つ。
その癖ゲームとか全然やらないもんだから普段からストレスに悩まされている。
「ってか黒沢さん、事務とか日異連とかあるんじゃないですか?」
「いえ、今回の事件は我が社と連盟が同時に絡んでおりますので、出動許可は出ております」
「流石黒沢さん…」
「何かね、暇なのよ。
科長仕事くれないし、まっちゃん全然つれないし」
そう語るのは艶やかな美女・香取直美。
外見年齢二十代中盤の異形で、現代医学や生物学はおろか、シンバラ社ですらその謎を解明できていない特異な体質を有する。
その体質故に、如何に不摂生な生活を送ろうと、栄養が偏ろうと、モデルと格闘家の中間のような美しい肉体を維持出来てしまっている。これは彼女の家系に共通しているらしい。
体格故に松葉には及ばないが、それでもかなりの怪力の持ち主であり、大型バズーカを片手に一丁宛持って乱射、バイクを片手でぶん投げる、更には槍投げの感覚で鉄骨をぶん投げるなど、力任せな戦い方を好む。
(松葉の場合、片手に一丁宛持って乱射するのは対戦車ライフル、片手でぶん投げるのは大型ミサイル、更には砲丸投げの感覚で丸めた五トントラックをぶん投げる)
またかなりの酒好きにして自由人でもあり、形に囚われる生き方というものを頑なに拒む。
真面目な奴を弄くって遊ぶのが大好きで、酒の肴程度に同僚を弄くっては日々を過ごしている。
ちなみに文章の中に手塚松葉の名がしつこいほど出てくるのは、彼女と松葉が丁度同い年であると共に、幼少期から大変仲の良い親友の様な間柄で、お互いを「まっちゃん」「ナヲ」と呼び合う程親しいことと、能力や戦い方も類似している事からである。
「ねーさん、暇だからって命掛けないで下さい」
「いやだって貴方、それが緊急特務科実戦部だし?」
「『だし?』って、何で疑問系なんですか…」
「楠木殿、何なりとご命令を」
そう語るのは、和服姿の女・村瀬薫。
外見二十代前半の異形で、その性格は正しく直線的で生真面目、義を重んじる事を両親から教育されて育っており、性格も典型的な侍キャラで通っていて一人称は「某」である(小さい頃からの癖らしい)。
酒にかなり弱く、コップ一杯でも飲み干せば完全に酔い潰れてしまうほど。
産まれながらにしてアニメや漫画の類が大好きで、自他共に認める「オタク」であり、その事で雅子とも仲が良く、松葉と同じくコミケ等の同人即売イベントでは売り子を務める事も(その際、松葉同様彼女も雅子の指示でコスプレをしたりする)。
両親は剣道場を運営しており、三歳の頃から幼い頃から竹刀を握らされて来た為剣道の有段者であり、また真剣を握った経験もある事から相当な戦闘能力を誇る。
「相変わらず『侍』ってるねぇ、薫ちゃん」
「いえ、某はこれがデフォルトですので」
「そうだったね。だからコミケじゃ妖●とかト●カのコスプレしてもらった訳だけど」
勢揃いした異形達は、それぞれ思い思いの事を語り合ったりしながら、今後についてもまた話し合った。
そしてその日は12時に散会、恋歌は雅子にオムライス、フルーツパフェ、ドリンクバーのジュース各種という、会社員としても小学生としてもそこそこ充実した贅沢な昼食を堪能したのであった。
―同時刻・日本異形連盟東京拠点・松葉―
松葉は日異連にて、とある親しい男に協力を依頼していた。
「と、言うわけでだ。
お前にも協力を依頼したいんだが」
「別に構いませんよ。
何たって、俺と旦那の仲ですからねィ」
そう語るのは、大喜多大志。
外見四十代前半の異形で、常日頃から健康に気を遣い、ジムでのトレーニングを毎日欠かすことのない肉体派として名を馳せている。
曰く「平和を望むが、自分の居場所は戦場」と語る程の武闘派でもあり、戦場では常に先陣を切って突っ込む斬り込み隊長のような立ち位置にある。
肉体・精神共に強靱だが、「とてもデリケートな万年青春男」を自称する。
豪傑風の外見に対して下戸なのだが、そのことは大して気にしていない様子。
彼は武闘派であると同時に下ネタや異性に対するセクハラ紛いの発言が多いことでも有名であり、日異連東京チームで「歩く放送禁止用語」と言えばそれ即ち大志の代名詞である。
自分を慕ってくれる者を最優先に考える性格で、サービス精神も旺盛。また日異連幹部・黒沢健一直属の部下だが、松葉とのつきあいも長く彼を「旦那」と慕い、絶大な信頼関係を持つ。
また大の旅行好きとしてブログで旅行記を連載しており、かなりの人気を誇っている
「そうか。
そりゃ有り難ぇ。
お前が居りゃ色々と大助かりだ」
「そう言って頂けるだけで幸せですぜ」
と、此処で二人の会話に割って入る者が居た。
「何のお話ですか?」
「おぉ、エヴァ嬢じゃねぇか。
丁度いいや、話だけでも聞いてってくれィ」
「えぇ。是非お願いします」
そう語るのは、Eva Brown。
外見二十代中盤の異形で、イギリス人のカトリック系クリスチャン。
日本文化に惚れ込んだ事から三年前に祖国を出て日本へ移住した。
元イギリス異形連盟幹部であり、連盟管轄下の異形学校校長の地位にあったが、三年前教会運営者の地位と校長として手に入れたもの全てを嘗ての腹心の部下へと譲り、日本への移住を決意した。
その後日本異形連盟においても幹部として在り続ける事になる。
聖女や女神を連想させる外見と性格が備わっており、作中に登場する異形としては(また作者が作ったキャラとしては)非常に珍しく、慈善的で善意溢れる良心的な性格。
それ故に祖国イギリスでは、風変わりで暴力的な者の多い異形達と馬が合わず、長い間苦労した経験がある。
―禽獣説明中―
「…そうですか…テロリストが…。
それに…白い巨像と小山少年…大方、想像は付きます」
「と、言うと?」
「恐らく、そのテロ組織の狙いは『白い巨像』の復活です。
何を思っているのでしょうね…きっと首謀者の不二子・コガラシは『白い巨像』を自分の意のままに操ることが出来るとでも考えているのでしょう」
「やっぱりそうなるか…」
「父親が父親なら、娘も娘。って奴ですかね?」
「だろうな…。
で、エヴァ嬢」
「勿論、協力させて頂きます。
『白い巨像』が如何に恐ろしい存在かは、両親から聞かされて育ってきました。
祖父母も命を奪われたのです…」
「ほぉ…。
それじゃ、決まりだな」
「はい」
「ゥいス!」
こうして松葉も人員集めを済ませ、昼飯の最中に雅子と連絡を取り合うのであった。
俺は果たして何処に進もうとしているのだろう。