冒険者ギルドへ
「久しぶりだな」
ルドルフは王都にある冒険者ギルドに来ていた。
彼は隠密行動はあまり得意では無い。
というか目立ってしまい隠密行動など出来ない。
よって調査と言っても知ってそうな人物に声をかけるだけだ。
その為に冒険者ギルドに訪れた。
中に入ると先程まで賑やかだったのが一瞬にして静かになった。
ルドルフは周りからの視線を無視して受付に向かう。
この状況もルドルフにしてみれば慣れたようなものだ。
「ルドルフさんお久しぶりです、久しぶりすぎて名前を忘れそうになりましたよ」
そう毒舌口調で話しかけてきたのは受付嬢のオリビアさんだ。
珍しい白髪の長髪で目元の涙袋が印象的な女性だ。
顔立ちも整っておりこのギルドでも人気の受付嬢だ。
だがいつも無表情、冷たい口調のダブルコンボで話しかける人はほぼいない。
冷たい印象を与えがちだか内心では冒険者のことを心配してくれているタイプだとルドルフは信じているが大抵の人はそうは思わないようだ。
「久しぶりだっていうのに中々きつい事言ってくれるね、本当は寂しかったんじゃないの?」
「……さっさと要件を教えて下さい」
「あぁ…ギルド長に話があるんだ」
ルドルフはオリビアの少しの間に違和感を覚えながらも用件を伝えた。
「分かりました、伝えてくるので少し待っていて下さい」
オリビアはそのままどこかへ向かって行った。
きっとギルド長に聞きに行ったのだろう。
少し待っているとオリビアが戻ってきた。
「ルドルフさんギルト長が二階の応接室で対応すると仰っていたので二階の応接室に向かって下さい」
「ありがとう」
ルドルフはオリビアに礼を言った後、二階の応接室に向かった。
☆★
「ルドルフじゃねえか、戻ってくるの案外早かったな」
ルドルフが応接室に入ると筋骨隆々のまるで大木のような体格の男が出迎えた。
「ジョセフさんそれは言わないでくださいよ、考えないようにしてるんですから」
「まぁいい、それで早速だが要件は?」
ルドルフは異人に襲撃された事、最近ちょっかいをかけられることが増えたことなどを伝えた。
「聞きたいのは異人が俺を狙っている理由に心当たりがあるかということです。襲撃してきた異人は確か王女に嵌められたと言っていたと思います」
「……俺に分かる事はないな、最近どこの国にも異人とやらが出てきて頭角を表してきている事は知っているがお前を狙う理由はわからん、だが……王女か……」
「何かあったんですか」
「いや特には無い、それよりお前宛に送りものを預かってるんだ」
「誰からです?」
「王女だよ、昨日使いの者が来て、明日お前が来たら渡せと言われたんだ」
そう言ってジョセフは封筒をルドルフに差し出した。
「開けても?」
「あぁ」
ルドルフが封筒を開けると一枚のカードが入ってた。
「これは?」
ルドルフは首を傾げた。
「それは王宮への招待状だ。それを門番に見せれば通してくれるはずだ。それにしても、どうやら王女さんはお前がここに来ることが分かってたみたいだな」
ルドルフもジョセフから話を聞いている中でその点が腑に落ちなかった。
確かにルドルフは交友関係はあまり広く無い。その為、何か起こったらギルドの方に助けを求めると想像する事は難しく無いだろう。
だが日時は別だ。
ルドルフがまるで今日来ることがわかっていたかのような言動をしていた事に少し不気味さを覚えるのだった。
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