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第二号 攫われた少年




字数が異様に少ないです。

―21世紀・12:04シンバラ社緊急特務科オフィス・楠木雅子―

入社&引っ越しから早二年が過ぎ、雅子は緊急特務科での生活へと完全に順応していた。

(異形であるというだけの理由で緊急特務科に拾われたのに)こなす仕事は記録の編集や経費の計算など事務ばかりだったが、雅子はこの程度で不平不満を言ったりしない。

寧ろ満足さえしている。

正午を少し過ぎた今は丁度昼食の時間で、雅子は手製の弁当を食べつつ新しい同人誌の構想を練っていた。


と、そんな時である。

社内放送のアナウンスが鳴り響いた。


《荒俣源太郎様、荒俣源太郎様。

社長がお呼びです。

至急社長室までお越し下さい》

緊急特務科の長・荒俣源太郎が社長に呼ばれる時は、大抵ロクな事態ではない。


「科長…また何かあったのかね?」


どうせまた試作機が暴走したとか実験体が逃げ出したとかそういった事態だろう。

どのみち自分みたいな「出来たての異形」の出る幕ではない。

そう思って雅子は、またどうせ先輩が解決するんだろう。とかそんな事を思っていた。




ま、そんな予想は裏切るけどね。



―同時刻・社長室・社長、荒俣―


「何の御用でしょう?

一体どうしたというのですか?」


外見は50代半ば程、白髪の目立つ肩幅の広い男は、椅子に腰掛ける若い男に問いかける。

荒俣源太郎―緊急特務科の長を務める、齢400年を超える百戦錬磨の異形である。


「何の御用?

簡単じゃあありませんか。

あなた方の力を借りねばならなくなったのですよ」


高田旭―頭脳明晰なシンバラの若き経営者は、源太郎にとてもストレートでシンプルな答えを返した。


「でしたら私や科に直接メール送って下さいよ、社長。

何で私を直に呼ぶんです?」


「それだけ重要で内密にしたい話なんですよ」


「…何が起こったんですか?」


「小山涼也…覚えていますか?」


小山涼也。

都内の小学校に通う12歳の少年で、成績が優秀で水泳が得意な意外は大して特異な点など見当たらない、ごく一般的な小学生である。

彼はある重大な理由から、家族ぐるみでシンバラ社に保護されていた。


「覚えて居るも何も、一家まとめて我が社が保護しているじゃありませんか…。

忘れるはずがありませんよ」


「えぇ…そうです。

小山涼也は私の命で、あらゆる措置によって守らせています」


「して、彼がどうしたのですか?」


次の瞬間源太郎は、旭の口から出た台詞を聞いて一瞬凍り付いた。


「はい。


彼…小山涼也が……攫われました」


その言葉を聞いた瞬間、源太郎の時は一瞬だけ制止した。



「んなッ…攫われ…た…?


どういう事ですか!!


彼の安全に気を遣えと、護衛担当の社員に彼程言っていたのは高田社長、貴方でしょうに!



それで、犯人の目星は?」


「…調査結果によると、組織的なものである事が判明しました」


「そりゃあね。

もし仮に犯人が、彼に秘められた『秘密』を知っていたとすれば、ですよ。

組織ぐるみでもなければまずこんな事はしないでしょうし」


「そうですよ…しかしね、問題はその…組織の首謀者なんですよ。

これが。」


「その首謀者とやら…何者なんです?」


旭は落ち着くために深く深呼吸をすると、話し始めた。


「あのね、落ち着いて聞いて下さいね、荒俣さん。

その首謀者というのはね、あなたもよくご存じのー…ね、




不二子・コガラシ。



あの怪盗、アルセーヌ・コガラシの一人娘にして、18歳の若さで裏社会に名を轟かせるテロリストですよ…」




黙り込む源太郎。




「……至急、不二子・コガラシらの拠点の位置を調べ上げて下さい。


新鮮で優秀な社員(・・・・・・・・)最高のサポーター(・・・・・・・・)をつけて送り込み―否、事の次第によっては私が直接出向いて全力を出し切ってでも、奴らの血を残しはしませんとも」



齢400年越えという年齢と、その総合的な能力や経験・風格からシンバラ社最強の一人と噂される男、荒俣源太郎。

日異連東京チーム代表を経て日本異形連盟組織中最高位に属する「中央四十七異形円卓」の一人でもある彼は、大怪盗アルセーヌ・コガラシを代表とする悪人家系「コガラシ一族」とも深い因縁があった。

彼は自らの能力の危険性故に、その能力を全くと言っていいほど使わない。

彼曰く「私が能力を使えば、この美しい星を一瞬で滅ぼしてしまうかもしれない」のだそうだ。

そんな彼が、「戦場に直接出向いて全力を出し切る」とまで言うのだから、コガラシ一族が如何に凶悪な血統であり、また源太郎との因縁がどれ程深いかが判るだろう。



「では、失礼致します」

「はい。お疲れ様です。

出来ることなら、今日はゆっくり休んで下さいね」

「心配には及びません」

「そうですか。それでは、また」

「はい」


そう言って源太郎は、社長室を後にした。

そんな源太郎の姿を見て、旭は呟いた。

  

「無茶をしないで下さいね…太陽神(アメン・ラー)

貴方が幾ら人を超えた生物だからと言って、貴方が不死身という訳ではないのですから」

まぁ、今回は執筆中に散会ほど一万字突破しましたけど。

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