(7)エリアボスに挑みます。麻痺=即死の理不尽にも耐えて見せましょう重戦士!
ついにダンジョン攻略第二階層のボス部屋!
連続麻痺攻撃のあと防御貫通攻撃をしてくる階層ボスに死あるのみ?
うなれ必殺ジャストガード!
戦え武司君、盾が壊れるまで!
(7)エリアボスに挑みます。麻痺=即死の理不尽にも耐えて見せましょう重戦士!
重戦士、上級職だけあって初級エリアだと強いよマジ。
反射神経が良ければダメージ喰らわない。
来るぞ、エリアボスの最凶攻撃!
麻痺・麻痺・麻痺・麻痺・麻痺!
盾防御・盾防御・盾防御・盾防御・盾防御!よっしゃ躱した!
「防御無効攻撃!」
「ジャストガード!」
さっきからこの繰り返しで段々と手慣れてくる。
ジャストガードすると盾が壊れない。
さっき発見した!耐久力が落ちない=金がかからないだ!
超重要、マジなんで教えてくれねえんだ女神様よ!
※オンラインマニュアルに書いてあります。
気になるの、オレだけに見えるエリアボスのHPバーが減ってなくない?
「コイツ、芋虫のくせに硬ってー!」
「ホント、ダメージ通らないわね」
それ、その鈍らショートソードのせいですよね?
「タケシクンサン!通常攻撃ニモ、ジャストガードデキマスカ?」
「おう、やってみる!」
「ジャストガード後に怯むから攻撃力あるアントンさんを主軸に片手剣スキルで連携しましょう!」
「兄貴、頼むぜ!」
「通常攻撃、盾防御!ジャストガード!」
失敗して芋虫の口から発射される酸弾が肩の装甲をかすめる。
コレ、溶けないか? ちょっと心配になる財布。
「もうちょっと早めだな」
「そうですね、でも武司君さんなら出来ますよ、大丈夫」
楊さ~ん!しゅき!
「麻痺攻撃来ます!」
全部ガード成功!ってか通常攻撃のジャストガード意識してちょっと防御失敗しそうになる。
「来ます!」
「よっしゃジャストガード!頼むぜみんな!」
「おう!」×5
結論を言えば、ちょっと無理目な芋虫だった。
連携攻撃でもほんのちょっぴりしかダメージを負わない。
ってか連携攻撃ってなんかこう、エフェクト出て、大ダメージとかあるんじゃね? 現実は甘くなかった。
そんなシステムは無い。
片手剣スキル上がってないボンクラレベル1の皆さんの筋力値ではそもダメージが通らない。片手剣のソードスキルも「速き刃」→「速き刃」では追加効果すらない。
アントンさんの「赤き花」という炎属性追加のそこだけ、その炎攻撃部分でだけダメージが出る。
「拙いっスね楊さん」
「武司君、耐えられそう?」
「こっちはまあアレですけど、タムラさんの疲労が」
「全力攻撃で疲労ステータスになりそうですね」
俺が盾でぶん殴るほうがダメージ出そうだ。
「なんか弱点ないんっスか?」
「おそらく炎属性が」
「燃える刃は?」
「速きーではなく溜めて撃ちましょう」
「そんじゃ、よろしくっス、おっしゃ!みんな行くぞ!」
「おう!」×5
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード!
「連携行くわよ! 通常攻撃!」
巨乳お前…
「燃える刃!」
「バーニング刃!
「燃える刃でやあ!」
「赤き花!参る」
うおおお、減った!結構減ったぞ?
問題は…タムラさんのCON値ステータスバーだよな。
巨乳が片手剣スキル上げてりゃああれだが。
「ダメージ出てる、頑張ろう! タムラさん回復して」
「ワカリマシタ!」
少し下がらせて疲労を抜く。
「HPバー半分行ったぞ!」
転生者以外は見た目でダメージを判断しなければならない。
「おお、転生者便利!カッケー!」
「半分ですか? 3分の1になったら注意してください」
「楊さんサンキュー!」
「攻撃が速くなります」
うっそ聞いてないよ。
※今言いました
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード!
「はい連携!」
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード!
「はい連携!」
おおおイイ感じ、イイ感じ!
「楊さん、ダメージもうすぐ3分の1!」
「武司君さん、相手が仰け反って固まったら盾でぶん殴ってください」
「なんかあんの?」
「回復の繭か防御の繭っていうアビリティーを使います!」
「回復されたら厄介じゃな」
「防御の繭はもっと厄介です、属性効果無効、物理半減です」
「マジか?」
レベルが上がってればダメージ通るんだろうけど、この面子で属性効果無効は絶望だな。
「楊さん、3分の1切った!」
「来ますよ暴走モード!」
「くっそ速ぇえ!」
しかしモーションがある限り敵ではない!
フェイントかけてくる空手の高段者よりマシだ。
「武道家舐めんなよ!」
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード
ジャストガード・ジャストガード・ただのガード・ジャストガード!
「はい連携!」
ジャストガード・ただのガード・ジャストガード・ジャストガード
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード!
「はい連携!」
ちょいちょいミスするが、防御はできてる。
「楊さん、もうちょっとだ!」
重戦士って反射神経必須? 反射神経悪いと結構喰らうよね?
あ、でもみんなHP高いからいいのか。
「よし最後の追い込みだ!」
と思った瞬間、ボスの周りに繭のようなエフェクトが出る。
「武司君殴って!」
「了解!」
「悪い、ちょっと遅かった」
「回復の繭発動じゃ?」
「うわ、結構回復するわ」
「武司君どう?」
「マジか? 1割くらいまで回復した」
「これ硬くなる奴+回復コンビネーション使ってきたら拙くない?」
「みんな、コイツ倒して美味しいご飯食べましょう?」
「そうだな、コイツ倒したら魔法の入門書を買おう」
フラグ立てんなって!
ジャストガード・ただのガード・ジャストガード・ジャストガード
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード!
「はい連携!」
「楊さん、また3分の1」
「武司君!」
「あいよ、覚えてないけど我流シールドバッシュ!」
「成功した兄貴!」
「いいけどめっちゃ盾の耐久値減る!」
多分、スキル覚えてたら減らない。ダメージカット覚えなければポイントは十分あったが、へこたれてる暇はねえ!
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード
ジャストガード・ただのトガード・ジャストガード・ジャストガード!
「はい連携!」
「もうすぐヤレル!」
その時、事件は起きた。
「アントンさん!」
ヘイト無視ランダム攻撃が開始された。
最後の断末魔だろう。
アントンさんのHPゲージが紅くなる。
「ダメージ110!」
「死ぬってそれ!」
楊さんとジェシーは1回耐えられる程度。
これ、なんか変じゃねえか?
いくら何でも強すぎる。
初心者用のダンジョンでこのコンビネーション。
ボス部屋を見回す。
「楊さん、撤退しよう!」
「武司君さん、どうしました?」
「周り見て、なんか変だ」
よく見ると、結構良い装備の冒険者の死体が転がっている。
ダンジョン階層ボスの事ばかりで周りが見えていなかった。
そうだ、街で一番の冒険者が遭難したんだ。
神による大きな神託でモンスターのレベルが変わったのか、行動パターンが変わったのか。
「マジかよ、どうする兄貴!」
後ろ向いて撤退したら詰む。
「じりじり後退して出よう!」
そう言ってるうちに、ランダム攻撃が来た。
マジか?
クロイツに当たったら死ぬ。
「くっそ!」
「本物ヘイトボルケーノ!」※強制的に全員の攻撃を引き受ける。
「うおおおおおりゃあああああ!」
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード!
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード!
長い長い、長い長い!
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ただのガード
ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード・ジャストガード!
ジャストガード・ただのガード・ジャストガード・ジャストガード
ジャストガード・ジャストガード・ただのガード・ジャストガード!
マジ盾もたない
「うおおおおお、もうどうにでもなれ!」
最後の一回を弾くとボスは大きく仰け反った。
「ヘイトヴォルケーノ!」
盾を振り回してボスを殴る。
繭で回復をキャンセルさせ、ガシガシ残りのHPを削る。
ぎゃああああああああああああああ!
俺のかボスのかわからない断末魔が部屋中に響く。
そして新品の盾は壊れた。
俺の100シルバ…。
「やった!兄貴!倒したよ!」
クロイツ助かってよかったなーっ!
「流石です武司君さん!」
楊さんありがとう。
「やったあ!流石私の武司君!」
いつからお前のモノになった巨乳!
「ヤリマシタ、Teşekkürler タケシクンサン!」
忘れてた、タムラさんも死ななくてよかったな。
「……」
「やべえ、アントン息してない?」
「麻痺ってるあの攻撃麻痺ついてたんだ、兄貴」
「マジか、HPオレンジ、命には別条なしだ」
「もう、アントン心配させないでよ、麻痺毒の薬草あるから心配しないでね」
アントン、もう巨乳に逆らえないな。貢君決定ですわ。
「まあよし、ドロップアイテム確認しようぜ」
「なんだみんな押し黙って」
「やだなあ」
「武司君さん、気を落とさずに聞いてください」
「なんだよ楊さん…あれ? マジ?」
「ここのボス、3階迄行かないと何も落とさないんですよ?」
「マジ?」
「ええ、本当です」
「あれ、階層ボス倒してうはー!今日は高級エール頼んじゃおうっかなーってなるんじゃ?」
「なりません、残念ながら」
「オレ、盾無いよ?」
「新しいの買うしかないね兄貴」
「あ…そーだみんなでカンパしたら買えるんじゃない?」
「所持金いっせーの!」
「全部で50シルバーと45カパーになります!」
「タムラさん?」
「私はダンジョン登記と自分の装備買いました」
「クロイツ?」
「兄貴、ごめんスキル習得にギルド先払いで」
「楊さん?」
「実は魔術の本を…」
偉い。
アントンは貢いだばっかで薬草代もないし。
「ジェシー?」
「私、実は両親が病気でその…」
しらじらしい嘘を。
お前の時計売れば半額でも150シルバになるだろうよ。
「まあ生活費引いてもみんなで出せて40シルバだな」
「あ、ありがとう」
「いいって事ヨ兄貴!」へへへと笑う。
「あ、そういえば」
「何? 武司君」
「帰りどうしよう?」
「あ」×5
初心者ダンジョンは死の罠の地下迷宮と化した。
今回はちゃんとバトルシーンです。
書いてて楽しい。
次回は女神様再登場の予定です。