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謁見

「早速だけどこの国の王、私の父に会いにいっちゃおっか! 面倒な事は先に片付けちゃお!」


 面倒? 技術を持ち帰るのはミュスカにとってかなり重要度の高い事だっだはずだ。

 なにか王様に会いたくない理由でもあるのかな?


「早馬を走らせたし王座の間にいると思うから行こうか、 そらとルーちゃんの事も紹介するから一緒ねきてね!」


 俺カタツムリだけどいいのかな、というかミュスカはどうやって俺とルケの紹介をするんだろ。

 ここまで来ちゃった以上王様に会わないっていう選択肢も無い事だしお行儀よくしてれば取り敢えず問題ないだろ。


「ルケ、取り敢えず俺と一緒に静かーに後ろで控えてよっか。」


『そうじゃの。 ムダに怯えさせても悪いしの。』


 ******************


 〈ますたぁ! ひとがたしゅのきょーつーげんごのことばぜんぶまとめてほんやくしとくね♪〉


「ありがとう! 助かるよ!」


 ところで俺達は今、何をみてるんだろう…


「ミミミミミミミミミ、ミュスカちゅわーん!! パパすごーく心配で夜も眠れなかったんだよぉ!!」


 あっ、この王様ダメな人だ。


「ただいま戻りました、()()()()()。」


 おっ、ミュスカはそう出るか。


「パパって呼んでくれなきゃかーなーしーいー」


 うっ、キツいな。


()()()()()、早速ですがご報告させていただきます。」


 いっ、いきなり切り出したっ。


「うむ。ご苦労、報告せよ。」


 えっ、さっきまでのはなにっ!?


「と、その前に後ろに控えてる者達はなんだ? ミュスカよ。」


「はっ、ご紹介致します。 向かって右がそら、カタツムリの魔物に御座います、人語を解し窮地から私を救ってくれた恩人です。 向かって左がルー、と私は呼んでいます、元々大きな群れを率いていたのですがここに来る道中で群れ全てがそらの配下となりました。 こちらも人語を理解しています。」


「なんとっ!! そこなそらとやら、我が娘… いや、愛娘を窮地から救ってくれたことに深く感謝を…」


 そういって王は頭を深く下げた。


「いけませんよ王、軽々しく頭を下げては…と言いたいところですが私からも深く感謝を申し上げます。」


 一国の王と宰相?がカタツムリに頭を下げるなど前代未聞だろう。

 周りの数人の貴族っぽい人達もにこやかだし、それだけミュスカが大切にされ好かれている証拠なんだろうな。

 なんだか誇らしいな。


 取り敢えず返事しとこ。

「キュ!」


「どれ、最愛の娘の冒険譚を父に聞かせてはくれぬか?」


 …………

 ……

 …



 この王様物凄く聞き上手だな。

 ミュスカが何か話すたびに、

「なにっ!?」とか「くっ!!」とか「おのれぇ!!」とか「そこだっ!!」とか何かしらの言葉を適切に邪魔にならない程度に挟んでくる

 ミュスカも話すことに熱が入っていた。


「はぁ… まさかここまでの窮地だったとは… そらよ、改めて礼を言わせてくれ、ありがとう。 ミュスカに助力し遺跡の遺産を持ち帰ることに対する助力にも深く感謝を申し上げる。」


「キュ!」


 最初こそちょっとあれだったけどこうしてみるととても良い王に見えるな、そりゃそうだよねずっとあの調子だったらそもそも王様に選ばれる事すらないはずだしね。


「そら、ルーよ、先程魔法で国内に触れを出しておいた。 もし良ければ好きに歩き回ってくれてかまわんよ。 魔物だからと気兼ねすることも一切無い! 我が国を存分に楽しんでくれ!」


「ごめんねそら、ルーちゃん、私はこの後技術者達に遺跡の遺産の話しをしてあげなきゃだから少しお散歩でもして待っててくれると助かるんだけど、大丈夫」


 お触れを出してくれてるなら特に大きな問題も起こらないだろう。


「キュ!」


「なにかあったらここに来てくれれば大丈夫だから、行ってくるね!」


 じゃあ、ルケとちょっとぶらっとしてみようかな。


「ルケ、その辺見てまわって待ってよっか。」


『デートじゃの? お供するのじゃ。』


 んー、違うけどまぁいいか。


「そう言うことなら念のため案内を兼ねて護衛をつけよう。」


『余計なことをしおって…』


「誰かあるか! 騎士団長をここに!」


 護衛で騎士団長って… いいのかな?


「はっ! ここに控えて御座います!」


「おお! 流石だ、シュナンよ!」


「はっ! 恐悦至極!」


 この人か騎士団長か、強そうだな。


 青い鎧を身に纏い金の髪を短く刈り上げた筋骨粒々の美丈夫が跪ずいている。


「お主にはそこにおられるそらとルーの案内を頼みたい。 良いか?」


「はっ! 御用命と有らば如何なる事でも承ります。」


「うむ。まかせたぞ!」


「はっ! ではお二方此方へ。」


 王に一礼して俺達を出口へと導く。


 外へ出ると騎士団長さんが唐突に振り向きこう切り出してきた。


「大変失礼を承知でお願い申し上げます。 私と手合わせ頂けませんか?」

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