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辺境領エイラート =Sランクの両親と双子の子供達=  作者: 花屋敷
【辺境領のギルドマスター】
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第47話 方針変更

 エイラート魔法学院の教授会に新しい指導法の提案をしたケリーとヤコブソン。最初はそんな馬鹿なと否定していた他の先生も2人が具体的な事例を出して説明をしていくと徐々に反対論のトーンが下がってくる。


 元々反対というか否定していた側には


「過去からずっとそうだったから」


 という何の根拠もない言葉だけだ。

 賛成、反対のそれぞれの意見が出尽くした頃、会議の冒頭からずっと黙っていたエイラート魔法学院の校長であるセシリアが口を開いた。


「ここにいるケリーやリズそしてグレイは皆さんが知ってる様にこの大陸唯一の上級魔道士です。超精霊士、聖僧侶、そして大賢者。この肩書きを持っている人はこの3名以外いません。つまり彼らは魔法においては最も高い地位に座っている人たちです。その彼らが言う指導方法を試さない手は無いと思います。万が一違っていたら元のやり方に戻せば良いだけの話です。私は新しい方法があるのにそれを試さないのはこの学院、いやこの国にとっても不幸なことだと考えます。魔法学院は優秀な魔道士を育成する学校です。そしてその育成について新しく今より良くなる可能性がある方法があるのであればむしろ学院が積極的にそれを実践してみる必要があると考えます」


 セシリア校長の一言で大勢が決まった。

 方針が決まったあとセシリアがケリーに顔を向けた。


「一度グレイの子供達の魔法を見て見たいのですが彼やリズに頼んでくれますか?見ればよくわかると思うので」


「そうですね。私もそれがいいと思います。2人に話をして日をいくつか聞いてみます」




「と言うことで一度レインとミスティと一緒に学院に来て教師の前で実際に魔法を披露して欲しいの」


 グレイがギルドの仕事から帰ると家にケリーとヤコブソンが来ていた。


「どうする?グレイ」


 リズはこう言う時は自分に意見があっても必ずまずグレイに聞いてくる。これは結婚してからずっと変わっていない。グレイが間違ったことを言うことはないと信じているしグレイが自分と同じ考えだったら嬉しくなる。リズのちょっとしたお楽しみの時間だ。


「それで学院の生徒の質や教育の質があがるのなら俺はいいよ。リズもいいよな?」


「うん。私もそう思ってた」


 ニコッとするリズ。


 その後具体的な日時を打ち合わせて2人は帰っていった。

 結局ケリーとヤコブソンが家に来てから3日後の土曜日の午後に学院の室内魔法練習場で双子が魔法を披露することになる。この日は学生が休みの日で教職員が集まりやすい。




 当日グレイはステファニーに事情を説明して午後からギルドを後にすると自宅に戻る。既に双子とリズは出かける準備を終えていた。レインもミスティもいつものローブ姿で待っていた。


「お父さん、おかえり」


「お父さん、おかえりなさい」


 家に帰るといつもの様にグレイに飛びついてくるレインとミスティ。その頭を撫でながら


「今日はレインとミスティの魔法を見てみたいと言う人がいるから今からケリーとヤコブソンがいる学校に行くぞ。学校に行ってもやることはこの庭でやってることと一緒だからな。いつも通りの鍛錬だと思ってやるんだ、いいな」


「はい」


「わかった」


 じゃあ行こうかと4人は魔法学院を目指して市内を歩いていく。外は冬だ。昼間でも寒いので双子はローブの上に厚手のコートを着て手袋をしている。グレイとリズは手袋はしていないがコートを羽織っていた。


「お父さん、学校が終わったらお仕事に戻るの?」


 手袋をした手でグレイと手を繋いでいるミスティが聞いてきた。


「いや、今日の仕事はもう終わったから学校が終わったらミスティとレインとお母さんと一緒に家に帰るぞ」


「「やったー」」


 ミスティはもちろんだがリズと手を繋いでるレインも声を上げた。


 エイラートの居住区の奥にある学院の門をくぐって中にはいると校舎の入り口にケリーとヤコブソンが立っているのが見えた。


「ケリーお姉さん、こんにちは」


「ヤコブソンのおじさん、こんにちは」


 近づいていくと頭を下げて挨拶する2人。ケリーはレインからお姉さんと呼ばれて嬉しそうな表情をしている。


「お姉さんって言うのも慣れたみたいね」


 レインの頭を撫でながら言うと、


「お父さんがね、今日は絶対間違えるなよって家を出てから何度も言われたから間違わなかったよ」


「ちょっとグレイ、どう言うことよ、私が無理やり言わせているみたいじゃないの」


 立ち上がったケリーがグレイを睨みつけるが


「間違えなかったからいいじゃないかよ」


 とグレイは涼しい顔だ。


「リズ、なんとか言ってよ」


「レインはちゃんとお姉さんって言ってるしいいじゃん」


「リズは絶対グレイ側に着くのよね」


「えへへ。そうなの。そこはブレないの。ごめんね、ケリー」


「分かっていたのにリズに聞いた私がバカだったわ」


「ねぇ、ケリーお姉さん、どうして怒ってるの?」


 グレイと手を繋いでいるミスティがケリーを見て言う。ケリーはしゃがみこむと、


「ううん、怒ってなんかないわよ。さぁ行きましょう」


 校舎に歩き出したケリーに続くグレイ一家。グレイは内心でミスティ、ナイスだぞと褒めていた。


 校舎の建物の前にはセシリア校長いか数名の職員が待っていてグレイらを出迎える。2人は以前この学校の講師をしていたこともあり校長先生はじめ多くの教師とは顔見知りだ。


 近づくと双子が頭を下げて挨拶をする。


「「こんにちは」」


 その背後でグレイは軽く片手を上げ、リズは頭を下げていた。


「今日はありがとうございます。ケリー先生とヤコブソン先生の話を聞いて一度お子さん達の魔法を見せて貰おうということになりまして。グレイさんとリズさんの教育方針にもすごく興味がありますし」


「見てもらうのは全然構いませんよ。教育方針はまぁ自分のところが独特なのかもしれませんけどね」


 セシリア校長について校舎の中を歩いていき室内魔法練習場に着くとそこには教師と職員が既に集まっていた。全員で50名ほどだろうか。120名ほどの生徒が学ぶ学院で教職員が50名というのが多いのか少ないのかはグレイにはわからない。


 先に練習場に来ていた教師と職員はグレイとリズが手をひいている双子を見てびっくりする。


「じゃあグレイとリズ、お願いしますね」


 校長はそう言うとケリーやヤコブソンと一緒に練習場の周囲にあるベンチに腰掛ける。中にいるのはグレイ、リズ。そして双子の子供の4人だけになった。


 厚手のコートと手袋を脱いでリズに渡した双子はローブ姿でグレイの前に立ち、


 「「よろしくお願いします」」


 と頭を下げる。


「いいぞ。挨拶は大事だからな」


 2人の挨拶に大きく頷くと、


「じゃあいつもの鍛錬をやろうか。まずは魔力の流れのおさらいだ。お腹に魔力を貯めて」


 グレイが言うと2人が深呼吸をしてじっと集中してくる。魔法学院の教師は程度の差はあれ全員が魔力の流れを見ることができる。双子が集中すると体の中止に魔力が集まってくるのが見えてきた。その魔力の見事な流れが見える教師達は大きく目を見開いた。


「大したものだ」


 誰かが言った。


「よし、じゃあその魔力を右手の手のひらに移してみよう」


「「はい」」


 この鍛錬はグレイがいない日もリズが毎日の様にやっているので2人とも問題なく魔力を右手の手の平に集中させる。そして左手にとグレイが言うとその魔力を右手から左手に

移動させた。


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