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辺境領エイラート =Sランクの両親と双子の子供達=  作者: 花屋敷
【Aランクそして更なる高みを目指して】
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第47話 予感?


 休み明けの活動前にレインとミスティは両親から聞いたボムの話をメンバーにした。場所はエイラートのギルドだ。


「なるほど。これから下に降りたらボムがいる可能性がある。そしてその弱点は火ということだな。事前に知っておけば遭遇した時に慌てなくて済む。ありがたい情報だ」


「このダンジョンに限らず火山があるダンジョンではそいつが出てくる事があるってことだ」


「物理無効かぁ。ミスティが頼りだね」


 レインの説明を聞いたエマーソン、スコッチ、そしてニーナが口々に言った。


「対応策としては私が魔法を撃つけどスコッチがしっかりとヘイトを稼いでくれて、ニーナは少しでもダメージを稼ぐために火の属性矢をお願いね」


 そうして打ち合わせが終わるとギルドを出てダンジョンに向けて街道を歩いていく。


「それにしてもいろんな特徴を持っている魔獣がいるんだな」


「それを知る意味でも普通のダンジョン以外の属性ダンジョンに挑戦する意義はあるよ」


 エマーソンとレインが話をしている。レインは父親から話を聞いて昨日の休日は図書館に行っていたらしい。


「お父さんが言ってたアイスボムという魔獣も載っていたよ。弱点は火だった」


 レインから聞いたミスティ。ひょっとしたらうちの両親はこの世界にいる魔獣全てを知ってるんじゃないか。それほど両親2人とも知識が深い。その知識とは敵対する魔獣の知識だけじゃなく戦略、地形、ダンジョンの様子。全てについてだ。


 2人ともあれはSランクだからじゃない。個人の探究心と向上心の賜物だわ。私も頑張らなくっちゃ。


 気持ちを新たにしてダンジョンに向かったミスティ。

 

 この日は下層となる20層から攻略を開始した。20層に飛んだ彼らの前には大きな地下空洞が広がっている。そしてその空洞の中には溶岩の川が流れており地面には魔獣が徘徊しているのが見えた。彼らのランクはSだ。


「Sランクのフロアになったか。ただ飛んでいる魔獣は今の所はいない様だな。とは言っても油断は禁物。身長に進もう」


 先頭に立って空洞になっている広場を見ていたエマーソンが言った。全員が水分を補給し、レインとミスティが強化魔法をかけてからフロアの攻略をスタートさせる。


 空洞は身を隠せる場所がそう多くない。しかも溶岩の川が流れているので行動が制限される。その中を進み始めるとすぐにランクSの魔獣がこちらに気がついて剣を振り上げながら襲いかかってきた。


 スコッチが挑発スキルを発動し、魔獣が振り下ろした剣を盾でがっちりと受け止めて戦闘が始まった。時間は掛けられない。モタモタしていると周辺にいる魔獣がリンクする可能性があるからだ。エマーソンも最初から全力で片手剣を降り、ニーナの矢が次々と魔獣に命中する。ミスティも精霊魔法で攻撃をして短時間で討伐するとすぐに前進を始める5人。幸いまだこの20層ではランクSが固まっておらずリンクすることがなさそうだと気がついたのは最初の大空洞の奥にある通路に入った時だった。


 ここはいくつかの大空洞が通路で繋がっており、通路の中は安全に地帯になっている様だ。通路に入った5人はその中程で地面の上に腰を下ろすと休憩を取る。


 エマーソンが立ち上がると通路の先の様子を見に行き、しばらくして戻ってきた。


「次も同じ様な大きな空洞になっている。パッと見た限りだが今来た空洞にいた魔獣と同じ様だ。固まっているのは見えなかった」


 エマーソンの報告を聞いていたミスティ。


「とりあえずは通路は安心ってことになってるけどこのまま進んでいくとこの通路にも魔獣がいるかもしれないわね」


「その可能性はあるぞ」

 レインが続けて言った。他のメンバーも十分にあり得るぞとここでしっかりと休憩を取って出来るだけ疲れをとる様にする。


 しっかり休んだところで攻略を開始した5人。次の空洞もランクSが単体で徘徊している中を1体ずつ倒して進み結局3つ空洞を攻略した先に21層に降りる階段があった。その階段を降りて石盤に記録した後で降りた先を見た5人。


「ランクSが固まっている。21層からはランクSの複数体が相手になる」


「空は大丈夫かな。見える範囲にはワイバーンはいなさそうだ」


「溶岩の川も変わらずか。大リンクしたら逃げ道が限られるな。出来るだけ短時間で討伐していかなければならない」


 エマーソン、スコッチ、そしてレインと続けて言ったのを聞いていたミスティ。


「少しだけやってかない?階段降りたところの前の広場で2体のリンク相手に」


 そうしようと言うことになり21層に降りた5人。10メートルも歩くと徘徊していたランクS2体がこちらに気づいて襲いかかってきた。2体とも剣を持っている。前衛タイプだ。スコッチが挑発で1体のタゲを取ると2体がスコッチに襲いかかってくる。タゲを取っていない方に片手剣を突き出して傷をつけるスコッチ。これでとりあえずスコッチが2体のヘイトを稼いだことになった。すぐに挑発スキルを受けている魔獣にエマーソンとニーナが物理で攻撃を初めてそこに精霊魔法が着弾して倒すともう1体にターゲットを移す。その時にはリキャストを終えた挑発スキルを発動していたスコッチ。1体を全員で攻撃して問題なく2体のリンクを倒すことができた。


「おっ、スキルが上がったぞ」


「俺もだ」


 戦闘が終わるとスコッチとエマーソンが同時に声を出した。おめでとうと声をかけるメンバー。5人は安全地帯の階段までもどって水分を補給する。


「ここでの2人のスキルアップはパーティとしては大助かりになる」


「本当よね、エマーソンとスコッチのスキルアップは大助かりね」


 レインとニーナが言った。ミスティも全くその通りだと思っていた。やっぱり格上との厳しい戦闘がスキルアップに必要なのだ。自分は賢者だけどなんとなくそろそろじゃないかなという感覚はある。ただ彼女はこの感覚は誰にも言っていない。


「スキルが上がりそうな感じはあったの?」


「いや、なかったな。この前のスキルアップからの時間の経過でそろそろ来てほしいなとは思ってたけどね上がりそうだという感覚じゃないよ」


 ミスティの問いにそう答えるエマーソン。スコッチも同じで何も感じなかったという。

じゃあこの感覚は何なんだろうかと2人の話を聞きながら思っているミスティ。休養日前にはこの感覚はなかったが今日20層の攻略を始めてしばらくするとその感覚が出てきていた。


 もし明日の攻略中にスキルが上がったら自分の感覚が正しかったと言うことになるのかな。スキルがもうすぐ上がりそうだという感覚を持ったことがあったのかなかったのか家に帰ったらお父さんとお母さんに聞いてみよう。


 結局その後もう1回2体のランクSを討伐したがミスティのスキルアップはなかった。



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