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始まりの始まり

さて、ここからようやく語られて来なかった主人公の前世について明らかになっていきます。


白い空間の少女に倣ってコーラとポップコーンでも食みながらお楽しみ頂ければ幸いでございます笑


「おつっすー荒巻ちゃんー、わりぃけどこの書類もよろしくねー、あっ、あとこれもついでにやっといてな。 明日の会議で使うのよこれ」


「え? こ、困ります先輩! もう終業時間じゃないですか!」


「えー、だって俺この後ごーこんだしさー、頼むよ荒巻ちーん。 お前仕事できる系のヤツじゃんー。 俺はわかってんぜ! それにさ、ほら! 仕事終わんなくて係長にガミガミ言われてたとき庇ってやったじゃーん!」


「はぁーー。 あれはいつも先輩が仕事押し付けるからじゃないですか!」


「まぁまぁ、今度女紹介してやっからよ! おまえ28にもなってまだあれだろ? DTだろ。 そろそろ魔法使いになっちまうぞ。 くくく。」


「余計なお世話です! はぁ、とびっきりの美女連れてきて下さいね! はぁ、どーぞいってください。 やっときますから!」


「おっしゃっ!!任せろ! お前を魔法使いになんてさせないぜ!! じゃ!! よろしくーー」



 はぁ、本当にいつも調子いいなぁあの人。まぁこの程度なら22時には帰れるか。


……………

………



「せーんぷぁーいー、せーーんぱーい! せんぱいセンパイ、ソラ先輩ーーたずげでぇぇ! 仕事終わんないよぉー、ぐずぐず」


 またこのパターンか、今日は帰れなそうだな…


「そんなに先輩先輩いわんでも聞こえるわ。 どーした。後輩ぎゃる。」


「ぜぇんぱい…、この後デートなのに仕事が終わんないよぉー! だずけでぇ! ずびっずび!」


「はぁ、お前もか…。 取り敢えず鼻水かめよ」


 チーン!チーン!


「ぷぁ! すっきりー!」


「ぷぁ!じゃねーわ! はぁ…… で? 何がおわらないんだ?」


「明日ある会議の資料のレジュメ作りですぅ。」


「そんなに時間がかかるものじゃないじゃないか! お前別に要領悪くないしどうとでもなっただろ?」


「違うんですー、まだチャラチャラ先輩の資料に目を通せて無いから作るに作れないんですー。 探してもいないしぃ。」


 なるほど、この押し付けられた資料が終わらないとこいつの仕事も終わらないと。

 あー、もうっ! はぁ、仕方ないか。


「帰っていいぞ。 デートなんだろ?」


「ふぇ? でも…」


「いいからまかせろ。 デート。 楽しんでこい。」


「ありがどー!!ぜんばいー。ずぎーすぎー彼氏の次にスキーぃ! 今度は私がぜんぱいたずけるからねぇー! ぐじゅ、ぐじゅ。」


「化粧はなおしてけよーふられんぞー。」


 ティッシュを渡し頭をポンポンしてやるとニンマリと笑い、嬉しそうに帰っていった。


 さて、これは終電には間に合わなそうだな。

 ここで寝るしかないか。


「さぁ!!やっつけるかっ!!」

「何を?」


「ギャーーーっ!!」


「ギャーとは失礼だな。荒巻」


「あっ、部長でしたか、 心臓が止まるかと思いましたよ。」


「驚かせてしまったか、すまないな。 で何してるんだ。 こんな時間に、荒巻なら自分の仕事は就業時間中に余裕を持って終えられるだろ? また誰かに資料作りでも押し付けられたか?」


「な、なんでそう思うんですか?」


 今まで他の人の分まで仕事をしていると誰かに言った事はない。

 それでそいつが怒られるのは、なんというか寝覚めが悪いからだ。


「そんなもの文面やら作り方の癖を見れば分かる。 私を嘗めてくれるなよ? で? 今回は誰のをやってるんだ?」


 全てお見通しのようだ。


 黒木 紫羅(シラ)

 彼女は大学を卒業し僅か二年、二十四歳にしてうちの会社の部長にまで登りつめた才女である。

 背は低く百五十センチほどで、ややつり上がった大きな目にすっきりとしながらも筋の通った鼻、桜色の唇がより可憐さに拍車をかけている。

 父方の祖父がドミニカの出身らしく小麦色の綺麗な肌の色をしていてそれが魅力をより一層引き立てる。

 髪は長く、おろしたら腰程まであるのでは無いだろうか、

 その艶やかな黒髪をやや高い位置で一つに纏めるのがいつもの彼女のスタイルだ。

 スレンダーながらも凹凸も兼ね備えた華奢な身体は男の子からおじいちゃんまで全てを魅了することだろう。


 もちろん、俺もそれに漏れる事は無い。

 寧ろ好きだ。大好きだ。


「何を黙ってじろじろ見てるんだ? それで?」


「ひ、秘密で…」


「はぁ。 まぁ、お前はそういうヤツだ。 手伝ってやる。 仕事を振り分けろ。 見たところ精々二人分くらいだろ? 私達なら終電の時間に余裕をもって終わらせれる。」


「いえっ!!そういう訳には…」


「遠慮するな。それにただでなんて言ってないぞ。 終わったら終電まで私の呑みに付き合ってくれ。」


 憧れの女性のせっかくのお誘いを断るほど俺も枯れては無い。

 滅多に見せない本気を見せる時がきたようだ。


「何をニヤニヤしてるんだ?」


「いえっ!何でも無いであります!! ご助力お願い致します!! 本気で、いや! 全身全霊で取り組ませて頂きます!! すぐ終わらせますっ!! 部長の時間を僕に下さいっ!!」


「ぷっ。くくく。 なんだそれは。 ぷっ、プロポーズか? ……はぁ、まぁいい、 ほら急ぐぞ!」


「はい!よろこんでっ!!」


「ぷっ、どこの店員だ? 笑わせるなまだ呑みにきてないぞ。」



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