表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/24

第八話


[こちらを進めば陛下の執務室となります]


[あ、ありがとうございます]


ノアが付けてくれた侍従の人が、国王陛下の執務室に続くという長い廊下に案内してくれた。


真っ直ぐ奥に見える突き当たりの部屋。大きくて立派な扉の前には、門番のような人が二人立っていた。


まだ慣れないドレス姿で歩きながら、その部屋に向かう。

ヒールは、履き慣れないものの、歩けない高さではなかった。


[あ、あの、ノア…エレノアに言われて、来たんですが……]


[はい、シャルティア王女殿下。中で陛下がお待ちです]


[どうぞ]


門番さんは、私が来たらすぐに入れていいと言われていたのか、中の人に許可も取らず、ノックだけして扉を開けた。


[し、失礼します]


ちらっと見えた金銀の装飾に気をとられないように、顔を真っ直ぐ前に向ける。


[おお、ティア。身体は元気に目覚めたようでよかったよ]


そう言ったのは、正面の椅子に腰掛けていた壮年の男性。金髪青瞳に、髪色と同じ髭を蓄えた、いかにも「国王様」という感じの人。


[私のことは覚えているかい、ティア]


[い、いいえ……えっと、お父様…?]


[ああ、そうだよ。それから、こちらの青年がギルバート・アス・テイラル。ティアの婚約者だ]


お父様の側に控えていた紺髪の青年が、恭しく私に礼をする。目元を黒い布で覆っているのが特徴的。



───ギルバート・アス・テイラル。

テイラル公爵家次男にして、病死した長男の代わりに次期公爵家当主となった、シャルティア王女の婚約者。

もちろん、攻略対象者だ。


[ギル、とお呼びください。姫様は私のことをそう呼ばれていましたから]


ギルバートがそう言う。

「ギル」という呼び名。これは、シャルティアが悪役になる大きなきっかけ、そのキーワードの一つだ。


元々、王妃と王の一人娘であり、亡き王妃によく似た顔立ちなのもあって、シャルティアは王に甘やかされ、我が儘姫に育った。


欲しいものは全て手に入れ、飽きれば捨てる。そのくせ、独占欲の強いシャルティアは、忠臣の一族であるテイラル家のギルバートを我が物のように扱い、邪険にしてきた。


ギルバートがヒロインに心を許すと、発生するのが「呼び名」問題。

愛称呼びは、親友か婚約者、家族など親しい間柄でないとしてはいけないというのが常識だが、ギルバートはヒロインにそれを許してしまう。


…こう聞くとギルバートが浮気者なようにも聞こえるが、ギルバート当人にも色々と、抱えるものがあるのだ。


そしてそれをシャルティアは許さない。王女の婚約者を誑かした悪女として明言したり、ヒロインの伯爵家にまで手を出す。




ギルバートルートのハッピーエンドでは、ギルバートはシャルティアに婚約破棄を告げ、公爵になってヒロインを娶る。


このルートでの「断罪」は、シャルティアの罪が白日の元に曝され婚約破棄されること。傷物になったシャルティアは、エドワードルートと同じく、脂ぎった物好きな殿方に嫁がされる。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ