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プロローグ

「お、お願いだ!俺にできる事なら何でもする、だから命だけは」


 そう懇願するのはこの世界に転移してきた佐藤だ。佐藤に対面する男は何も答えない。



 これが答えだと体現するように佐藤の腕を折り、佐藤の腕から鈍い音がする。



 佐藤の顔が歪む。



「待ってくれ!俺も王女に嵌められたんだ、俺はあんたが魔王の手先だと聞いていたから攻撃したんだ!!」


 その言葉に対し口を開く様子が無かった対面する男が口を開いた。


「そんな事はどうでもいいんです。僕は邪魔されるのと利用されるのが大嫌いなので」


 言葉遣いは丁寧だが憤っていることは明らかだった。


「悪かった、王女にも言い聞かせて二度とあんたにちょっかいは出さないと約束させる!だからお願いだ許してくれないか?」


「あなたの事情なんか聞きたく無い。恨むなら自分の馬鹿さ加減を恨んで下さい」


 先程よりも少し強い言い方で佐藤に告げる。


 言いながら男は一瞬のうちに佐藤の背後に回り込む。


「!」

 

 佐藤もそれに気づいたが既に遅かった。


 手刀で佐藤を気絶させた男は佐藤の服を脱がせ近くの路地に寝かした。



「これで勘弁してあげましょうか」



 男の顔には悪い笑みが浮かんでいた。




 ☆★




 佐藤を気絶させた男の名はルドルフ・アイゼンバーグ、この世界で最強の男だ。



 だが彼は最強であることを嫌った。

 いや、正確には最強であるが故に様々なことに巻き込まれることが嫌いだった。



 だから彼は目立つ行動はしない。


 だが自分に対してちょっかいを出してくる敵には容赦しなかった。


 しかしもう我慢の限界が近づいてきていた。


 その主な原因は異人だ。

 異人とは異世界からの転移者、転生者の総称だ。


 理由はわからないが彼らがこの世界に現れてからルドルフに対してのちょっかいが多くなってきていた。


 別に異人に襲われているのではないが異人が出始めてから力を貸せだのルドルフを訪ねるものが多くなったのだ。



「王女に嵌められたと言っていたことですし、少し調べてみますか」



 埒が明かないと悟ったルドルフは内心嫌だなと思いつつ行動を開始した。

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