表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
57/185

宰相の読み

「おぉ、そら殿()!! よくぞ、よくぞ魔族を撃退してくれた!」


 あれ? 殿が付いた、前は呼び捨てだったのに。


「シュナンから聞いておるぞ! またミュスカを助けて頂いた事、さらに今回はこの国自体も救って頂いた、本当に感謝する。 ありがとう。」


 シュナン…… あぁ、騎士団長か!


「ミュスカも無事で何よりだパパはパパは… 心配で心配で……」


「セミヨン王?」


 あ、ミュスカが怒ってる。

 宰相っぽい人も苦笑いしてるし。

 またこの流れか。


「いや、今はよそう。 ルー殿… いや、ルケ殿か、そなたにも深く感謝を、ありがとう。」


 持ち直した! すごい!


 いや、すごくは無いか。


「そこに控えておるのがユメか? もう一人は…」


「王さまこんにちわー! ユメはマスターのメイドです♪」

「お初にお目にかかりますセミヨン王、私はユリ・フルミントと申します。 新たにミュスカ様にお仕えする事となりました。 以後お見知りおきを。」


「おお! そうかそうか! してユメよ、そなたはそら殿と話が出来ると聞いておるが相違ないか?」


「相違ないー♪」


「うむ。 であれば取り持ちを頼みたい、そら殿に改めて今回の魔族の襲撃についてお聞きしたいのだが頼めるか?」


「ユメにお任せあれ♪」

 

「近衛騎士団長シュナンと副長ガメイをここへ!」


「はっ! シュナン、ガメイ、ここに控えております!」


「よし、では改めて時系列に沿って順に説明いたせ。」


「はっ! 始まりはそら様の謁見の終わりからでございます……」


 ……………

 ………

 …



「なんと! 魔王軍の八席とな!? であれば万全では無かったにせよシュナンが敗れるのも頷けるか… シュナン、ガメイよそなたらも無事で良かった。」


「「はっ! 恐悦至極にございます!」」


「うむ、して宰相よ、この件をどう見る?」


「そうですね、恐らくは魔王軍の過激派の独断による襲撃でしょうか、魔族領と人間族の国々の中間地点に有るのがこのロンケドーネになります。 なので目的は我が国の拠点化であると推測致します。 しかしそれにしては襲撃の規模が小さいように見受けられます。 自軍の損耗を抑えたいのならもっと大規模な襲撃で圧し潰すのが定石かと… であれば今回の襲撃はあくまでも調査、つまり様子見と言った所でしょうか、 つまり近いうちに過激派の本軍が攻めてきてもおかしくはありません。 ただ、その調査に魔王軍の八席が含まれ、大きな戦果を上げられなかった事を受け恐らくは安全に攻め落とせるだけの戦力を揃えるのに多少時間を取るでしょう。 あくまでも推定ですが七日程度は攻めては来ないでしょうね。」


「そうか…。」


「というのが最悪のシナリオでは有りますが、楽観視するわけでは無いのですがこの七日前後の内に攻めて来ないのならば襲撃はもう無いでしょう。」


「ほう、何故だ?」


「はい、先程申し上げた通りこれは過激派の独断先行。 つまり魔王の知るところではないということになります。 そして事もあろうに八席が負けた… いつまでも帰ってこない八席、これは隠し通せる事ではない。 魔王に知れるのも時間の問題ということです。 であれば過激派は立場を弱くしかねない、彼らは弱者に厳しいですからね。 そこで何が起こるのか、それは蜥蜴の尻尾切りでしょう。 "あれば私たちのやった事ではなくあいつの独断で知るところではない" とね、再びここを攻めるということは関係性を認める事に他ならない。 ということです。 私はこちらに転ぶと考えています。」


 おお! 流石宰相さんだ。

 俺よりも読みが深い、情報量の違いはあるけどやっぱり頭が良くないと宰相って出来ないんだな。


「であるか… よし、ならばシュナンよ、念のため軍備を強化せよ! これより十日が過ぎるまでは厳戒体制をしき有事に備えよ! 宰相は魔王宛に抗議文の作成、人間族の各国に事のあらましをしたため警戒を促せ! 後は民達に無為な不安や混乱を与えぬように考慮しながら精霊の墓所への避難準備も進めておけ!」


「「「はっ!!!」」」


 王様だっ!! 王様がいる!!

 この人ちゃんと王様だったんだ!!


 王の指示と共に慌ただしく皆が動き出していつの間にか俺達だけが残された。


 まぁ、冗談はこれくらいにして、さっきの王の指示で一つ気になったことが有るんだよね。


「ユリ、精霊の墓所ってなに?」


「精霊の墓所はこの世界の天地開闢よりこの世界に寄り添い守ってこられた精霊達の眠る場所です。 そこにはエルフとエルフの王の認めた者しか入れない結界が張られていて、有事の際の避難所としても使われています。」


「なるほどね、ユリ、ミュスカに王からそこに入る許可を貰うように伝えてくれる? ちょっと気になることがあってね。」


「かしこまりました。」


 ……………

 ………

 …



 よっし、無事に精霊の墓所に入る許可も貰えたし、次は騎士団長を探すか、忙しいと思うけど少し時間を貰おう。


「ユメ、騎士団長がどこにいるかわかるかな?」


「わかるよー! こっちー!!」


 可能性は少し小さくなったけど魔族が攻めてくる可能性が残っている以上しっかりと備えて置かないとな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ