帝国へ
「それでルドルフ、いつここを発つんだ?」
「そうですね…オリビアさん、帝国にゲートは開けるんですか?」
少し思案した後にオリビアに問いかけた。
オリビアの答えによっては行き方も考えなければならない。
「訪れたことがない為、開けません。ただ帝国に近い宿場町近くでしたら開けます。朝から移動すれば宿場町から帝国まで私とルドルフさんでしたら日中には到着できると思いますよ」
的確な見解にルドルフが提案することなど何もない。
「では、明日の朝ギルドの裏路地に集合しそこから向かうということでいいですかね?」
「構いません」
「では、お願いしますね」
☆★
明朝ルドルフは気持ち早めに家を出てギルドに向かった。
ギルドに着いたがまだオリビアは来ていないようだった。
「ルドルフさん、お待たせしましたか?」
オリビアがやってきたのはルドルフが到着して間もない時だった。
「いえ、ついさっき来たばかりですよ」
「そうですか、それはよかったです」
「では行きましょうか、オリビアさんお願いします」
「了解です、では…『ゲート』」
オリビアがそういうと目の前の空間が裂け目が生まれた。
ルドルフ達がそこに入ると先程まで存在していた空間の裂け目も完全に消滅した。
☆★
宿場町に到着し当初の予定では走って移動するつもりだったが下手に目立つと危ないと思い急遽馬車での移動に変更した。
馬車で移動したが予定よりも着くのが遅くなった以外道中は特に何も起こることがなく無事帝国に辿り着くことができた。
「あんなすんなり通してくれるとは思ってませんでした」
帝国の街並みを見ながらオリビアが呟く。
「そうですね、少し意外でした」
ルドルフ達が驚いたのは帝国入り口の警備隊だ。
戦争を起こそうとしていると聞いていた為、厳重なチェックでもされるかと思ったがそうでもないらしい。
冒険者プレートを見せたらすんなり通してくれたからだ。
「取り敢えず荷物もありますし宿を取ってしまいましょうか」
「賛成です」
ルドルフ達は宿を探し始めた。
☆★
探し始めてすぐに雰囲気の良さそうな宿を見つけた為そこにすることに決めた。
「お部屋はどうなさいますか?ダブルベッドの方も空きがありますが」
ルドルフ達が受付に向かうと係の人が出迎えてくれた。
「シングルの部屋を2つお願いします」
料金もやや高くなるが仕方がない。
それにお金には困っていなかった為ルドルフは当たり前のように宿の受付の人に聞かれた際、そう答えたのだが一つ問題が発生した。
「ダブルベッドの部屋でいいではないですか」
何とオリビアが突然このような事を言い始めたのだ。
「オリビアさん⁉︎お金の方なら全然心配ありませよ、それに一応年頃の男女ですしそういうのは……」
「節約は大事ですよ、それにルドルフさんは私の寝込みを襲うつもりでもあるんですか?」
「そんな事するわけないじゃないですか!」
「そうですか……では一部屋でお願いします」
少し残念そうに見えるのは勘違いだと思いたい。
取り敢えずその事を後回しにし先に部屋へ向かったオリビアの後に続いた。
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