表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/24

第三話


[まあいい…落ち着くまで休んでいろ]


[ですね。…あ、そうですお姉様、「ペット」のところに行ってみたらどうですか?何か思い出すかも]


[ペット?]


エレノアの提案に首を傾げると、エドワードが苦々しい表情で言う。


[ノア、今のティアは純粋そうな様子だし、「あれ」はいらないんじゃないか]


[でも、お姉様、とっても可愛がってたじゃないですか]


ペット…猫とか犬とかかな?それともうさぎとか?


[僕が案内しますよ、お姉様!]


[あ、ああ、うん。お願いね]


元教え子のような少年の可愛い笑顔に、私はあっさり頷いた。

隣では、エドワードが呆れたように嘆息していた。




[お姉様、こっちです]


[うん、ありがとう。……えっと、エレノア君]


手を引いて案内してくれるエレノアに癒されながら、「ペット」のいる部屋へ向かう。


[ノアでいいですよ、お姉様。…僕のこと、忘れちゃったのは残念ですけど、もう一度仲良くなればいいんですもんね]


えへへ、と少し寂しそうに笑うエレノアに、私は庇護欲が掻き立てられて言う。


[そうね。記憶がなくても、ノアのお姉ちゃんってことに変わりはないんだから]


[……お姉ちゃん]


[ん、なあに?]


足を止めたエレノアが、ぽかんと私を見つめる。


[お姉ちゃん、って。呼んでも、いいんですか…?]


[…?うん、もちろん。お姉ちゃんだもの]


もしかして、王族は家族でも「様」付けするのが普通なんだろうか。

でも、こんなに可愛いエレノアに「お姉ちゃん」と笑顔を向けてもらえるほどの喜びは、たぶんない。


そして、腹黒設定のあるエレノアでも、幼少の頃からそんなはずはない、と思いたい。でも、あの笑顔を見る限りそうだろうと思う。



[…えへへ、お姉ちゃん、大好きです。あ、ここです。着きましたよ]


聞き逃せない言葉があったが、私は意識をエレノアが指差した部屋に向ける。


[僕が案内できるのはここまでなんです。お姉さ…お姉ちゃんが、あの部屋に自分以外近付いちゃだめって言ってたので]


[そうなの…。ありがとう、ノア]


[えへへ。またね、お姉ちゃん]


[うん、またね、ノア]


最後のやり取り、普通の姉弟っぽかったんじゃないだろうか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ