帰り際での出来事
「そう言えば、佐藤はまだこの国にいるんですか?王女さんの事を恨んでる様子でしたけど」
ジョセフは帰り際、佐藤の事を思い出し質問した。
ルドルフは佐藤はこの国にはもういないと思っていたからだ。
王女の言い方だと佐藤を戦力として考えているようだった。それはつまり佐藤がまだこの国にいるということだろう。
「えぇ、今日も訓練に励んでいますよ。よかったらご挨拶でもしていきますか?」
「いや、いいですよ。それにしてもどうやって佐藤を丸め込んだんですか?」
あんな状況では到底許す事はないと思ってたがそうではなかったようだ。
「丸め込むも何も私は佐藤さんを騙していません。ただ、ルドルフさんというお方が『もしかしたら』この国を滅ぼそうと企んでいるかも知れず夜も眠れないとお話ししただけですよ。佐藤さんはお優しい方ですからね、私の為に頑張ってくれたのでしょう。私の勘違いだと説明したら納得してくださいましたよ」
ソフィアは悪びれた様子は一切なくルドルフに説明した。
「佐藤は馬鹿なんですか?」
ルドルフはそう聞かずにはいられなかった。
普通の人なら勘違いだったという言い訳で納得できるわけがない。
まして実際に自分が被害に遭っているのだから尚更だろう。
「馬鹿だなんてとんでもありません!佐藤さんはお優しい方なんですよ」
本心ではないことは見え見えだがそういうことにしておこう。
王女の本心は教えてくれないことを悟ったルドルフは今度こそ退出しようと立ち上がると唐突にソフィアが口を開いた。
「ルドルフさん、作戦のお役に立つかも知らないので私の見解を述べます。どうやら異人の方、転生したものはどうか知りませんが転移してきた人は女性への免疫がないご様子でしたので何か罠などにかかるので有れば誘導は女性の方がよろしいと思いますよ。あくまで私が知っている事例を元にしているだけなので帝国や他の国にいる方に当てはまるか分かりませんけど」
王女がよく知っている異人など佐藤だけだろう。
要するに佐藤は女性に対して免疫がないため、扱いやすかったと言いたいのだとルドルフはすぐに理解した。
「なるほど、参考にさせていただきます。それにしても王女様も中々食えない人ですね」
「褒め言葉として受け取っておきます。それではルドルフ様また何かありましたら私の方へ、お力になれる事など少ないでしょうけど」
「ありがとうございます、それでは私はこれで」
ルドルフはそう言い残し王宮を後にした。
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