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YESにする?それとも・・・

「もうやめてくれぇぇーーーー」


 崩落した大岩に囲まれながら、

 どこか責めるようなレベルアップとスキル取得のアナウンスに哀願しながら暫し虚空を見つめる。


「わざとじゃないんだ……。 事故だったんだよ……。」


「誰か…… 誰でもいい。 俺を罰してくれ。 頼むよ…」


「こんなんじゃ飯も食う気にならないよ。 そうだ、このまま食べなければ罰になるかな……」


 そんな心の内を吐露していると太陽が翳る。

 そして気が付くと目の前に巨大な爪が目前に迫っていた。

 何故だろうか、ホッとした。

 これで罰が受けられる……。




 ー【自動回避】が発動しますー


ひょいっ


「空気よめぇぇっ!! ねぇ!KYなの!? それともAKYな感じなの!? ねぇわざと!? あえてなのっ!?」


 ー記憶レベルが上が…ー


「シャラップ!!」


 ー記憶レベ…


「簀巻きにして東京湾に沈めんぞっ!?」


 ー記憶レ…


「だまれぇぇ!?」



 端から見たらある意味独り言を撒き散らしながらも身体は意思に反して勝手に攻撃をかわしていく。


 そこで初めて敵を認識した。

 件の化けダヌキであった。

 つまるところ俺に同族を殺された第一号である。


「あれ? 俺…… クズやん。 もしかして前世? でもすごい悪い事して死んだんじゃないか? 自爆テロとか、だから罰としてカタツムリなんかにされたんじゃ……。」


 ー記憶レベルが上がりましたー


「ねぇ、本当にさ。 空気よも? お願い。」



 ー記憶レベルが基準値に達した為、記憶のバックアップデータを復元することが出来ます。 今すぐ実行しますか?ー


 ーYES or NOー


「ちょっと何言ってるかわかんないし、 一応今絶賛攻撃され中だからね? 取り敢えずNOだよ。」


 ーNOの選択に失敗しましたー


 ーYES or (NO)


「ねぇ、なんでNOだけ囁き声なの? ほぼほぼ聞き取れないからね!? NO!!! だってば」


 ー認識に失敗しましたー


 ーYES or YESー


 ……。


「選ばせる気ねーじゃん。 はぁ。 もういいよYESで。」


 ーYESが選択されました。 本当に宜しいですね?ー


「あぁーーーーもうっ! イッライラさせないでよ! YES だよっ!!」


 ー認識に成功しました。 これより意識の転移を行います。 それに伴い一時的に身体のコントロールを譲り受けます。ー




 〈ますたぁ、おかえりをおまちしてますね!〉


「え?……



 その瞬間意識がホワイトアウトした……



 ■


「あら、意外と早かったわね。 暇だったしたまには私自らナレーション当ててあげようかしら。」


 こほん。純白のソファーに腰掛ける()()()()()がそう呟くと、真っ白い空間にぽっかりと穴が開き、そこからポイっと塵芥でも放り捨てるかのように何かが投げ出され、非常にアーティスティックな顔面からの着地に蛙が潰れたような声と共に成功した。 よし、完璧だわ。


「ぷふっ!! ぷくくく。 あーはっはっはー、ひーっひひ、ふーふー、ちょっとまっ…くく。 ふーふー、ひっひっふー、ひっひっふー、ひっひっふー。」


「はぁ、はぁ、ふぅ。 ねぇ、あなた、私が笑い死にしたらどうしてくれるの? 本当に退屈しない子ね、ふふっ。」


「ねぇ、ねぇってば……。 いつまでその粗末な物を私に見せ付ければ気がすむのかしら? ふふふっ。」


 私のその問い掛けにようやくガバッと起き上がり内股で股関を片手で隠し、何故か上まで手で覆いながらプルプル震える子羊のような様にまた笑いが込み上げてくる。


「ぷくっ! くくく、ひっひっふー。 ふう。」


「あーもう! 本当に私、あなたの事大好きよ。面白いもの。」


 そこでここに来てから初めて彼が言葉を発した。


「ここは…… どこなんだ? そして君は誰?」


 そうそう。本題を忘れていたわね。


「覚えて無いだろうけど、久しぶりね、荒巻 空至(そら)…」



 ■

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